木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第4話
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皮肉なことに新橋駅で雄一は電車に乗り遅れると、ドアのしま
った電車の中で敬子が乗車しているのを目にする。
まるで何者かによってからかわれているような偶然だとするが
より彼女の事が雄一の心の中で深く刻まれていく。

日曜日。健は父の髪の毛の
散髪を行う。
健が散髪を行うのは、名物になっていて近所の子も見に来ていた。
健は節約になるとするが、子供達は耕作に対して安月給の人は
大変ねと語る。思わずムッとくる耕作だが、子供の言っている
事だからと宥める健。次は兄・雄一の番だとして健は呼ぶが、
今日は困るとして散髪を拒む。子供達が見ているので恥ずかしい
のだろうと耕作は語る。健の腕が上がっているとはいえ、雄一
の中では下手な健が切った髪型で敬子と偶然にも逢ってしまう
事が躊躇われたのである。
そんな中、突然雄一の大学の同期である中山がやってくると
雄一はちょっと連れ出す。
健は雄一が僕の腕を信用していないとしてショックを受ける中
で、父は別に床屋になるつもりでもないのだから落ち込むことは
ないと慰める。しかし健は受験に何度も落ちたらそうなる
可能性は有るとして、自分は料理や散髪が出来るので、その道
も有る事を呟く。

中山は雄一にある女性を紹介する。
なんと中山はその女性と結婚する事を決めたのだという。
フィアンセに対して中山は雄一を紹介し、こいつは一流商事に
勤めていて俺は三流建築業に勤めているが、結婚の件では
俺が先手を取ったと告げる。なかなか良い相手にめぐり会える
ことなど無いとし、雄一に対してはあんまり焦るなと告げる。

一方健は敵情視察とばかりに、町の床屋で髪の毛を整えてもらい
に行く。顔なじみのみっちゃんが切ってくれるが、彼女は健が
薬屋の洋子を好きだと知って、こないだ彼女が新宿で男と歩いて
いたと告げる。しかし話を聞くと父親と一緒に歩いていたと
知り憤怒するのだった。

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いよいよ雄一と敬子が話し合うというシーンが描かれた。
朝のラッシュ時の電車の中で、互いの息がかかるような距離感
での再会。初めて交わした言葉は、毎日混みますねという事だ
った。

雄一としては仕事と恋愛の間に揺れ動く心を描いた感じ。
特に前回と今回のエピソードの中で、昇進や仕事よりも恋愛
だとする仲間と出会ったことでより考える機会が多くなった
のではないか。定年間近の父に対して、家計は長男の肩に
のしかかる事になるので出世を求めるのも仕方が無い部分が
有るのかも知れないけど、恋心だけは制御出来ないもの。

中山との会話が凄かった。
この時代の価値観も有るだろうし、物質的な豊かさが今とは
比べものにならないのだろうけど、彼女との結婚の障害として
彼女の兄が長い事病気している事や、彼女の父親が病気がちで
有る事を引き合いに出して障害であることを告げていた。
中山の言い分がまた凄くて、誰かが彼女を引き受けなければ
この人はどうなる?と語っていた。

家政婦の女性・ハルさんの強引な押しかけっぷりも恐い物が
有る。耕作もちょっと引いている姿が有ったけどね。

稲葉の女性たちの間でも恋愛について語り合うシーンが描かれた。
特に姉・敬子と沢野の話題が中心だったが、敬子の心に居る
雄一の事をほのかに匂わす発言をしていた。



姉妹で港へと散歩に出た際には、地方から出て来たとする男性
から話しかけられ、男女の出会いのきっかけなり、難しさを
感じるモノが有った。ダレでも最初は他人だけど、日本人の場合
警戒心も高いので、なかなかこういう所での出会いの機会って
言うのが無い感じがするね。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
須藤兼一 …… 森幹太 (敬子の父)
小林 …… 近藤洋介 (雄一の先輩)
洋子 …… 川口恵子 (薬局)
のぼる …… 鶴田忍 (八百屋、祭囃子)

近藤剛、高畑喜三、園部順子、柏田旦子

中山 …… 東野孝彦 (雄一の大学時代の同級生、建築業社)
川崎で働く男・波止場で声を掛けてくる …… 林家珍平

片山真由美、高杉和宏

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