木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第6話
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雄一は明後日が試験日だった。
勤続3年以上の独身男性300人の中から15日が選ばれる試験。
他のことは忘れて試験に集中しようとして勉強机に向かっていた。
父・耕作は別の部屋でイヤホンを使ってテレビを見る中で、
次男のも勉強に集中できず、父の元にやってくる。
健は兄にああ頑張られると、秀才の兄とトンマな弟の違いを
感じてしまうという。ただ雄一は明後日の事なのでまだ良いが
僕の場合は来年の事だからと告げる。
そんな中、兄の雄一も耕作たちの部屋にやってきてお茶を飲む。
健は兄さんは受かるはずであり、また僕と差をつけられると
いう。しかし雄一は僕だって人間なのでどうなるかは分からない
と告げる。健は机に向かうとどうしても集中できないとし、
兄が雑念を振り払える事を知って、冷たい人だから出来るのだと
語る。それを聞いた兄は、俺はそんなに冷たいか?と改めて
問う。耕作は父さんの息子なのだから冷たいハズはないとして
る。しかし雄一は自分でも冷たい人間かもしれないと感じていた。
試験が目の前になった瞬間にあれほど気にしていた彼女の存在が
また急速に立ち消えるのを感じたのである。

敬子は昼休みに同僚を誘って
田村町の方へと歩いて行く。
知り合いが田村町で勤めているのだというが、その人の名前も
勤め先も知らないと語る。相手は若造でへなちょこなヤツだ
という敬子。
日比谷公園を通っていこうと告げる敬子。
一方雄一は小林と共に日比谷公園で昼休みを過ごしていた。
敬子たちが偶然目の前からやってくるのを見て、忘れかけていた
思いが蘇るのを感じる。試験が明日ではなく明後日ならば声を
かける事も可能だと感じていたが、今は無理だと感じて思わず
下を向いてやり過ごしてしまう。
敬子の同僚は私も敬子の言うハンサムな彼に会いたいという。
雄一はどうしても敬子に惹かれてしまい、彼女の後を追うことに。
自分の事を抑えすぎる人生が寂しすぎる気がして、自分の中で
駆り立てているものが一体何なのか分からずにいた。小林は
俺をまいてでも勉強をしたいのかとして雄一に声を掛ける。

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ついに相手と会話する機会が有った物の、互いに物足りなさ
を感じて、自然と相手の勤め先の方向へと足を向けていく。
そんな中で、弟・健と妹・明子は意外な繋がりが生まれていく。.

本当同士がなかなかうまくいかない中で、外堀から埋めていく
作戦なのか。

浪人生同士が寂しさを共有・共感していくかのようにして、
出会ってしまう辺りが面白く演出したけど、出会いによって
負の方向に働くのではなく、目標としているものに足を向け
られるようになっていくのではないかという期待感に満ちあふれた
内容だった。

しかしまぁ一緒に水族館にいくという事で、姉を連れてくる
というのがある意味凄い。携帯電話が有る時代でもないので
急な連絡が取れないのも分かるけどね。

早くも試験日が来たと言うことで、試験の結果いかんでは
態度もハッキリと出来ると思うので、結果がどうなるのか
温かく見守るほかないか。

お父さんが何気に子供たちにプレッシャーを与えずに居る
所が良い感じだけど、以前にも父親が語っていた様に
柴田家は雄一が父親っぽい役割を果たしているので、父親
が敢えて父らしく振る舞う必要がないんだろうね。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
須藤兼一 …… 森幹太 (敬子の父)
小林 …… 近藤洋介 (雄一の先輩)
洋子 …… 川口恵子 (薬局)
のぼる …… 鶴田忍 (八百屋、祭囃子)

遠藤剛、関口銀三、三戸部久之、川上夏代、原田あけみ

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