木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第13話 監督:川頭義郎
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一月の半ば、一次試験に合格した兄・雄一は、一月の末にある
二次試験
に向けて余暇の全てを勉強に費やす。この日も日曜日
なのに朝からずっと英会話の練習を繰り返していた。
敬子は雄一に対して立ち入る余地が無いことで、何か取り残されたような気分
になる。しかしそれでも雄一のことが忘れられず物思いに耽る。
明美はそんな姉に声を掛けるが、反応が鈍い事を指摘する。
お腹が空いたとする妹は、姉に浪人生をもう少し大事にすべきで
有り、家族の協力がなければ大学など受からないと非難する。
外に出れば肩身の狭い思いをしているので、せめて家の中では
好き勝手に言わせて欲しいと要求する。
芋をふかした姉は妹に差し出すと、少し散歩したらどうか?と
声を掛ける。頭が痛いとする姉が、雄一のことを考えている事
は明らかであり、芋を食べながら雄一について語り合う。
とても野心家な人物だとして、明子は女の人をちゃんと大事に
しないような人はダメだという。仕事の合間に愛するなんて
以ての外だとするが、敬子はあの人は仕事だけを見ていると
いう。明子は
姉はお嬢様なので、すぐに諦めようとしている事
を非難
し、私ならば好きならば押しまくると告げる。

そんな会話をしていると夜のレストランで働いている母が起きて
くる。母は敬子の恋愛話を聞いてホントなのか?と問うと、少し
は私にも相談して欲しいと告げる。男なんて当てにはならない
とし、自分から好きだと告白すればそれこそ、悲惨な目に合う
とアドバイスする。

健はずっと勉強している兄の姿に呆れる。
傍であまりに一生懸命にやられると逆にやる気を無くすという
健。兄はお腹が空いたと口にしたので、健はハルさんにもらった
食べ物が有ると語る。一服しないか?と声を掛けるが、そんな
時間は無いとして拒む姿が有った。

明子は
家にかかってきた電話に出る。
野口と名乗る人物で、母親が不在だと知ると
母親の勤め先を
教えて欲しい
と言われる。対応に苦慮する明子は姉に相談する
と、姉が電話口に出て応対する。母親とは旧知の仲で、敬子の
名前を知っていた事も有り、母は
VOLGAと呼ばれるロシア系
レストランで働いている事を話す。

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雄一が海外留学に向けて時間を惜しんで勉強をする中で、
敬子はそんな彼の目標、生き様について立ち入る隙がない
と考える。そんな状況の中で、突然15年前に会社に行った
まま行方不明になったと思われる父親が敬子らの前に現れ
る。母・キクは身勝手過ぎるとして、絶対に稲葉家の敷居は
跨がせず、娘たちにも合わせないと告げるが・・・

母親の苦労を身にしみて感じているであろう子供たちが、
母を差し置いて父親に会う事は出来ないとは思っているだろう
けど、母とは違いやはり会いたいと感じるのが子供ではない
のかなと思わせるものが有る。

稲葉家の父親も仕事人間なのか、ずっとアラスカに居た感じ
で、これから海外に渡ろうとしている雄一の姿とダブるもの
が有る。

父親と同じような男を彼氏に迎えてしまうという不思議な因果
も存在するのだろうけど、果たして雄一は稲葉家の父と同じ
様な人生を歩んでいくのかどうか。

明子も健も浪人生としての不満が愚痴として現れているけど、
頑張りすぎる兄の姿を目にしてしまうとやる気が出ないとする
気持ちもなんとなく分かる気がするね。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

須藤 …… 森幹太 (キクの夫、13年前の行方不明)
岸本 …… 原田あけみ (敬子の同僚)

沢渓、柏木緑

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