木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第14話 監督:川頭義郎
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明子は健に遭う為に東急・妙蓮寺駅にやってくる。
健はそんな明子の元にやってくると、歩きながら話す事に。
健は昨日明子の家に来た男性が、
13年前に失踪した明子の父
だった
事を知り色々と話を聞く事になる。
突然出て行ったが突然現れた事を告げ、母は私たちに黙って
何度も父の事を追い出そうとしていた事を聞いたという。一人
で居る際に扉を開けるかも知れないので仕方なく母も事情を
話してくれたみたいだと語る。父が家を出て行ったのは私が
5歳の時で、写真などは一切燃やしてしまったこと。
全くどんな
人なのか明子は覚えていない
との事だった。健に対して、昨日
父と会った時にはどうんな人だったかと尋ねる。良い感じの人で
品があったし、逞しい感じの人だったという。しかし突然家を
出た父が品の良いはずはないと否定する。
母親の勤め先に現れた事を告げ、それでも今更会いに来るなど
不自然だという。そもそも自分から出て行ったのに会いに来る
なんて恥ずかしくはないのか?という。
母親は凄く怒っており、
自分だけがニコニコとして父に会う事は出来ない
という。
健はそんな明子にコーヒーを奢る(1杯80円!!)ことにする。

敬子は職場でいつ父親が扉を開けて現れるのか緊張した面持ち
でいた。この複雑な気持ちを誰かに話したいと考えるが、
敬子にとっては誰にでも話したいことではなく、雄一に話したい
のだと考えていた。しかし彼は今留学試験のことで頭がいっぱい
でとても相談出来る状態ではないと感じる。

明子は健に話を聞いてもらった上にコーヒーを奢ってくれた事に
お礼をする。また来週会おうと約束する中で、目の前から
薬局の洋子が配達のためにやってくる。デレデレとしている健の
姿を見て明子は失望し、帰宅しようとする。彼女には既に振られ
ている事を告げるが、彼女は人当たりが良いのでつい話をして
しまうのだと語る。

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今回は何と言っても敬子と父が再会したという事だろうか。

子供達は会いたい気持ちが有るけれど、母親の手前その気持ち
を抑えている感じで、ちょっぴりフラストレーションの溜まる
状態だった。

それぞれが思い描く相手に対する気持ちが、エゴなのか何なのか。
それぞれの年代別にそんなエゴを覗かせつつも、年齢は殆ど
関係無く存在している事が描かれ、敬子の雄一への気持ち、
沢野の敬子への気持ち、須藤(父)の家族への気持ちというのが
面白い具合に比較するようにして存在している所がよく
出来ていた点だった。

自分たちを捨てた理由を尋ねた敬子。
何度も父親が済まなそうにして、弁解の余地は無いと口にしつつ
も、きっちり主張すべきところは主張している姿が印象的だった。

繰り返しの日常生活の中で、自分の先の人生が見えてしまった
事が失踪の原因だった。
男性にはそんな一面が有るのだろうか。
家族への責任が足枷となり、自分の人生を縛っていると思って
いるようで、そう思うのではあれば家庭など作るべきではない
とは思うけど、なかなかそれに気がつくのは、そういう場面に
遭遇しないと分からないものなんだろうね。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

須藤 …… 森幹太 (キクの夫、13年前の行方不明)
岸本 …… 原田あけみ (敬子の同僚)
洋子 …… 川口恵子 (薬局)

鈴木洽六

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