木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





 

第17話 監督:中川晴之助
--------------------------------------------------------
朝、洗面をする雄一に耕作は話しかける。
最近雄一は寝過ごすことが多く、昨日も深夜に起きて酒を飲ん
でいた事を知っていた。酒を飲まねば眠れないような年齢でも
ないだろうと父は息子に声を掛けるが、寒くて布団から出られ
なかったのだという。朝食も取らずに出て行く雄一にパン一枚
でもいいので食べていけとするが、横浜駅で電車一本乗り過ごす
と大変なので駅で牛乳を飲むから良いとして出て行く。
雄一が出ていった後、弟の健が起きてくると、最近の兄さんは
荒んでいると告げる。
そんな雄一は父に対して、お願いがあるという。
大学の願書を二つ出してきたがそれだけでは心細いのだという。
父は息子の不安な気持ちを察してあと幾つ学校を受けたいのか?
と尋ねる。受験料には国立だと3千円、私立だと5千円がかかると
いうと、私にだって受験料の一万や二万を出す甲斐性は有ると
つげ、受けたいならば受ければ良いという。健は兄に相談すると
馬鹿だのチョンだ(※TVのセリフ通りなのでご了承を)の言われる
ので言いづらかったと語る。

健は明子と一緒に大学に願書を出しに行く。
二人一緒の大学に通えれば良いけど、とにかく残り10日間、
下手な鉄砲は数撃てば当たる事にかけるしかないという。
明子は男は大変ねと嫌みを言う中、貴方の兄もしても失礼だと
いう。先日母が訪れた際に、姉との関係を友達だと言った事を
非難する。しかしあの場合ああ言うほか無かったとして兄を
庇う。明子は仕事が一番なんて酷いとし、姉はあれ以来酷く
落ち込んでいるのだと語る。すると健もまた兄も眠れず酒を
飲む日が続いている事を語る。

父・耕作は会社を休んで競輪場へといく。
するとそこで昔仕事場で一緒だった後輩の吉本と偶然逢う。
耕作が競輪とは驚きだとし、あの会社を辞めたのか?と問われる
が、それを否定する。自分はこのレースを当てなければならない
と言うと、吉本は自分はベテランなのでアドバイスするという。

そんな中仕事をしていた雄一の元に、受付に女性が面会を求め
に来ていると知らせが入る。稲葉と名乗っていたと聞かされる
と、雄一は敬子が来たのかと思い、先日友人だと語った事に
どう説明をすべきか苦悩するが、実際に会社に来ていたのは
妹の明子だった。

--------------------------------------------------------

いよいよ雄一の試験が終わり、弟・健の試験が10日後の迫る。
キクが乗り込んで来た際に雄一は敬子との関係を友達だと
したことから、違和感を感じながらも、互いに一つの区切りと
して伝わる。そんな中、定年を前にした父・耕作の行動に有る
異変が起き始める。

父親の件がここにきて不安な要素として浮上してきた。
土日に競輪場に行くならばともかく、会社を休んでまで
賭け事に熱中している姿。是が非でも当てないといけない
としたことから、当初は健の受験料関係の事かと思ったけど、
寧ろ定年後に大学生を迎える健の授業料などについて気にして
いる姿が有るのかな。

今回はなんと言っても雄一と明子が話し合うという珍しい
やりとりが有ったこと。会社まで押しかけてくる明子の逞しい
行動力は母親譲りなのだろうか。本人の事ではなく姉のこと
だからこそ行動力を見せられている気もするけど、とにかく
雄一に心境が聞けて良かったのかも。

敬子のことは好きだが、好きだとして付き合った場合、渡米
して2、3年会えなくなるので、気持ちを抑える自信がなく
行動を制約していること。敬子を諦めるということよりも、
留学を諦めてしまいそうな自分がいること。

敬子が佐野とのデートに興じるのも寂しさ故の行動なのだろう
けど、流石に無いなと思わせる。包容力はある程度感じる
所なのだろうけどね。何で離婚をしたのか一度聞いた方が
良いのではないかと。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

吉本 …… 江幡高志 (耕作の後輩)

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system