木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第18話 監督:中川晴之助
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敬子は朝早くに出かける。母・キクに気がつかれないように
静かに出て行こうとするが見つかってしまう。日曜日なのに
早いわねと告げると、敬子はこれからドライブに行くのだと
いう。誰と行くのか?と問われると、敬子は言わなければダメか?
と問い返し、柴田さんではないので安心してと告げる。敬子
は免許もあることだし今度家族三人でドライブに行こうと告げ
出て行く。
キクはベランダから敬子が赤い車の男性と出かけていくのを
目にする。
明子も起きてくるとキクは敬子がドライブに出かけた事を話す。
すると三浦海岸に行ったのでしょうと告げる。母は妹が知って
いた事に驚くが、母に言うとまたゴチャゴチャと言われるのを
嫌って内緒にしていたのだという。誰と行ったのか?と問うが
明子にも相手のことは言わないのだという。キクは親ならば
娘が誰と遭っているのか気にするのは当然の事だと告げるが、
明子はそんなに詮索したら嫌われると語る。子供の事をもっと
信用しないとダメだとし、子供が親から離れるの成長した証な
のだと語る。キクはそれに反論しようとするが、私にはそんな
議論をしている暇は無いとして勉強に戻る。

敬子は先日のクラブに続いて沢野とのドライブデートに来て
いた。朝暗い内から出かけるなんて驚いたという沢野に対して
母親に出かけるのを知られたくなかったのだという。

一方雄一は弟が受験勉強している為に変わりに洗濯物を干して
いた。そこにハルがやってくる。ハルは日曜日なので仕事が
休みである事を告げ、私が変わりに家事仕事をするという。
雄一はそれならば仕事として金をきちんと払うとし、仕事と
して接しないと色々と頼みづらいのだという。しかしハルは
水くさい事だとして一蹴する。ハルは旦那(ダン)さんはどう
したのか?と問うと、先日も会社を休んで競輪場に行っていた
という。雄一は父も定年が近いし、それくらいの娯楽は必要
だとして、家族はみんな黙って居る事を告げる。健は20日から
試験なので朝から勉強している事を語る。

キクは勉強している明子に何か食べるか?と声を掛けるが、私は
今追い込みで勉強しているのだとして声を掛けないでとし、放
って置いてくれる事が一番だと語る。折角心配しているのに、
五月蠅いなんて酷いとし、キクは娘たちから距離を置かれられ
ている状況に苛立ちつつ、寂しさを覚えていく。

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日曜日、敬子は朝早くから沢野とドライブにいく。
明子は受験の追い込みの為に部屋で勉強する中で、母・キクは
折角の休みなのに、娘たちと過ごせず、またあまりプライベー
トに関しても話をしてくれない娘たちに寂しさを覚えていく。

前回柴田家の父の寂しさに触れたのかなと思えば、今回は
稲葉家の母親の寂しさを描いたのか。以前ハルさんの孤独の
寂しさというのが描かれたので、それぞれの現状、それぞれの
寂しさに触れていくという所なのだろうか。

なんと言っても今回は吉本の怪しさが際立ってきたこと。
ハルさんが勘を働かせているのもまたあながち間違いでは
無さそう。耕作さん人が良さそうなので他人を疑うことを
知らず寂しさを埋めるかのようにして、自分の事を必要と
してくれているという丸山という実在するのかどうかも
分からない社長の話をされて、"営業の柴田"といえばある程度
名が知れているといわれた事で完全に舞い上がってしまって
いる感じ。やはり退職金を根こそぎ取られてしまうという
役回りなのだろうか。そしてそれを補うために是が非でも
留学して出世しなければならないとしたら、かなり寂しい
事になりそうだな。

敬子はドライブにいくも、気持ちは相変わらず雄一にある。
沢野はデートに応じたのであればある程度、自分が敬子に
アプローチする事にも容認はしての事だろうとして、真理
を付いてきたけれど、この人はとても鋭い嗅覚を持っている
のに雄一と敬子の事を本気で友達だと考えているのだろうか?

以前沢野が敬子の事を写真に撮ったけれど、そこには何も写っ
ていなかったという。それが事実なのかどうかは分からない。
当時は手の届かない所に居たが、今は手が届きそうな感じが
するとしているけど、やっぱり手が届きそうにない。
今となって怖くなったか?としてそれは甘ったれだとする辺り
そうですか?って感じにも思えるけど、沢野が自分の感情を
抑えられない年では無いとしている事から、対照的に雄一は
抑えられない側の若者を演じていくことになるのかな。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

吉本 …… 江幡高志 (耕作の後輩)

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