木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第20話 監督:中川晴之助
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朝7時、健は父親・耕作たちを起こす。全ての試験が終わり合格
発表を待つだけの状態なのでとても身軽だという。
雄一も既に起きていて洗面をし終えていた。
父に対して雄一は
今日辺り内示が有るかも知れない
と語り、現在発表が長引いて
いる事を告げる。健は兄に新聞も取ったのならば牛乳も取って
くれと語る。
朝食を取る中で、ハルさんが来ないことを残念に思う健。
こだわらずに来てくれたら良いのにという健は、合格したら
一番心配してくれたハルさんに知らせたい事を告げ、兄の試験
の事もとても気にしてくれていたのだと語る。父と結婚したか
ったのだろうねと。雄一は健にも今日辺り会社で内示が有ること
を話す。

電信部で最終選考まで残っていたのは佐藤雄一だけだった。
社内ではどちらが合格するのか話題で持ちきり。
仕事をしながら佐藤と会話していた雄一。部長が戻ってきたと
する佐藤だが、呼び出されたのは雄一だった。
雄一に合格した事を告げる部長だが、まだ勤務地に関しては決ま
っていない
とし、第一希望のニューヨークを推薦しておいたが
15人も居るので何処かまだ分からない事を聞かされる。
佐藤から話は何だったのか?と聞かれ、合格通達だった事を語る。
それにしては浮かない顔をしていると指摘される雄一はまだ
その実感が無かったが、昼休みになってようやくの喜びを実感
し始める。
父と弟にも合格した事を電話で知らせる中、敬子にも直接伝え
たいとして自然と彼女の職場へと足が向く。しかしこれで少なく
とも二年間は逢えない生活が続く事も有り、合格した事を話し
ても喜ばれるハズは無いと感じる。
敬子が同僚とランチして戻ってくる姿を遠くから眺めるが、ど
うしても声を掛けられなかった。喜びを分かち合いたいのに・・
雄一はそこで始めて自分の気持ちを隠さず、自分が敬子を好き
だという事を自分自身認めるのだった。

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健の大学入試合格発表よりも先にいよいよ雄一の留学の件が
発表になる。果たして雄一は合格するのか。

不合格だった同僚の手前も有ったのかも知れないけど、喜びが
後から付いてくる形で、真っ先に知らせたい相手が敬子で
有りつつも知らせる事が逆にこの関係を終わりにするものなの
ではないかと感じてちょっぴり冷や冷やする感じのエピソード
だった。

好きだという気持ちを認めた途端に、切なくなるものが
浮かび上がってくるのかと思ったし、勤務地がニューヨーク
ではなくアフリカのエジプトだと聞いて益々恋に傾いていく
のではないかと思う所も有ったけど、意外と変な意味で
吹っ切れてしまった感じがする。

この喜びの中にハルさんが居ないというのもちょっと寂しい。

部長の言い分も分からないでもないけど、早くも現地語を
学んで接待云々とか言っている辺り、一体何のための留学な
んだという感じもする。まぁまだまだ時代性から考えると
アフリカは未踏の地って感じも有ったのかも知れないし、
出世しやすい事には変わり無いのだろうけど、逆に先輩が
言っている様に一生とは言えなくても長期間帰国できなくなり
そうな感じもする。

果たしてこの条件で留学するのかな。
ただ雄一が敬子に対して、自分には恋と同じように仕事を
愛していること。そしてその決意が語られ世界で仕事する
事への意欲を唱えられてしまうと、アフリカでもなんでも
関係無いって感じがするのは確かかな。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

武内亨、近藤洋介、原田あけみ、戸川美子

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