木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第22話 監督:中川晴之助
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日曜日の朝。
健は朝食に御御御付けを出す。父・耕作は味噌汁が美味しい
事を告げると、健は大学生になった記念に味噌を変えたとし、
お礼奉公だという。
兄・雄一も食卓に着くと、今まで見たこともないセーターを
来ている事に気がつく。父は派手な色だとするが、健はとても
うらやましがる。カイロに行く際には僕にそのセーターをくれる
か?と問うが、カイロでも冬は寒いとして持って行くという。
それを着て何処に行くのか?とすると横浜だという。一体誰と
会いに行くのか?と問いかけに雄一は弟の質問攻めにウンザリ
してどうでも良いだろうと告げる。健は耕作に兄さんがただ事
ではない事が起きていると語る。しかし耕作ももうじき雄一も
日本を発つのだから良いだろうという。健はいつも僕の服は
兄のお下がりばかりだとすると、父はこれから一緒にデパート
に行って買い物でもしようかと語る。折角大学に入ったのだから
お祝いだとすると、それならば美味しいモノを食べてこようと
告げる。雄一はうらやましがるが、兄さんは彼女と過ごせば良い
と語る。しかし雄一は二年も日本を留守にするのだから、俺と
遭う女性だっていい顔をするハズは無いと語る。二年は長いな
と告げると父は二年後どうなっているかと呟く。

雄一はレンタカーを借りに行く。

一方敬子は出かけようとしていた所、明子は一緒に連れて行って
と引き留める。今日は一人でブラブラしたいのだという敬子。
本当は雄一とドライブデートをする予定だったが母の手前ウソを
付いていた。出かけようとしていると突然電話が鳴る。写真家の
沢野からの電話で、たまたま近くで仕事があったので家の前に
来ているのだという。敬子はそんな約束はしていないので断ると
告げるととにかく今日は一人で居たいのだという。

敬子は沢野の前に現れると、私は出かける所だったとし、ドライブ
にはいけないと断る。沢野はそれならばそこまで送っていくと
言って聞かなかった。しかし敬子は断ると僕ってそんなに信用が
無いかと告げる。

敬子は近くに居た雄一との約束の場所に駆け寄ると、沢野も車
で尾行して来ていた。貴方とデートとは知らなかったという沢野。
安全だと思っていた人が危険な人物だったすという。そんなもの
じゃないとすると、沢野は恋仲では無いのか?と問う。もうじき
二年間の海外留学に行くのだと告げると、別れのドライブなのか
と告げる。私はそれ程妬くような事ではないのか?と問う。
二年のブランクは敬子にとっても小さい事ではないとし、軽々しく
約束などするなという沢野に対して、貴方に何の権利が有って言う
のかと問う。私はこの人が好きだと前から言っているとし、君は
そんな事一切言っていなかったいう。それなのにここに来て愛だの
恋だのと言い二年も逢えないのにそんな事を言うのは無責任だと
言っているのだと語る。
本心を言えばドライブにも行かせたくはないとするが、見苦しい
行動かと呟く彼。
そんな彼を残して二人はドライブに出かける。

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2ヶ月後に海外留学に行く事が決まっている雄一は現実の逃避
とばかりに2ヶ月後の事は考えまいとして敬子とドライブの
為に伊豆・下田の方へと足を運ぶ。行き先は特に考えていなか
ったが、終着点を見つける事を恐れ、遠くの方に行きたいと
考えていく。

沢野は核心を突いているけど、自分が敬子の相手に相応しいと
は限らず、結果的には一人悪あがきしているだけにしか見えない。
これも雄一が曖昧な態度を取っていることで、沢野にも付け入る
隙を与えているというところが有るのも事実だけど、沢野の
積極性はある意味肉食系でも有り、愛しているものを掴む為の
執念としては当然のモノが有るのかなと思う。今の価値観から
するとただ面倒な男にも見えるのだけどね。

折角のデートが沢野の言葉で罪悪感やら現実を感じて辛い立場
だけど、暫くするとまた二人だけの世界が戻って来たので
良かったと思う。
ただ会話の中には、二人が触れてはいけない爆弾のようなもの
が存在し、かなり気を使うデートである事は言うまでもない。

あれだけ遅くまで下田の温泉ホテルに居たので、今日は帰らない
のかと思ったけど、流石に60年代の価値観では手さえ握るのも
難しいのか。
タバコを吸う際に、風よけのために敬子のコートの中でタバコ
を吸う時なんて、互いのパーソナルスペースに入り込むかなり
の親近感を寄せる行為だったけどキス一つしなかったしね。

途中で酔っ払いみたいな若者が二人を冷やかすとか、まさか喧嘩
になるのか?的雰囲気も有ったけど、流石にそうはならなくて
良かった。
互いに帰りたくないとする気持ちがひしひしと伝わって来たし、
海岸で先に雄一が帰らないといけないとしながらも、それを
無視して敬子が下田に行こうとする辺り、気持ちが伝わってくる
ものが有ったな。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

吉田義夫、佐藤正次

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