木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第24話 監督:中川晴之助
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稲葉家にアラスカ元夫・ケンイチから手紙が届く中、その
4日後、キクは職場でイライラ感をスタッフにぶつけていた。
キクは
夫の身勝手な振る舞いに怒っている以上にそんな夫の
勝手を許しかねない自分の孤独に腹を立てていた

元夫はキクたちとまたやり直したい事を通知してきていたので
ある。何故そんな身勝手な男を許したいと感じるのか、それが
悔しく腹だたしい思いがしていたのである。

キクは夜遅くに帰宅すると、敬子がまだ起きていた。
敬子はキクが元気がない事を指摘すると、夜遅くまで仕事を
してきたので当然だとするが、敬子は手紙の内容が気になり、
何と書かれていたのか?と問う。キクは破り捨てたとしか言わ
なかった。逆にキクは最近敬子が家に夕食を食べない事を
明子から聞いて知っていた。その事を問い詰めると、母親が
怒ることなので話すのを躊躇うという。キクは見当はついて
いると語り、親とは子供の結婚相手にケチをつけたがるもの
だと語る。相手は留学するのだろう?と問うと2年間は海外
生活だという。独身が条件なので、帰ってきてから結婚しよう
と約束しているのだという。私が待っていると言ったのだと
いうと、馬鹿な事だと告げる。例え馬鹿でも良いとする敬子
だが、外国に行くと決まっているのに毎晩逢うなんて、雄一
の方も常識がないと非難する。もしも何か有ったらどうするのか?
問い、
約束しても2年後のことなんて分からないとし、男性なんて
すぐに気が変わるものだと語る。しかし敬子は女性だってそれ
は同じ事だと告げ、
好きだから約束したのだという。
キクは以前雄一と逢った際には友達だとハッキリ言っていた
事を指摘し、嘘を付いていたのかと問うが、友達でいようと
努力したがダメだったのだという。キクが雄一の事を"あの男"
だと言う事に敬子は我慢ならず、そんな言い方をしないで欲しい
と告げる。
好きな男が出来れば、母親の気持ちなんてどうでも良いのか?
と問うと、母さんが分かってくれないから言い出せないのだと
語る。会話していると明子まで起きてくる。するとキクは
子供たちがそんな様子ならば私もあんたたちを放り出してアラス
カにでもいくよと語る。

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敬子が雄一と結婚の約束をしたことを聞いて、母・キクは娘の
勝手な行動に憤る。しかし母の心の中では、子供たちが巣立って
いくことで、一人取り残される事への不安から、別れた父と
一緒になることも考え初めているのだった。

柴田家と稲葉家の事情を並列的に描いているところは上手いね。

耕作もキクと同様に子供が巣立つことに寂しさを感じている
けど、ただ耕作とキクの違いは、耕作は比較的前向きにその後
の人生を眺めているというところなのかな。この辺は男女の違い
が作用しているのかなと思う所も有る。

キクが耕作にクレームを付けに行くも、定年退職の日だと知って
抗議する気も失せてしまう。
その際の耕作に対する社員たちの姿勢が、あまりに年上の人を
敬う姿に微笑ましくもあり暖かくなる内容だった。

それにしてもこの時代、定年が55歳だったんだね。
平均年齢からするとあと10数年生きられるとしていたけど、今の世の中
ならば30年近く生きられそうだ。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

田中賎男、滝左太郎、名川貞郎、沢渓

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