木下恵介生誕100年 木下恵介アワー 3人家族
1968/10/15〜1969/04/15 (火曜21時枠・TBS)

脚本:山田太一
監督:木下恵介、川頭義郎、中川晴之助
音楽:木下忠司
主題歌:「二人だけ」あおい輝彦、瀬間千恵
制作:木下恵介
ナレーション:矢島正明





第26話 監督:川頭義郎
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明子からの手紙を受け、兼一アラスカから日本に一時帰国
する。
14年間妻と子を捨てた男を許してくれるのか
自分の為だけに生きる男が一人孤独に死ぬ事に耐えきれず、
許しを請いに来たからと言って果たして許してくれるのか。
兼一は母・キクが戻るのを部屋で待っていた。
敬子は兼一が部屋に居る事に驚き、突然の事なので何と言って
良いのか分からないという。明子が良い事をしてくれたのだと
いう。敬子は兼一が戻れば母のためにも良いと思うとし、自分
も父の事を歓迎すると告げる。母もホントは歓迎しているハズ
だが、それを素直に認められるかどうかが問題だった。

明子は母が帰宅するまでの間落ち着くことが出来ずにいると
敬子は私に任せて欲しいと告げる。二人の為に出来る限りの事
をしてあげようと告げる。
明子は母の帰りが遅いので外まで様子を見に行こうとすると
その時玄関のドアが開く。キクは
娘達の様子がおかしいことに
すぐに気がつく
中、部屋の敷居が閉まっていることに違和感を
覚える。何かあったのかと問うとただごとではないみたいだ
というキクに大して、敬子は私と明子で父さんの事を呼んで
しまった事を語る。父の事を許して挙げて欲しいとし、私たち
には分からない事情が有るのかも知れないがそれでも一緒に
過ごして欲しいと告げる。決して母さんだけで不足ではないし
母さんにとっても幸せなことだという。母が幸せならば私たち
も幸せなのだと。
簡単に済む事ではないが、父も十分に制裁は
受けている
と告げると、キクはふすまの向こうに居る夫に対して
娘にばかりこんな話をさせるのかと問う。

夫婦の二人はベランダで話し合う。
思った以上に長いこと部屋に戻ってこないので心配するが、
少なくとも喧嘩ならばこんなに時間はかからないハズだとして
期待する。部屋に戻ってくる二人は4人で話し合おうと告げる。
キクは悔しいけど一緒に暮らすことに決めた事を告げると
明子と敬子は良かったと胸をなで下ろし喜ぶ。キクは娘たちに
長い事苦労させたとして謝罪する。寂しいもの同士、意地に
ばかりなっていられないとの事だった。

翌日、敬子は雄一に、明子は健に逢うと、父が戻ってきたことを
語り、共に女性が女性陣にランチを奢ることになる。今頃
母たちも夫婦で食事をしている頃だという。

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いよいよ最終話。
果たして雄一と敬子はどういう結末を見せるのか。
そして稲葉家の両親はどういう決断を取っていくのか。

正直シナリオとしては殆どやるべき事はやり尽くしている
感じで、大団円を演出したような流れだった。

雄一と敬子は取りあえず現状はそのままで出発を辞める訳
でもなくただ二年を待つとの事だけど、敬子が旅行代理店を
している事も有って、パリ支社への異動を求めた所その
可能性が出てきたという感じ。パリとカイロならば多少は
距離が近づくことで、遠距離も中距離くらいになった感じ。

稲葉家として見れば、母としての揺れ動く心を見ると夫に
傾いているのは明らかだったし、子供が巣立った後のことを
考えると元サヤに戻るのが一番なのかな。
母親が恨みの念から一歩踏み出せずにいる所を娘たちが肩を
押した格好で、上手く元の関係にこそ戻らないけど、新たに
関係を築いていけそうだ。

次男・次女カップルは未だに講堂を占拠している明子の方は
大学が始まらない様だけど、女権論でも求める講堂占拠を
しているのだろうか?
健はすっかり大学生活に慣れた感じで、クラスには女子生徒
が2/3も占めているという事でちょっぴり頬が緩んでいたけど
改めて明子の良さを説いていた。
大学でのクラス分けなんて形だけだし一般教養課程のある
一年とか二年の時くらいしかクラスを意識することなんて
無いよな。

父の再就職件では結局職安で探した城西生命で金の集金業務
をするらしい。定年55歳の時代だったんだなと今更ながら
感じさせる。平均年齢が80年の今から考えると、長い余生
って感じだものね。
父とハルさんの関係も元通りになったかと思えば、一歩進んで
二人が結ばれそうな可能性も臭わせていたな。

最後は両者の両親が中華レストランで顔合わせしていたけど、
互いに上機嫌で円満なまま終わった感じ。

柴田雄一 …… 竹脇無我 (長男、商社勤務)
柴田耕作 …… 三島雅夫 (父、サラリーマン)
柴田健 …… あおい輝彦 (次男、浪人)
稲葉敬子 …… 栗原小巻 (長女、航空会社勤務)
稲葉キク …… 賀原夏子 (母、ロシアレストラン)
稲葉明子 …… 沢田雅美 (次女、浪人)
春日ハル …… 菅井きん (お手伝い)
沢野敬 …… 中谷一郎 (写真家)
佐藤 …… 遠藤剛 (雄一の同僚の社員)

須藤兼一 …… 森幹太 (敬子の父)


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