太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html




 

第51話 危険を盗んだ女

脚本/田波靖男 監督/竹林進
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デンカは朝バスに乗っているとバスの中を移動する女性・原田
京子によって足を踏まれてしまう。謝罪を受ける中、デンカは
綺麗な人だと感じ彼女の行動をつい目で追う。すると彼女は
突然近くにいた男性の背広からサイフをスルのを目撃する。
しかしバスは揺れていた為に肝心の所は見えなかった。
そこでデンカはバスの中で男性と接触しサイフがあるかどうか
の確認を取らせ、バスが止まり彼女が降りたところで声を掛ける。
交番で話を聞く中で、男は自分のサイフだとしながらも、
デンカはサイフの中身を確認したいと言われて、男は自分の
サイフではなかったと言い出す。自分の勘違いであり、サイフ
は自宅に忘れてきたものだという。京子もまたデンカに対して
バスがあれだけ混雑していたのだからハッキリ見える筈はない
としてデンカが有らぬ疑いを掛けた事に対して、謝罪を要求
する。男物のサイフだとしても、これは父親の形見のサイフだ
という京子。もしも謝罪しなければ署長に掛け合うし、更には
マスコミにも投書すると言い始める。仕方なくデンカは言いづ
らそうに済みませんと頭を下げる。

しかし京子が外に出てくるのを待って先ほどの男性が彼女から
サイフを取り上げようとしているのを見つけるデンカ。
急いで男の後を追うが踏切によって寸断され、残念ながら
見失ってしまう。

翌日、矢野川男性の遺体が発見される。
遺体は手足を縛られ、拷問されたと思われる数々の打撲痕と
タバコを押しつけられた様な跡が見つける。殺されて川に
投げ捨てられたものだろうが、どの地点で投げ捨てられたのか
は分からないという。デンカは捜査に合流すると、男の遺体
を見て昨日女スリ師にサイフをすられた男だと告げる。
何故あの時自分のサイフだと主張しなかったのか。何かサイフ
に不味い物が入っていたであろう事は明らかだが、人に見せられ
ないものとは一体何なのか。
鑑識の高田によると遺体は42、3歳で後頭部を挫傷。
死亡推定時刻は午前3時頃だという。更に服からは少量のシアン
が検出されたという。
ゴリさんはすぐに被害者の身元が判明した事を告げ、被害者は
前科5犯の松尾トシオ公文書偽造・・つまり偽札の原板作りで
逮捕されているという。先月出所したばかりだった。
ボスは女性スリ師を掴まえるのが先決だとして、デンカにその女性
を探してくるよう告げる。マカロニは自分も一緒に探しにいく
として女性の特徴を尋ねると、唇の下にホクロが有ったという。
しかしボスはマカロニには矢野川のどぶさらいに参加させると
告げ、被害者の衣服から検出されたシアンは主に偽札の原板を
洗うのに使用されるもので、現在では下水に流すことは禁止され
ているものだという。矢野川上流に行き、水質サンプルを採取
してくるよう指示する。

そんな中、七曲署管内で空き巣が入ったとする事件の通報
有る。マカロニは電話対応に出ると、どぶさらいをするのを
嫌い自分が応援要請に参加するとして出て行く。それを知って
ゴリたちは嫌な仕事から逃げたとしてマカロニをにらみつける。

空き巣が遭ったとするマンションにいく。
室内は確かに荒らされていたが、被害者本人は通報する気は
無かった事を告げ勝手にマンションの管理人が通報したのだ
という。自分は管理人に自分の家の鍵を誰かに貸さなかったか
を尋ねただけとのことだった。部屋の鍵は私か管理人しか
持っていないとの事だった。マカロニは女性に何か盗まれた
ものはないのかと尋ねると、片付けてみない限り何が無くなって
いるかは分からないとのこと。警察には早く引き取って欲しい
と語る。マカロニは女性の名前を聞くと原田京子だと名乗り、
自称デザイナーだと語る。私の部屋に盗まれれる様なものは
置いていない事を告げ、早く帰ってと言われる。マカロニは
女性の唇の下にホクロがあるのを見て、七曲署にいるデンカ
に今すぐマンションに来て確認して欲しいと語るる

マカロニとデンカで改めて京子の元を尋ねると、案の定デンカ
が探していた女性だと判明する。
デンカは京子に対してサイフを渡して欲しい事を告げ、あの後
そのサイフを盗まれた男は殺されたのだと語る。私には関係の
無い事だという京子。サイフの中には何が入っていたのか?と
問うが、金は使ったとして、私の金をどう使おうが良いでしょう
と告げ、一切取り合う姿勢を見せなかった。
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■メインはデンカ

バスの中で出会った女性スリ師と刑事の構図。
互いに謝罪をしたりそれを求めたりで、複雑な状況だったけど
相手のことを徐々に引きつけられていくというところには
繋がっていると思う。

■ヤクザも満員バスに乗る

いや別に悪くは無いのだけど、大抵ヤクザならば車で移動
するんじゃないかなと思うとサラリーマンの如く公共の
乗り物を使っているところがちょっと滑稽なものがあるかも。

■凄腕のスリ

彼女のスキルが幾つもの場面で見られてとても面白く出来て
いた。近年の海外ドラマのスパイものや詐欺師もののドラマ
も真っ青の手際の良さ。描き方も悪くなかったけど、
相手の財布に偽札を忍ばせるという辺りの描写はちょっと
無理が有ったのかなと思う。
高級レストランでデンカたちに請求書が潜り込ませたりする
ところがまた凄かったね。

■マカロニも引き当てる

冒頭でデンカが女スリ師を引き当てたけど、空き巣事件に於いては
マカロニがデンカから女スリ師の特徴を聞いていて、疑いの目を
持つ。
サイフを見られたくない偽札作りの男同様に、京子もまた部屋を
捜索された相当不味い筈なのに、何も出なかったのだろうか?
ちなみにサイフは金魚の水槽の中に入っていた。昔から重要な
隠し場所として水槽が利用されることは珍しくないね。

■人の命と偽金の価値

今回のドラマを見ていると、偽札を無くした男・松尾がリンチに
有って殺害された。まぁ松尾が猫ばばしたのかも知れないと
考えてリンチしたのかもしれないし、部下たちへの見せしめも
有って殺害したのかもしれないけど、偽札が流出するのを避ける
為に金の流れを追っているヤクザは仲間の死から警察の捜査の
足が付くかも知れないのに、安易に殺害してしまうというところ
がまた何とも言えないところがあるな。

■デンカと京子が捕まる

レストランでの食事をした後に拉致されてしまった。
マカロニは一歩遅いタイミングで現場にやってきたけど、どう見
ても拉致されたであろうことなのに、車のナンバーくらい覚えて
置くのが刑事だろうと小一時間だけど、車に乗せられたシーンは
見ていないので、あの車に乗っていたという事には気が付いていな
かったのだろうか?

■拉致監禁・外部への連絡方法

偽札をすぐに使わせるという辺りはかなりのご都合主義的だった
けど、面白く伝わった話なのかな。
律儀にも最後の晩餐を用意してくれるヤクザたち。
そしてその食事に毒が入っていて、それを食べたネズミが死亡
するということだったけど、相当不衛生なところにある工場なん
だね。
それは良いとしても、気になったのは、中華料理店の女性が
売り上げを調べていた際に、一枚足りないと言っていたこと。
配達の男が猫ばばしたのか。

■どぶ川

昔は生活用水・工業用汚水をそのまんま河川に流すということが
行われていたので、こういう臭いのするどぶ川って多かったのだ
ろうけど、今でもこういう臭いが凄いという川ってあるのかな。
韓国や中国では今でも規制無くそのまんま河川に生活用水を流して
いるので、問題にはなっているよね。

■逮捕・更正

ラストにわざとデンカの警察手帳を盗んで京子は逮捕された。
スリ事件は現行犯でないと捕まえるのは難しくないのかな。
自己申告しても逮捕されるのだろうか?
起訴はされず略式で済まされそうだ。

藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)

原田京子 …… 大原麗子 (女スリ師)
奥村 …… 土方弘 (空き巣事件で指紋が検出)
秋山 …… 武藤英司 (銃器密売)
高田 …… 北川陽一郎 (鑑識)
中華料理店女将 …… 岸井あや子 (偽札に気が付く)松尾トシオ …… 灰地
順 (前科5犯、公文書偽造、サイフをすられる)

亀井三郎、宮田弘子、奥山正勝、金子富士雄、久本昇
久保田鉄男


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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