太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第58話 夜明けの青春

脚本/武田宏一、小川英 監督/竹林進
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山さんたちはある容疑者の若者男性をビルの屋上に追い詰める。
若者は銃を手にして給料強奪事件を起こし、追い詰められたの
である。山さんに任せて置けば大丈夫だとしてボスは若者が
投降する説得を山さんに任せる。山さんは若者に対して、残った
銃弾は一発であり、このまま逃げ切れると思っているのかと
問いかけ、やってしまった事は仕方が無いが償う道はある事を
告げる。すると突然若者は開き直り、金がなんだとしてバッグ
の中に入った金をばらまくと、こんな紙っぺらの為に言いたい
ことも言えない世の中なんて耐えられないと語る。しかし俺は
それでもやり遂げたのだとして開放感を唱える。山さんは容疑者
の心境が変わったと見て落ち着かせようとするが、お前になど
気持ちは分からないとし、近づけば俺が死ぬとして、銃口を
こめかみに向ける。強がりは止せという山さんの説得もむなしく
容疑者は自分に向けて銃を発砲すると自殺してしまう
ビルの下では多くの人やマスコミがそのやりとりを聞いていた。

翌日の新聞紙面では、事件のことが取り上げられた。
犯人は住所不明の無職の若者。刑事の説得も空しく自殺した
と大きく書かれていた。こんな簡単に行動に走るなんて最近の
若者は何を考えているのかというゴリさんや長さんは語る。
この先我慢していきれば楽しいことだって有るかもしれないと
するが、ジーパンには若者の気持ちが分かっていた。もうこれ
以上容疑者の畑中次郎待てなかったのだという。欲求や不満、
ストレスを抱え、その気持ちをなんとか宥めて来たが、しかし
それに疲れたのだろうという。
そんな中山さんが七曲署にやってくると、ボスの様子を気にす
る。

ボスはその頃署長から責任問題を問われており、この件は山村
のミスだとして、暫く休暇を取らせろと要求する。しかしボス
は山さんが刑事としてさばく事は、彼自身の中にあるある事を
告げ、彼が休むという時はすなわち刑事を辞める時しかないの
だと語る。もしも彼を辞めさせるのであれば、私も辞めると
ボスは語る。

ボスはオフィスに戻ると、久美が縁日で買ってきたという涼し
げな花を購入してきていた。山さんはボスに駆け寄ると、署長
から何を言われたのかとするが、いつものように子どもの自慢
をされただけだと語り山さんに、死んだ次郎の事は気にするな
と告げる。

そんな中、ゴリさんの情報屋の徳さんから電話が鳴る。
徳さんによると詳しくは逢って話すが、福永芸能社福永隆三
銃の密売に関与している事を告げる。
ゴリさんは詳しく話しを聞くためにデパートの屋上で徳さんと
逢う約束をすると、山さんは自分も連れて行って欲しいと語る。

徳さんによると、徳永は外国人から23丁の銃を手に入れ、それ
を暴力団に売ろうとしている事を語る。密売は今回が初めて
なのかと問うと、2、3年前から扱うようになったのだという。
銃の受け渡しには事務所所属のナガシの歌手を使っているのだと
いう。先日拳銃自殺した次郎も徳永から銃を購入したのだと
聞かされる。

聞き込みをしていると、次郎とは一緒に話したことがあるという
人物を見つける。次郎は歌手志望をしていたが、結局ナガシの
サクラをしていた様だと語る。
それを聞いて山さんは近くの居酒屋のいちふくで女将たちから
話を聞いていた。するとそこにナガシの二人組・倉田
やってくる。
長さんと山さんは飲みながら次郎のことを話していたが、
長さんは彼を気遣い山さんのせいではないとするが、山さんは
彼の気持ちや性格をもっとしっかりと掴んでおけば死なせる
ような事は無かったと反省する。
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    ■説得の山さんが主役

ここの所、ジーパンの登場で彼が主役になることが多かったけど
今回は山さんが"落とし"のテクニックがある事が示されたもの
だった。

山さんもまさか自殺するとは思わなかったのだろうけど、可能性
としては全くない訳ではないと思う。
若者の気持ちの代弁者として、以前はマカロニの役目だったけど、
ジーパンが犯人の気持ちに寄り添うような役割りを持ったね。

■署長とボス

最近はこの二人の対立ぶりっていうのがほぼ定番になっている感じ
がする。
現場の捜査官と管理官の立場の違いってところなのかな。

■芸能社が銃を密売

居酒屋とかスナックなどを行脚するナガシの歌手って今でも居るの
かな。
先輩の倉田はモロにヤクザみたいな事をしているけど、ナガシで
の仕事もこなしているって辺りが笑えるところなのか。
ただこういう営業をしながら顧客を獲得しているってことも十分に
考えられるのかも知れない。

■情報屋は大事

捜査の流れで意外とポイントを抑えて重要な役を果たすのが情報屋
だ。デパートの屋上で大人が三人話し合っていたら寧ろ相当
怪しいと思うのだけど、今回はゴリさんの情報屋のお陰で、
事件の概要が掴めた感じ。

芸能事務所の福永が銃を密輸して市場にさばいていることを知る。

■足取りを追う

昨年ハニーレコードのオーディションに来たという証言を得る。
そこでナガシを仕切る倉田が新人たちをスカウトしていくという
話が聞けた。そこで初めて自殺した次郎と、居酒屋の裏で殴られて
いた新人のナガシの男性・木村実との接点が発覚する。

■銃の取引は渋谷の宮下公園

何も銃の売買に事情を知らない新人の男を取引に使わなくても
良いのに・・って感じがする。しかも公園で会うのは何故なんだ。
見つかった時の尻尾切りの為の新人の起用なのだろうけど、
逆のリスクの方が高いような気がする。
直接銃を彼の家まで届けるのではだめなのかと小一時間な感じだった。

■宮下公園に植えられたナス

今回のナガシの男・木村と居酒屋のいちふくの従業員の直子は
この公園でナスを植えている。
食べるためというよりも観賞用って感じで、こんな土地でもナス
が育つことで、自分たちの境遇とダブらせその実を実らせていく
様子に喜びを感じている様だった。
先立つものが必要だったのかも知れないけど、ナス農家を目指す
のではあれば、田舎で素直に作るというのはダメだったのだろうか。

■逃走する

男女が運命共同体のようにして"病める時も 健やかなる時も・・"
って感じなのだろうけど、逃走するのに何故ビルの屋上にいく
ところが不自然だった。しかも喘息持ちの女性を男性が勝手に
巻き込んでいくところがまたなんとも言えない。 
ドラマの流れとしては山さんが汚名返上する為に同じような
流れを作ったのだろうけどね。
若者がナスに拘ったように、山さんもまた彼らの中で育てている
ナスの象徴性というものを掴んでそれを説得の材料に利用していた。
どんな乾いた土地でも花は咲き実になったのだと。分かってくれる
人はいる。生きるのだと。
山さんも今回は左肩を撃たれて相当痛そうだったけど、心の傷
の方が痛いというところなのだろう。

■ボスのアシスト

結局女性はボスのツテで信州の農場で働き、実の出所を待つこと
になった様だ。



藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

署長 …… 南原宏治(署長)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)

平田昭彦 …… 西山隆行 (歌手)
情報屋・徳さん …… 上田忠好
倉田 …… 中庸介 (ナガシの先輩)
木村実 …… 峰竜太(ナガシの新人、直子の彼氏)
山下直子 …… 降旗文子 (いちふくの従業員、喘息持ち)
客 …… 平田守(いちふくの客・黒縁めがね、"戦友"を歌う)
畑中次郎 …… 平野康 (給料強奪犯)
女将 …… 槇ひろ子(いちふくの女将)
福永隆三 …… 東大二郎(福永芸能社社長)
黒川 …… 木島進介 (梶田組)

平田守、槇ひろ子、田中志幸、堀内泰治

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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