太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第59話 生命の代償

脚本/石松愛弘 監督/斉藤光正
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長さんとジーパンは勤務が終わると軽く一杯飲んでいこうと
語る。そんな中、長さんは交差点を渡ろうとする一人の中年の
男性の姿に違和感を覚える。精気を失ったかのようにして
赤信号を渡っていく男。声を掛けるがフラフラと出て行って
しまう。
長さんとジーパンは缶ビールで乾杯していると、また先ほどの
男が二人の前に現れビール缶を購入し、その場に座って飲み始め
る。ちょっと様子が変ではないかとする長さんに対して、ジーパン
は会社で嫌なことでも有ったのではないかという。酔って童心
に戻っているだけじゃないかとするが、長さんは気になるので
この後も尾行を続けるという。
男(井村太一)は喫茶店に入るがコーヒーには口を付けずに
街を見つめていた。更にビルの屋上に行くと、鉄索を乗り越え
る姿を目にする。長さんは何とか止めようとして体ごと彼に
抱きつく。男は自殺する気が失ったのか余計なことをするなと
告げるとビルを出て行く。長さんは彼が封筒を落として行く
のを目にする。
更にその後も長さんはずっと彼の後を尾行していく。
長さんは何か心配事でもあるのかとして自殺しようとしていた
ことは尋常ではないことを口にするが、あんなのは冗談だとして
家に帰る。長さんは署に戻ると、彼が落とした封筒に目を
通すと中には遺書だと思われるものが入っていて、「私の不始末
で会社の信用を失ってしまった事は全ての責任は私にある」
書かれていた。名前は井村太一だと分かる。

翌朝、長さんは七曲署で昨夜彼は自分が止めなければ自殺して
いた事を報告する。しかしあの調子ならばまたどこかで自殺
するだろうとのこと。遺書の文体は達筆でしっかりとしていた。
長さんはボスに対して、2、3日彼を徹底的にマークしたい事を
訴えると、ボスはジーパンも人生の勉強の為にも長さんと一緒に
行動するよう告げる。

井村(52歳)は大手商社・中光商事の輸入部第三係長として勤務
している事が分かる。52歳で係長というのは相当たたき上げだな
というボス。住所は会社の社宅に住んでいるとのことだった。
人事課長に話を聞くが、会社は大きいので井村に関する人事記録
を見つけるのは大変だと誤魔化される。

中光商事の社宅に足を運ぶ。
長さんはいきなり彼の自宅を訪ねるのはバツが悪いだろうと語る。
そんな中井村家の息子・ミノルと妻の和代が会話しているのを
目にする。
ジーパンは長さんの代わりに井村家を尋ねる。
自らは先輩の代わりに来た七曲署の刑事である事を告げる。
本日太一は会社を休んでいるとのこと。太一によると夕べの
事は誤解である事を告げる。
ミノルはジーパンに興味を示す。185cm・76kgと長身の姿に
驚く。

ジーパンは長さんの元に行くと、昨日の件は誤解だと伝えて欲しい
と言われた事を告げる。

太一は夕食の時間になると、突然散歩に行きたいとして一人で
出て行こうとする。ミノルは自分も一緒に散歩に行きたいとして
付いていく。太一はミノルに対して、自分の様に夜間の大学だ
と世間に出てから苦労する事を告げ、頑張って一流の大学に
入る事を求める。するとミノルはまたその話かとして、失望する。

踏切のところにいた太一に長さんは声を掛けて居酒屋に誘う。
太一は長さんの姿を見てあんたは幸せそうだと告げ、私は
このままでは取り返しが付かないことになるのだという。
ダラダラと生きても将来はないのだと語る。長さんに対して
どんな望みで生きているのか?と問うと、他人が生き死に関心
を持ってくれるとは思わなかったと語る。トイレにいくという
太一はまた長さんの前から脱走を図る。長さんはすぐに気か付いて
彼を追いかけると、彼は電車に飛び込もうとしていた。しかし
長さんは精一杯の声で彼の名前を叫ぶと、なんとか自殺は踏みと
どまるのだった。
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■長さんが主役のエピソード

長さんの周りでウロウロとしていた男性の様子を気にかけて
事件が発生する前から長さんがマークをしていくという物語。
事件を未然に防ぐというのは大事なことだけど、一人の人間に
これだけかかりっきりになると、警察官ってどれだけの人間が
必要になってくるのかって感じだね。

■ジーパンは意外と冷めた感じだったが・・・

前回、ジーパンは山さんと組んで、一人の人間に対して拘りを
見せてハリコミしているシーンに理解出来ないという態度を
取っていたけど、今回もまた長さんが一人の人間に拘っている
理由に冒頭では理解が出来ないとばかりに冷たい態度を取って
いた。しかしその人物と関わっていく内に、特に子どもの立場
から見た家庭の姿に共感したようで、子どもの面倒をよく見て
いく。

■内定していた企業

捜査二課が今回の主人公・井村太一が働く中光商事に関して
贈収賄の件で内定調査しているとのことだった。
明らかに会計を不正に操作しているのにそれも気が付かないのか
って感じだったね。
一人の人間に押しつけられる問題でもなさそうなのに、この会社
の上司連中は頭がおかしすぎる。

■引き直った男

企業相手に恐喝し始めたところが凄いな。
寧ろ捜査協力と称して、一度逮捕された時に話してしまった方が
良かったようにも感じる。

余程出世に関して焦っていたのだろうか。
52歳で社宅に住んでいるという状況だし、息子に対して学歴の事
を語る姿が有ったしね。

■ヤクザに拉致される

会社に雇われたヤクザによって、井村は殺されそうになる。
尾行していた長さんとジーパンが対応に当たるけど、
あの公園にいた人たちは女性陣も含めてみんな拉致する為のエキ
ストラだったのかな。

■渋滞・・・そしてカースタント

渋滞に巻き込まれた際に、ジーパンが車のボンネットを渡り歩い
て犯人の車にたどり着くシーンが有った。
普通に走って近づいた方が余程早いだろうとする突っ込み処も
有ったけどね。
更に言えば、わざわざ犯人の車にしがみつく必要は無かった。
長さんの車も後ろからちゃんと付いてきているしね。

この手のドラマにはありがちだけど、カースタントシーンになる
と途端にどうしても急激に場面転換して、人気のない空き地に
入って行くという違和感のある流れがある。
そして今回のドラマを見ていると、犯人の車にジーパンがしがみ
ついているけど、車が溝ではねた瞬間に、車のナンバープレート
が何故か真っ赤なバツ印がついているカットに切り替わる。

ちょっと滑稽だと感じたのは、長さんのアクションシーン。
容疑者を捕まえる際に長さんがダイブするのだけど、このシーン
がなんか可愛らしい。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

署長 …… 南原宏治(署長)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)

井村太一 …… 小山田宗徳 (中光商事・輸入部第三係長)
井村和代 …… 幾野道子 (太一の妻)
井村ミノル …… 佐瀬陽一 (息子)
野崎康江 …… 西朱実
野崎良子 …… 井岡文代
倉持部長 …… 杉江広太郎 (太一の上司、黒縁メガネ、太一と似てる)
…… 佐原健二 (中光商事・輸出入促進課長)
…… 加賀邦男(中光商事・常務)
…… 小笠原弘(本庁二課刑事・中光商事を内定している)
…… 久野聖四郎 
…… 野口英行


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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