太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第60話 新宿に朝は来るけれど

脚本/鴨井達比古 小川英 監督/竹林進
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オフィスで朝を迎える捜査員たち。
ボスは新聞に目を通し、山さんとデンカは将棋の対局。それに
茶々を入れるのはゴリ。そんな中ジーパンが珍しく背広姿
出社すると、ゴリはあんまり珍しいことをするなと告げ、
近頃天変地異がよく起こるのだという。そんな中タイミング
悪く地震が発生する。ジーパンは俺の背広のせいなのかと呟く
中、ゴリさは最も地震を怖がり机の下に潜り込んでいた。
世の中の論調も地震が今東京で起きれば死者は推定300万名だ
と語っているという。その情報を発しているのは、科学技術庁・
防災対策研究所技官中原和己(35歳)だった。

その頃、新宿西口公園で、中原は女性・秋山恵美によって包丁
で刺されて死亡する。しかし中原は一切抵抗したり、命乞いを
することも無かった。そんな彼女の元に三人のヒッピーたち
現れると、恵美は三人に対して"死んでしまった"と呟く。

鑑識の高田たちは現場を調べる。
死後4時間が経過していること。サイフや免許証などは残されて
いること。IDからすると被害者は中原和己だという。確か地震
の記事を掲載していた人だと一同呟く。サイフには3万円の現金
がそのまま残っていた事から、物盗りの犯行とは考えづらく、
抵抗の跡もないという。顔見知りの犯行の線が強く厄介な案件
だと語る。

山さんとゴリは七曲署にやってきた中原の妻・弘子に事情を
伝える。夫が恨まれていた事を示す形跡はないかと尋ねるが、
心当たりはないという。あの人は地震のことばかりを考えて
いる人だったという。

長さんとジーパンは中原が勤めていた研究所にいくと、黒縁
メガネの上司、遠山主任から話を聞く。すると中原は彼は
賭け事をすることもなく、愛妻家で子煩悩だったとし、酒を
飲むことが唯一の楽しみだったような男だという。新宿に飲み
にいく事が多かったようだとのこと。昨日は休みを取っていた
とし、体がダルいといっていたという。主任はそういえば休暇
届けの電話を受けた際に彼は気になる事を口にしていたと語る。
"主任もお元気で・・・"と語っていたので、その時は遺言状の
ように言うなと語ったのだという。

鑑識からの報告書をシンコはみんなの前で聞かせる。
体は虫歯を除いてほぼ健康体だったこと。被害者のYシャツに
は口紅が付着しているが、妻のものとは違う女性のもの。
外回りで聞き込みをしてきたものたちは、現在の所女性関係を
臭わす証言は出てきていないという。しかし女性が犯人だと
したならば抵抗せずに殺害出来るものだろうかと疑問を持つ。
もしかすると刺されるのを待っていた可能性があるとボスは
突拍子も無いことを語るが・・・

被害者が飲みに行っていた新宿を調べるという山さん。
長さんとデンカは中原の実家を調べるという。
ジーパンは捜査線上に出てくる女性を愛していたのではないか
と推測する。自分も新宿にいたことが有るので分かるが、
新宿とは時に破滅的でも有り、時に真剣な若者が多い土地で
あること。ボスはお前の勘なのかと問うと、新宿の街が大好き
なのでなんとなく分かるのだという。

新宿の小料理店にいくと、中原は先月に8千円のツケを全て
精算していったという。
一方家を調べにいったデンカたちに妻の弘子は先ほど気が付いた
定期預金が300万円ほど解約された形跡が見つかったと語る。
書斎を調べさせてもらうと地震関連の資料が多い中、"プカプカ"
というアーティストのレコードが置いてあった。
新宿を調べていた捜査官たちは、中原は先月にみんなどの店の
ツケも精算している事が分かる。もしかすると中年が一度は
入ってみたいとする店に偶然入ったのではないかというゴリさん。
調べていくウチに、クラブのママ・京子から先日中原が2、3度
店に来た事を語り、対応したのは店の秋山恵美だという。
恵美から話を聞くと確かに中原は先週の土曜日に来たことを告げ
ミッキーマウスの時計をプレゼントしてくれたのだという。
あの人はいつも地震の話ばかりをしていた事を聞かされる。
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■地震は恐ろしい

日本人の心の中には潜在的には地震による恐怖を持っている
人も多いとは思うし対象的に、開き直っている人も多いだろう。
地震の研究をしている人ほどそういった事実を目の辺りに
していくごとに絶望感というものを感じてしまうのかも知れ
ないね。ただ地震は一つのきっかけに過ぎず、機械的に日常生活
を送る人たちが、ある日突然・・・ってきっかけで同様の事件
に陥ることはドラマでは多いよね。

■昔のドラマにはありがちな若者像

新宿で過ごしている若者の服装はかなりの奇抜さを含んで
いたと思う。街に馴染む為にわざわざジーパンたちもそんな
ファッションに身を包むところが笑える。
見ているとムーミンに出てくるスナフキンみたいな格好だった
ぞ。ファッションに関しては時代の先をいくところがある
都心部のファッションはその時代性を反映している感じだね。

三人組の一人、一番左にいたのは阿藤海さんだった。
なんだかなー。

■桃井かおりさんお得意の設定か

当時のドラマを多く見た事が有るわけではないのだけど、
少ない知識の中でも桃井さんのこういう設定のキャラクター
像は結構多く見られる感じがする。
その日が楽しければ全て良いとする人物と、大人のように
長い未来を考えて行動をとるものたち。大人たちがそんな若者
たちのようにその日暮らしの生活に転落するというのも
全く分からないではないかな。
先の人生がないと考えれば、その日その日を楽しむことに意味
がありそうだしね。

■ライトハウスから聞こえてくるフォークソング

昔はこの手の曲が多かったのかな。
中原の部屋に有ったレコードと同じ曲がライトハウスから
流れきたということで、ジーパンたちは着眼点を持っていく。

若者たちに認められるためにどうしていくべきなのか。
ショーケンのドラマではよくこういう若者たちにすり寄る
姿が興味深く描かれたけど、危機を救うのが一番相手から
信頼を得るための方法かもしれないね。

■金を求めるものたち

殺人者である恵美よりも金を求めて走り回っているママや
ヤクザの姿の方が悪く感じる流れでは有るけど、よくよく考えれば
恵美は一つの家族から父親を奪った訳だし、相当罪作りなことを
していると思うぞ。

■ジーパンの型破りな捜査

ジーパンが恵美に関わるウチにある意味今回の被害者である
中原にも何処か理解していくという流れも有ったかと思う。

ジーパンは倉庫に恵美が監禁されている事を知ると、ショベルカー
を使って倉庫のトビラをこじ開けた。ショベルカーに鍵がついて
いるという不自然さは有ったけどね。

■島さんは撃たれ、ゴリさんは殴られ・・・

ゴリさんを殴る流れは若者たちに取り入る為には上手く機能した
感じ。
デンカが撃たれたのは、ジーパンが応援を待たずして倉庫内に
突入した為のもの。まぁかすり傷程度だったのか、幸いにも
すぐに捜査に復帰していたので良かったけどね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

署長 …… 南原宏治(署長)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
高田鑑識員 …… 北川陽一郎

秋山恵美 …… 桃井かおり (ホステス)
京子 …… 山吹まゆみ (クラフのママ)
遠井主任 …… 片山滉 (防災対策研究所技官・主任・黒縁メガネ)
小料理屋 …… 上野綾子 (8千円ツケを払ったと)
恵美の仲間 …… 阿藤海、杜沢泰文 (ライトハウスに集まる仲間)
中原弘子 …… 伊井利子 (和己の妻・和服)
中原和己 …… 大塚周夫 (35歳、科学技術庁、防災対策研究所技官)
野川 …… 服部哲治 (竜神会、新宿支部、京子の弟)

六人部健一、築地博、渋谷健三


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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