太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第74話 ひとりぼっちの演奏会

脚本/長野洋 監督/石田勝心
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あるアパートの一室のベッドの上で男性が死亡した状態で
発見される。現場脇には注射器が落ちてあり、被害者の男性は
麻薬の常習者だったことから、投与する量を間違えたのではな
いかと疑われる。しかし寧ろ麻薬の常習者だからこそ間違える
ことはあり得ないのではないかと告げる。
被害者はダーティエンジェルスというロックバンドのリーダー
ジョーだと判明する。管理人によると最初に見つけたのは
アソコで座っている同じバンドのメンバーの仲間だという。
シンコはその男性に声を掛ける。男(川合タカオ)はシンコの
姿を見て記者なのかと問うが、私は刑事だと語る。シンコが
刑事の筈は無いとして信用しない男。名前は何かと問うがまるで
話そうともしなかった。
ボスは今の所過失での死の線が強いが、麻薬の出所を調べる
必要はあるという。ダーティエンジェルスのメンバーである
トランペットのサム、ベースのゴローエムなどから話を聞いて
欲しいとしてゴリと長さんに頼む。

シンコはなんとか発見者から情報を聞き出そうとする。
名前は川合タカオで、新宿区大久保のみどり荘に住んでいるという。
ジーパンはシンコの取り調べが甘いとしてタカコに力尽くで
口を割らせようとするが、この子は私が取り調べを引き受けたの
だとしてシンコは語る。
話を聞くと前の晩にはジョーが相当酔っぱらっていたことを告げ
タカオが毎回送り迎えをしていたのだという。
タカオによるとジョーの事をベッドで寝かせた後、自分はバイト
先である深夜スナック"テアトロ"で働きに行っていたとのことだっ
た。

ゴリはボスからの要請でバンド関係者から話を聞く。
アイツはヤクを使うと良い音色を出せると馬鹿な事を信じていた
こと。昔は確かに良いプレーヤーだったが麻薬をするようになっ
てからダメになったこと。最近は女性のようにヒステリーになっ
たりしていたとし、嫌な野郎だったという。辞めたらただじゃ
おかないと脅されたとし、ホントにヤクザと付き合っていた様だ
との供述を得る。ジョーの事は腰巾着だったタオカが一番知って
いるのではないかというものだった。

話を聞いたゴリはボスに報告に行くと、嫌われているよりも
寧ろ憎まれていたようだと告げ、全員に殺しの容疑があると
のこと。しかし麻薬の件も含めて一番情報に精通しているのは
タカオで間違いないという。ボスはシンコに対して少年課だ
った頃の経験を活かしてタカオから話を聞き出すよう告げる。
アシスタントにはジーパンをつけるというと、ジーパンは
なんで俺がシンコなんかのアシスタントなんだとして文句を言う
が、仕方なく一緒について行く事になる。
今日はあなたは私のアシスタントなのだから余計なことはしない
でというシンコ。

いざタカオが住むミドリ荘につくと、アパート内から争う
音が聞こえる。ジーパンは急いで室内に飛び込むと、三人の
ヤクザがタカオの事をボコボコにしていた。ジーパンら刑事が
来た事を知ると三人のヤクザはアパートから逃げ出す中、ジーパン
はそれを追いかけるとシンコがタカオの顔の傷を手当てする。
持っていたハンカチで止血する。タカオはシンコに対して彼らは
ジョーの部屋に麻薬があるハズだとして襲って来たとし自分が
盗み取ったであろうことを言っていたという。しかし自分は
タカオが麻薬をしていたこと自体は気が付いていたが、入手先
などに関しては相当ジョーは気を遣っていたので知らないのだ
という。疑っているのであれば俺を警察署に連れて行って
調べれば良いだろうとし、ウソは付いていないと語ると、シンコ
は信じるわと告げる。

遺体の検死結果、血中に麻薬が20gも含まれており、こんな量を
撃つはずはないとして、殺しで間違いないだろうという。

渋谷病院でタカオの手当をしに行くシンコ。
そんな中シンコのポケベルにボスから連絡が入る。すぐに
署に電話すると、シンコはこれまでの経緯をボスに報告。
現在の所タカオがジョーを殺した可能性が高いことを聞かされ、
暫くは彼の元から離れないよう告げる。
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アパートの一室で亡くなったバンドメンバーの一人ジョーの
死因を巡って、麻薬で亡くなったことは明らかだったが、
常習者にしては、ドラッグの分量が不自然だと感じ、ジョーの
ことをマネージャーのようにして面倒を見ていたタカオから
話を聞いていく。

シンコがメインである今回のエピソード。

シンコが容疑者に寄り添うことで、友達のような関係になり、
普通の人には話さないような内容を語らせるというもの。

人にはそれぞれの取り調べの方法があるということで、シンコは
女性としての武器を使うという方法論を取ろうとしていた。
その件に関してジーパンは反対する姿が有ったけど、シンコの
方法は女性の武器というよりも親身になって話を聞いたという
ところが強いのかも。まぁ疑似的な恋愛を体験させたような感覚
に陥らせて喋りやすくはするのだろうけど。

アリバイのトリックは面白いものがあったかな。
長所だとしたことが結果的に短所となってしまった。
マッチをプレゼントしたことも犯人に取っては不利に働いてしまった
格好で、店の外にある公衆電話から自分で店に電話をその電話を
取りに行くというところは上手かったかな。
今時だと携帯電話のトリックとなるので、被害者の携帯電話を
持って来て自分の携帯に着信履歴を残して置くだけで簡単に
アリバイトリックにはなるな。

シンコが一日中行動を起こすことで、彼がジョーによってどれ
だけ不利益を被っていることが明らかにされた。
タカオはジョーのせいでドラムをたたけず、移籍も出来ない状況
であること。
ドラムにかけている思いというものも聞かされ、みんなの前で
自分のドラムを披露して、観客を魅了するのが夢だという。

最後のカーチェイスの後、コンサートでドラムの演奏をする
まで待って欲しいとしたけど、観衆はシンコ一人だった。
タカオはシンコが裏切ったと思っている様だけど、シンコ
なりに最大限の配慮を見せた格好であり、その辺のシンコの
ささやかな努力が伝わっていないところが切ないね。

山さんからは「殺されたヤツがどんなに嫌なヤツでも、殺した
ヤツがどんなに可愛そうでも逮捕しないといけなのでデカの
仕事だ」と言われていた。

最後にはジーパンからはシンコの行動に対して「刑事としては
正しかったが、二人の間では裏切ってしまった」ことだという。
「ホシを挙げれば何をしてもいい訳じゃない」としながらも
永井人生には色んなことが有るとして、俺のアシスタントに
なって修行しろと語っていた。その台詞を聞いていたボスとか
山さんが微妙な顔をしていたのが笑えたね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
西山隆行 …… 平田昭彦 (署長)

川合タカオ …… 佐藤仁哉 (ドラム)
須田一郎 …… 成瀬昌彦 (ジャズミージシャン)
山本廉
加藤茂雄
鑑識 …… 北川陽一郎

剣崎龍次、岩田博行、広田正光、相馬優子、渡部雄二



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