太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第86話 勇気ある賭け

脚本/長野洋 監督/山本迪夫
--------------------------------------------------------
港ではある噂が持ちきりだった。
兄貴さえ戻ってくれば・・・。そんな話をするチンピラの男。
山さんのタレコミ屋の男性は、山さんにその事実を電話で
伝える。

それを受けた山さんはボスの元にいくと、どうやら青木トシオ
が帰ってくるようだと報告する。かつてボスは武器の密売人で
ある青木を捕まえる際に、町中で撃ち合いになり、関係の無い
市民たちを巻き込んでしまったことが有った。その罪悪感を
ボスは今でも引きずっていた。

港町警察署に話を聞きに行くボス。
警察署の係長は、確かに船を使って青きが密入国するという
情報が有るが、問題はどの船で入港するのかということだった。
物々しい警戒を取ればその動きを察して青木がこの港からは
入国しない可能性もなる。可能ならばチンピラたちの中に
潜り込ませて情報を得るようなことをしなければ捕まえられない
というものだった。つまりおとり捜査の可能性を示唆したので
有る。係長はボスに対してウチの署員では顔が割れているので
潜入が出来ないこと。七曲署一係の署員からおとり捜査の人員
を出して欲しいとするが、これは正式な公文書の取り交わしの
ない捜査であるという事を語る。

ボスはジーパンを潜り込ませることにする。
青木と精通しているチンピラの前で派手にケンカすると、二人
とも逮捕される。しかし刑務所から出てきた際には、ジーパン
とチンピラは仲良くしていた。

その頃一係でもジーパンが港町署でおとり捜査を行っている
ことが知らされる。山さんは越権行為だとするが、ゴリはそれ
に反論する形で、相手は武器の密売人であり殺人犯であること
を考えれば、また暴力事件が発生すると考えるのが自然であり
少しくらいの越権行為は認められるべきだと語る。山さんは
下手をすればボスのクビが飛ぶのだとして
そうさせないのが俺たちの努めだという。それにみんな意見を
同意させる。

ジーパンは飲み屋で先ほどのチンピラから、銃が2丁欲しいこと
を告げ、青木が来るという噂が有るが手に入れることは出来ない
だろうかと問う。すると青木は小売りはしないとして、大量に
購入する相手を対象にしていることを聞く。日南商事という
輸入会社の船で密入国するのではないかという。

ジーパンはボートレース場の駐車場でボスに逢うとその事実を
伝える。話では確かオリエンタルパール号だという。
ボスはジーパンに対して十分によくやってくれたとして、これ
以降の捜査は港町署に引き継ぐのだと語る。しかしジーパンは
まだその情報も確実なものではないので、是非捜査を継続させて
欲しいという。ボスは身元が割れたら危険だとするが、その時
にはボスが助けに来てくれるのでしょ?というジーパン。

ボスは港町署の刑事と共に港で張り込みしていた。
沖で停泊する船からボートに乗った男が岸へとたどり着くと、
すぐに車に乗って何処かに立ち去る。
ゴリがすぐに車を出してボスと一緒に追跡し、その男を捕まえる
が、別人だと判明する。

ボスは署長に呼び出されると、管轄外の地域への許可のない
捜査に対してお叱りがある。更におとり捜査に関しては麻薬捜査
以外には禁止されているという。今すぐジーパンを引き上げ
させろというが、青木は国際的密輸組織の鍵を握る男であり
みすみす逃すことは出来ないという。署長はこの一件には目を
つぶるが、私は何も知らないとし、何か有ればボスが責任を負う
ことを約束させられる。
そんな中久美はボスに対して港町署の捜査官から電話がなっている
と語る。

港町署の刑事と向かったのは、国立衛生試験所だった。
船を調べた結果、青木と共に乗船してきたであろう人物の一人
が天然痘患者だという。青木自身もそれに感染している可能性
があり、文明国では消滅している病気でも保菌者が国内に居れば
病気が蔓延する可能性があるという。一度発病すると特効薬は
ないとのことだった。
感染から発症するまで3日間。青木は潜伏し市民とは隔絶した場所
にする可能性が高いので感染は広がらないかもしれないが、リスク
を考えると、24時間以内に七曲署と港署が青木を検挙しなければ
公開捜査にするという。しかし公開すれば市民がパニックを起こす
可能性も有るので、出来れば避けたいと警視庁の上層部たちは
ボスにそれを求める。
--------------------------------------------------------

かつて武器密売を行い、日本で派手に町中で銃を発砲して
人を殺した後海外に逃亡していた青木が日本に戻ってくる
という情報を得る。しかしどの船で密航してくるのか絞る
事が出来ず、港町署の刑事と相談の末に誰かを潜入させ
おとり捜査をすることになる。顔の割れていない一係の
ジーパンがその大役を掴む。ボスにとっては、過去に
逃走する青木を追跡する過程で、町中で発砲させてしまった
ことに責任感・罪悪感を感じていた。

久しぶりにボスが単独捜査。
密入国している場所は七曲署の管轄では無いことに加えて
禁止されているおとり捜査を行うことで七曲署の刑事たち
の間でも意見が割れる。そして警察の署長、更には上層部
にも知られる問題へと発展していく中、全責任をボスに
背負わされる中での捜査を強いられることになる。

ボスのプロモーションVTRと化していた感じ。
ボスが捜索している場所は人が隠れているような場所でも
ないし、ボスの捜査網・情報網だけでどれだけ隠れている
犯人を捕まえられるのかという辺りでちょっぴり不安さを
感じるモノが有った。

署長が相変わらず、上に立つものとして責任を取ろうとしない所
とか、そんな署長の下で働くボスにかかる責任の重さを
ジーパンとの関係に充てて描いていくところなど面白いところ
だった。

そんなボスに対して何らかの言葉をかけられるのは、山さんと
長さんくらいしかいないのだろうなということで、
山さんは語る。ボスがボスたる所以として、「捜査や尋問では
ボスに負けない自信が有るが、非情になるということでは叶わない」
こと。「上に立つものとして非情になれないといけない」こと。
「心を傷つけながらも敢えてやってのける強さを持っている」と
語っていた。

そして長さんとボスの会話に於いては、ボスが潜入している捜査官
の存在を犯罪者に知らせたことに対して自分のやり方が間違って
いるかを問う際に、「これしか道がなかった」ことを語る。
そして長さんはボスよりもキャリアが長い先輩としての意見として
「捜査は諦めた時が負けだ」と語る姿があった。

しかし何で青木が密航している船に天然痘患者がいたということ
が分かったのだろうか。
つい最近見た「ナンバーズ」のS2-23でもコンテナ船に密航して
きた中国人が鳥インフルエンザにかかっていて緊迫感に溢れる
内容だったけど、状況としては似ていたな。

それにしても中央病院にある「隔離病棟」と書かれた部屋。
あの中に入る山さんは勇気があるな。心中する覚悟は出来ていると
いう山さんはやっぱり格好良いですね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
署長 …… 平田昭彦

箱根の人 …… 宇佐美淳 (フィクサー的な)
青木トシオ …… 高森玄 (武器密売)

加賀邦男、鈴木瑞穂、綾川香、大下正司、高森玄
鈴木和夫、三上定良、久本昇、林靖子



inserted by FC2 system