太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第88話 息子よ、お前は……

脚本/田波靖男 監督/竹林進
--------------------------------------------------------
夜道で突然男がひき逃げ事故に遭う。

すぐに事件の情報は一係にも回ってくる。
堀川町2丁目のカナメ通りで起きた事故で被害者の身につけて
いた腕時計が9時15分のところで止まっている事からもこの時間
が事故が起きた時間だとされた。被害者の持ち物の中には
身分を表すようなものは何一つなく、身元不明。推定年齢は
30歳前後だという。長さんはかなめ通りは直線150M有り見通し
がよく、運転手が歩行者に気が付かないハズはないと語る。
しかし現場には急ブレーキをかけたとするタイヤ痕は見あたらず
可能性としては、歩行者の飛び出し、脇見運転、飲酒運転では
ないかというものだった。しかしブレーキを踏まずに事故後
にもブレーキをかけていないというのは不自然に思われるという
ゴリ。デンカも酔っぱらいならば朝になれば事故ったことに
気が付くハズで、運転技術に過信しているものが事故ったので
有ればブレーキの跡はあるハズだという。これは悪質なものだ
という中で、現場からは腕時計に付着した車の塗料から、
梅田ペイント社製Wタイプ、アイボリーホワイト色の車だと
いう。ボスはすぐに割り出しにかかれと指示する。
署長もやってくると、この件は相当悪質な物で捜査が生ぬるい
と告げる、別件でも良いので容疑者だと思ったら引っ張ってこい
と指示する。「捜査は理屈ではない」と。ボスは車と歩行者の
位置関係から、右フロントのフェンダーかボンネットが傷ついて
いるハズで修理される前になんとか割り出すよう語る。

修理工場、販売店、中古社市場を入念に調べて廻る。
するとジーパンは該当する車を発見し、しかも事件現場に符合する
傷の有る車種だと分かる。そこで働いている修理工から話を聞く
と、この車は馴染み客のもので夜の10時頃に修理して欲しいと
して置かれたものだという。車のオーナーは誰かと問うと
西山ユキオ(19歳)だという。
池谷と共にユキオの馴染みの喫茶店にいくジーパン。
ユキオは池谷を見ると自動車の修理は終わったか尋ねる。
ジーパンはユキオに対して車の所有者だと確認した上で任意で
署に連行する。

ジーパンのお手柄だとして山さんはボスに報告する。
犯人は東南大学の学生・西山ユキオ(19歳)だという。ボスは
その名前を聞いて突然怪訝そうな顔をする。「まさか・・・」。
久美は山さんに対して一体どういうことなのかと問う。

ボスは署長の元にいくと、夕べお宅にあった車はどうしたかを
尋ねる。これから署長の息子のユキオが連行されてくると語る。
帰宅したジーパンたちに久美は連行してきたのは署長の息子さん
だと語る。

署長本人がユキオから話を聞く。
お前が本当に事故を起こしたものなのか?これは何かの間違いではな
いのか?と。するとユキオは「間違いではない。僕が人を轢いて
逃げたのだ」と語る。一体なんて事だと放心する署長。
弁護士を呼ぶかと問うと、ボスは署長にも特別扱いは出来ない事を
語る。

署長はボスに対して息子は人を轢いて逃げるようなバカな子では
ないという。被害者との話で示談にしたいと語る。
するとボスは私は事実だけを尊重すると告げ、署長の名誉にとって
もご子息の将来の為にもそれが大切なことだろうと語る。

取り調べ室でユキオから聴取する。
所持品を全て出させる中、事故当時のことを詳しく話すよう語る
山さんとジーパン。しかしユキオはまるで反省せず、新聞に出て
いた通りのことだという。君は法学部の生徒だろうとし、
そんな態度を取っても良い事はないと語る。するとユキオは
自分は未成年であり、どうするかどうか決めるのは警察ではなく
家庭裁判所だろうと語り、余程のことが無い限り未成年を罪人に
することはないだろうと語る。それを聞いて恥ずかしくないのか
とジーパンは激怒する。署長の息子が人をひき逃げするなんて・・。
お前が逃げたのは父が署長だからなのか?と問う山さんはオヤジ
が責任を問われると思っての行動なのかと問う。
--------------------------------------------------------

夜道にひき逃げ事故が発生する。
被害者の時計に付着する車の塗料痕から、車種を特定し、
修理工場を当たっていると、偶然にもその車を発見する。
なんと車の所有者は署長の息子の西山ユキオである事を知る。

日頃から不条理なまでに責任を部下に押しつけて、出世や立場
のことしか頭に無いような署長の身内が起こした事故に対して
どのような態度に出るのかという人間観察的エピソード。

普段から憎たらしい態度しか見せない署長に対する懲罰的エピソ
ードであり、「内々示談で済ます」とした際には、やっぱり
この人、人間として終わってますって感じがしたけど、
何故か最後は改心したのか、署長を眺める視線ががらりと変わって
しまうという不自然な流れも有る。

息子が父親の態度に対して不信感を抱いてこんな行動を起こして
いるくらいだから余程他人には分からない性格をしているの
だろうし、他人には分からない署長としての立場の苦労さが
有るのだろうけど、そういうものが一切これまでのドラマの中で
伝わるシーンがなかったので、何で急に良い人ぶっているのか
みたいな流れが有った。

ユキオの態度に対してボスがまた違和感を感じて犯人ではないとは
断定はしなかったけれども、紙面で公表するのは待って欲しいとする
流れの中には、もう少し現状を説明しないと単なる身内の隠蔽だと
捕らえられても仕方がないものがある。

「落としの山さん」の本領が発揮。
被害者の男の入院先でジーっと座っている山さんの圧力。
参りましたとばかりに覚醒剤の売人であり、その供給の流れを
巡った騒動から派生した事件であることを示唆していた。
「これは理屈じゃない」。
署長の言葉だったけど、山さんも同様の言葉を語っていた。

しかしまぁ池谷とユキオが連んでいる理由もよく分からないし、
庇う理由もイマイチ。未成年だから・・っていういい訳が通じた
時代なのね。

というか冒頭では既に犯人は他界したのかと思って見ていた
ので持ち直したという流れ自体がちょっと違和感が有ったかも。
まぁこれは私が勝手に勘違いしていただけってことだけどね。


シンコさんがまるで出演せず、最近は一係の久美ちゃん頼みに
なっているところも有るな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
西山署長 …… 平田昭彦

西山ユキオ …… 宮崎和命 (19歳、東南大学・法学部)
西山夫人 …… 南風洋子 (妻・着物)
池谷 …… 矢野間啓二 (元バイクレーサー)

福沢良、
佐々木睦雄、大和田由紀、林寛一、金子富士雄、鹿島信哉、石川隆昭




inserted by FC2 system