太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第91話 おれは刑事だ!

脚本/小川英、中野 顕彰 監督/児玉進
--------------------------------------------------------
ゴリはひったくり犯を追いかけるとなんとか犯人を捕まえる。
現行犯で逮捕し、バッグを持ち主に返すと、ゴリは所轄の警察
官に対して、"自分は七曲署の石塚だ"として、犯人を引き渡す。
その光景をたまたま見ていたハコ師(スリ)の矢部ススム(33歳)
は、刑事の姿を見て感動する。

帰り道に矢部は女性が男性数人によって絡まれているのを知り
助けに入る。形勢不利と見るや矢部は男たちに向かって、俺は
七曲署の石塚だと語ると、みんな退散していく。その光景に
女性・ヨウ子は感激する。自分はスナックヤングで働いている
ので今度遊びに来てとして矢部に名刺を渡していく。

最近七曲署の石塚宛てに感謝状がやたらと署の方に届く姿が
有った。お産の女性にタクシーを拾ったり、買い物帰りの
女性の荷物持ちなどをした結果、感謝状が届いたものだった。
ボスはそれを師ってまるで小さな親切業だなと告げる。
ゴリがやってくると久美からまた感謝状が届いていることを
聞かされ、一体どういうつもりだとし、刑事の名を語る偽物の
存在なんて冗談じゃないとして急いで捕まえるという。
ボスはジーパンも捜査に同行しろと語る。

どうして良い事ばかりしているのか。
ジーパンはゴリに対して"あっちのゴリ"さんの方が人間が出来て
いるのかも・・とからかう。そんな中二人の目の前に交差点を
渡ろうとする老女を見て渡る手助けをすると感謝される。

久美は偽物ゴリさんのファンになりそうだと語る中、署には
電話が鳴る。隣の管轄である泉署から抗議の電話で、石塚が
泉署管内で捜査をしていることへの抗議のものだった。
それを聞いたゴリさんは益々偽物に対して敵意を燃やして今日中
に捕まえると語る。

矢部はヨウ子と映画でデート。
映画に出てくる刑事たちの格好良さを説くヨウ子。
そんな中バスに乗っていた二人は、目の前に座っているスリの源三
の存在に気が付く。特に矢部は自ら"ハコ師"であることから、
源三が寝ている男性からサイフを抜き取るのを知り、彼がバス
から出たのを見て追いかける。捕まえた際に、矢部は自分は
七曲署の石塚だとすると、源三はもう足を洗うので勘弁して
欲しいという。もう年を取っているのでこの仕事ももう出来ない
と言われ、今度捕まればシャバには二度と拝めなくなるのだと
いう。矢部はサイフを受け取るともう行けと追い返す。
その光景を見てヨウ子は感激するが・・・
矢部はそのサイフを近くの警察に拾ったとして届け出る。

一方ゴリと山村はニセ石塚・矢部が通うスナック"ヤング"を
見つけてマスターから話を聞く。矢部はこの店が看板になる頃、
店のホステスのヨウ子のことを迎えに来て送り届けていくのだと
いう。
そんな中ヨウ子がやってくると、ゴリは早速ニセものを捕まえる
為に強引に聞きだそうとするが、山村はわざとニセ石塚の
同僚を装い話を合わせていく。
彼の住所を聞くが、刑事は滅多に家を教えないものだとして
教えてくれないというが、この近くの床屋に挨拶しているのを
見たので近所だろうとのことだった。

そんな中、矢部は二人の男によって突然襲われかける。
なんとかラーメン店の出前持ちのスクーターを盗んで逃げる。

矢部が住んでいる、ゆたか荘に足を運ぶ山村とゴリ。
しかしそこに彼はいなかった。しかし暫くすると彼が帰ってきて
鉢合わせすることになる。
--------------------------------------------------------

ゴリが強盗犯を逮捕するところを見ていたヤジ馬の一人・矢部
は、彼が犯人を警察に引き渡す際に語った「七曲署の石塚だ」
という台詞を使うことで公権力を身につけられることを知り
味を締めてはそれを人の前で語っていく。

決して悪人ではないし、悪用しているという訳では無いのだろう
けど、他人を語ってはいい気分に浸る矢部の調子の良さというもの
を描いたものだった。

彼の歩くところには、常に「七曲署の石塚だ」の影が有り、
七曲署に届く報もまた石塚に対するお礼の言葉ばかりだという
ことで、逆に違和感を唱えていく。

本物のゴリさんよりもニセのゴリさんの方が良い人なんじゃないか
ということで、聞こえてくるゴリの評判に本人は逆にそれに比例して
憤怒。

女性の前で格好良い思いをしたい気持ちも分かるし、
スリ師として育ってきたものが、良い人になりたい願望というのも
分からないのでもないけど、やはり他人の名をかたるのはマズイ
よな。そんな名前を使わなくても十分に貢献できることはあるように
思う。

矢部は7年前に城西刑務所を出所していること。
二年間刑務所に入ってからは一度もしていないとするも、流石に
なかなか信用出来ないものが有るのも確かだ。

ゴリは矢部に対して、刑事としての華やかな部分だけをくみ取って
いることに激怒し、その裏にあるリスクや苦労というものが
分かっていないことを語る。ヨウ子がドラマの刑事像を語っていた
ように、美化された刑事像だけに焦点を当てることへの憤りが
あるようだ。

スリの源三からの流れで、彼が宝石を盗んでいたことが
判明。宝石の持ち主・高辻は被害を訴え、宝石デザイナーに賠償金を
求めるが、過去にも高辻は政財界を巻き込んだ詐欺事件の容疑を
かけられていたことが判明する。

ちょっと宝石を盗んだ流れは、安易なものがあり、あんな強盗の
方法ならば正当性を持って持ち物検査をすれば良いだけなのに、
ちょっとまどろっこしい流れが有ったな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

矢部ススム …… 伊東四朗 (32歳、前科二犯のスリ師)
高辻誠一郎 …… 渥美国泰 (ダイヤの持ち主)
スリの源三 …… 江幡高志 (スリ)
ヨウ子 …… 黒沢のり子 (スナックのホステス)
吉見の妻 …… 本山可久子 (吉見宝石デザイナーの妻)
高辻の手下 …… 畠山麦

飯沼慧
仙波和之、本間文子、市川ひろし、渡部市松、田沢祐子、
野村光絵、安田隆、星野富士雄



inserted by FC2 system