太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第93話 真実の詩

脚本/柏倉敏之 監督/竹林進
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山村は事件の有ったスナック"エクセル"へとやってくる。
既に他の捜査員たちは現場を調べており、山村に現状を報告
する。被害者は高木シロウ(28歳)。スナックに住み込みして
いるバーテンダーで、頭蓋骨を骨折したことが死因だという。
凶器には現場に落ちていた花瓶だということも判明していた。
死亡推定時刻は午後1時前後だという長さんからの報告を受ける
レジ周りを調べると荒らされていたことから金銭目的の強盗の
線が挙げられる。第一発見者は前川ノブオで、この店でボーイ
をしている男性だという。前川から発見当時のことを尋ねると
外から高木さんを呼んだが返事が無いのでまだ寝ているのか
と思ったとし、中に入ってみたら倒れて居たので警察に届けを
出したという。午後2時頃のこととのこと。
そんな中凶器には指紋が残されており、前科のある人物・
新井耕一(30歳)だと分かる。4年前に窃盗歴で逮捕されていた。
町工場で勤めていた際に、事務所の金を30万円・着服したこと
だった。すぐに重要参考人として連れてこいとボスは指示する。

建設現場にいくジーパンとゴリ。
耕一は刑事が来たと見ると逃走しようとするがすぐに捕まる。
署に連行すると取調室では山村が聴取することになる。
すると耕一はあっさりと自分がやりましたと認める。金欲しさ
の犯行だという。山村は具体的に話しが聞きたいとして耕一から
当時のことを聞いて本当に本人が犯人なのかを確かめる。
昼間ならば人がいないと思ったこと。鍵は針金を使った開けた
こと。店の中に入って金目のものを探したこと。山村は耕一に
対してお前は働いているのだから金はそんなに必要だったのかと
問うと、何か特別なものに使おうとしていたのかと問う。
更に耕一はレジスターや引き出しを探したとし、レジには10万円
が有ったという。奥の部屋からあの男が出てきたので花瓶で殴り
つけたこと。頭を殴ったというが、頭部のどの部分を殴ったのか
をこの場で実演するよう告げる。山村を相手に被害者は前から
やってきたので右手に持っていた花瓶で殴ったと語ると、
その状況からすれば頭の左側が怪我するハズだが、被害者は
右の後頭部にキズが有ったのだと語る。すると耕一はすぐに訂正
しカッとなっていたので忘れていたが、相手が逃げようとした
ので後ろから殴りつけたのだという。後ろから殴ったとなると殺意が
有ったということになるんだぞというと、耕一は認める。
山村はそんな耕一に煙草で一服させる為に差し出すと、一本
吸おうとする。床に落としてしまうが山村は新しいのと交換しよ
うとする。しかし耕一はこれで結構だと告げる。すると耕一は
私だって美味しいものが食べたいし派手に遊びたかったので金
が欲しい事を告げ、私がやったのだと語る。

これで事件は解決した。
ゴリさんもジーパンも今回のスピード解決に喜びの声をあげる
中、山村だけはどうも気に入らなかった。ゴリさんは、"落としの
山さん"としては物足りなかったのかとしてからかうが、山村は
喋り過ぎるのだという。こちらが聞いていないことも話している
事を告げると、デンカたちは、新井が店にいたことは間違いない
事を告げる。それを証拠に花瓶の指紋と盗んだ10万円がアパート
から発見されていることを挙げる。しかしあんな律儀な男が
殺すとは思えないと語る。否定しているのであればともかく
本人が認めて自供し証拠があるというジーパン。山村はボスに
対して送検するのは一日待って欲しいと直訴する。ボスは期限は
明日の5時だと語る。

耕一が寝泊まりしていた部屋を調べる。
職場の上司から話を聞くと、とても堅いヤツだったという。
酒もギャンブルもせず、時間があると本ばかり読んでいたという。
女性は居なかったかと尋ねると、そんな影はなかった事を語る。
彼には両親がなく、新井治という弟がいると聞いたことがある
とのことだった。

山村はアパートから出ると、3人組の男が治のことを取り囲んで殴
っていた。山村は止めに入ると、3人組は山村にさえ襲いかかり
そうな勢いだった。七曲署の刑事だと言うと3人は平謝りし、
事情を語る。彼はウチの店のホステスを引き抜こうとしていた
のでヤキを入れたのだという。
山村は治に対して、君の兄・耕一のことについて聞きたいとして
喫茶"ナカタニ"に連れて行く。
山村は兄の事件のことは知っているだろうと問うと、君の兄
さんは遊ぶ金欲しさに人を殺すような人なのかと問う。何か事情
が有るのではないかと問い、特別な金が必要だったのではないか
と色々と聞く。しかし治は長いこと兄とは逢っていないし、
兄弟の縁は切ったのだという。
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スナックで発生した殺人事件で凶器の指紋から容疑者は新井耕一
だと判明する。重要証人として七曲署で事情を聞くと、彼は
あっさりと犯行を認め、詳細に当時の事情・現場での状況を
語っていく。しかし取り調べを行った山村は、そんな律儀な彼が
本当に殺害するのか疑問に感じる。取り調べでは聞いても居ない
ことまで詳細に話したことを受けて、動機や事件の背景について
調べていく。すると彼は北海道出身で弟の治という人物がいる
ことが判明する。

今回もまた山さんこと、山村刑事メインのエピソード。
落としの山さんということだけ有って、取調室に於けるやりとり
を通して疑問点を見逃さず、敵意をむき出しにする相手に対して
暴力ではなく説得して投降させるなど相変わらずキャラクターの
立つエピソードだった。

久美ちゃんが真っ黄色のコートを着ていて背後でもの凄い存在感
が有った。

ストーリー的には大方想像出来るものが有り、弟の殺人を庇って
いる兄の姿が有るのだろうとは思っていたけど、結論有り気の
中でそれに至る原因というものを突き止め、それを証明していく
ことが出来るのか。

山さんがこの事件に拘り繰り返し面会を重ねる中で、
「お前は何かを隠している。隠し切れると思うな。オレの目を見て
見ろ。お前の目は違うと言っている。本当のことを言うんだ」と
追求していく姿が有った。

起訴するまでに時間的制限があることや、既に有罪が確定している
状況での捜査ということもあるので、山さんの自腹で北海道まで
行って話を聞いてきたということなのだろうか。
ゴーサインを出したボスと山さんの信頼関係を感じさせる。

北海道にいく山さんは"毛ガニ"を食べたのだろうかという
ゴリさんは相変わらず食い意地が張っている。

北海道で聞き込みした結果、炭鉱で働いていた耕一は炭鉱が閉鎖
になり東京に職を求めて出たことで、結果的に中学生だった
弟を見捨てていくことになってしまうけど、東京にいた兄は
なんとかして東京に弟を呼び戻したいとする意図が有った様子。
しかし女性と一緒に北海道を出たという事実をもって、不誠実さ
というものを感じてしまったというところだろうか。

事件の顛末は治の仲間の中川を発見したことで判明する。
治と一緒にキャバレー(ムーンライト)で働いていた彼は、二人で
100万円を着服していたこと。そこで働いていたのが高木であり
それを知られて50万の分け前を寄越せと言われていたこと。
金を渡しにいくが治には5万円しかなく、相手ともみ合いになり
結果として突き飛ばした際に花瓶が頭に落下して死なせてしまった
ようだ。
金の無心をしにきた弟の事情を知り、当日スナックで弟が殺害
するところを見てしまった兄が東京に出てきたことで弟の人生
を変えてしまったとする責任を感じた様子。

奇しくも兄の耕一も工場から着服しているけど弟の為であり、
その弟は遊ぶ金欲しさに金を盗んでいたという皮肉な形で描かれて
いる。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

新井耕一 …… 山本紀彦 (30歳)
新井治 …… 剛達人 (耕一の弟)
田所 …… 吉岡ゆり (耕一の昔の彼女)
中川 ……
高木シロウ ……

福山象三、内藤栄造、朝倉隆、亀井三郎、直木みつ男



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