太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第121話 審判なき罪

脚本/小川英、杉村のぼる 監督/山本迪夫
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東京地方裁判所・第115号法廷。
被告は井口昇(23歳)。東北の片田舎から出てきた男は人を殺害
した。口べたで内向的な性格が災いして職場の同僚とケンカし
勢い余って傷害殺人を犯してしまったのである。彼自身も思い
がけない犯罪。それ故に気が重い傍聴人の山村。
裁判長から判決が言い渡される。有罪・懲役8年に処すると。

ゴリは良い天気だとしてデート日和だと語る。チャコはそんな
ゴリに恋人ってどんな人なのかと問うと、グラマーで目がぱっ
ちりした子だという。デンカはそういう人が居れば良いって
話でしょと話半分で聞いていた。
山村が署に戻ってくると井口の様子を尋ねると8年だと語る。

良い天気ですねとアパートの住民同士が洗濯する際に会話する。
その中の一人は片岡という前科者だった。しかし周りの人は
片岡はマジメな人で、みんなして嫁を世話しようとと話してい
るところだという。そんな片岡は物干し竿で洗濯物を干してい
ると突然銃で撃たれる。
救急車で運ばれる中、山村は撃たれた被害者が片岡だと知り
話を聞くが自分にもよく分からないと語る。

10月28日午後1時30分、片岡コウヒチ(47歳)、ヤマナ商事の清掃
員として働いている人物だという。アパートを調べる中、昼間
から狙撃するとは大胆な犯行だという。山村は室内を見て随分
と慎ましい生活をしていたことに気がつく。昔一度強盗傷害で
逮捕したことがあると一係の仲間に話す。
目撃者は居なかった。みんなマジメで堅物だったと言っている
こと。勤務先でも長さんは聞き込みに行ったがやはり同様の
ことを言われたという。昔の仲間と繋がっているのか。
撃たれた銃弾はモデルガンの改造らしいこと。ガンマニアによ
るイタズラも考えられるが、昔の仲間と強盗に入られた人を
調べろとボスは指示する。

菊池外科病院に行く山村は、片岡から話を聞く。
あれから9年になるという。山村には決して迷惑をかけるつもり
がなかったことを語る。しかし私みたいなものを殺して何の得が
あるのかと等。昔の仲間とはもう関わっていないという片岡。
片岡が服役していた刑務所へと赴くと話を聞く。
所長によると片岡は模範囚で同房の囚人からも尊敬され一年早く
出所出来たのだという。片岡の服役中に何か無かったか。
特別仲良くしていた人物は居ないか尋ねる山村だが、特にこれと
いった情報はなかった。

最近この刑務所に井口が入所したのかと尋ねると、4日前に入った
という。山村はついでに彼に面会していく。
元気にやっているか、足りないものはないかと尋ねる。今は特に
ないという。井口はオレはバカだったとしてあんなことをして
後悔しているという。一生懸命やって綺麗な体になって必ず
戻ると約束する。そして田舎に戻るという。人手が足りずに
両親は困っているハズで、オレのことでタダでさえ肩身の狭い
思いをしているハズだという。山村に対して約束するとしきっと
更正すると。その時を楽しみにしていると語る。

片岡は病院を退院してアパートに戻ると、住民と大家が彼のこと
を陰口をたたいていた。何とかして出て行ってもらうということ。
アパートとしても社会的信用にかかわるという。今まで隠して
いたなんて・・と。片岡は働いていた会社からも解雇され退職金
を渡される。それを知った山村とテキサスは気の毒に・・と語る。
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ドラマは山村が主役のエピソード。

ドラマとしては
「罪を犯した犯人」「罪を償い出所した元囚人」「犯人に人生
をメチャクチャにされた遺族」の3つの立場からその心情を
眺めたもの。

事件は逮捕した時点では終わらないということを示唆していて、
逮捕してからが本当の遺族や犯罪者たちの葛藤が発生するもの
なんだよなと思うとなかなか難しいものがある。

事件によって波及した被害というものには罪はないのか。
事件の罪を償って出所した人物だが、世間がそれを容易に許して
くれはしないということを描いている。

犯罪によってはある意味では許せるものと許せないものが有る
ような気がするし、当事者でないとなかなかその辺の事情は
分からないところも有るのだろう。

山村はこの3つの件に関して全て関わっている為に、どれも
気持ちが分かるものだった。

テキサスは当初は罪を償った元囚人に肩入れしていたけれど、
その後は被害者遺族に肩入れし始め、まさに目の前に現実に
だけ一喜一憂してしまう単純さがある。それが持ち味といえば
持ち味で、このドラマに於けるポジションだとは思う。

みんなそれぞれに言いたいことは有るのだろうし、殺す気が
なかったという、どの人物も犯罪さえなければ、良い人として
普通に社会に溶け込んで生活出来ている人物なだけに、その
全てを破壊してしまう犯罪というのはやはり怖いものだなと
思う。

デンカや山村が家を探してきたけれど、そんな家賃が今後とも
払えるかも分からないし、また同様に過去を隠して生きていか
ねば、同様の社会的制裁が発生してしまう。

吉田春夫役は下條アトムさんだった。
見たことある人だと思って、誰だっけと最後まで思い出せず、
「ケンちゃんチャコちゃん」の宮脇さんだっけ?とか最後まで
思っていたけど、アトムさんでした。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
長山久子 …… 浅野ゆう子 (チャコ)

片岡コウヒチ …… 梅野泰靖 (47歳、ヤマナ商事)
吉田春夫 …… 下條アトム (21歳、宮坂運送、元吉田用品店)
井口昇 …… 石田信之 (23歳、同僚を殺害、懲役8年)

内藤安彦、今野鶏三
山田禅二、門脇三郎、宇留木康二、菊地正嗣、披岸喜美子
記平佳枝



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