太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第129話 今日も街に陽が昇る

脚本/小川英、大山のぶ代、田波靖男 監督/澤田幸弘
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ゴリとテキサスは容疑者の家の前で張り込みしていると、タク
シーで男が帰宅する。二人は捕まえようとするが、首尾よく
逃げ失せる。走って追いかける二人だがゴリだけは白いライト
バンにぶつかり逃走することが出来ず結局テキサスが捕まえる
ことになる。ゴリは白いバンが逃走していくのを痛みを抱えな
がら見守るしかなかった。バンには毎朝新聞矢追町専売所のもの
だと書かれていた。

署でもそのことが話題になる。テキサスはゴリが車にぶつかり
倒れてうなっていたので驚いたという。ゴリは湿布を貼る程度
で幸い軽症だった。相手の車が壊れたんじゃないかと皮肉られ
るゴリ。車の持ち主は分かっているとすると、ボスもひき逃げ
は重大な犯行だと告げる。
専売所に行き昼頃に車を持ち出した人物を訪ねる。すると小田
ではないかという。17歳で車の運転は出来ないのではないか
とするが、作業員の中には彼が無免許だと知りつつ車を運転
するのを黙認していた人も多かった。小田は何処に居るのかと
すると、作業員の中には彼には恋人がいるらしいという情報を
得る。日曜日になるとデートだと言って出かけていくとし、手紙
なども来ていた様だという。

管理人立ち会いの元で家探しをする。
すると新宿区川島町のバー"Three"のマッチが有った。しかしタバコ
も灰皿も室内には存在しない。テキサスはこれが手紙ではないかと
して引き出しから何通かの手紙を見つけ出す。三田アケミという
人物からで、内容を見ると「健ちゃんからもらったシクラメン
の花が咲いた」と書かれていた。同情は禁物だぞとゴリはテキサス
に予め語る。ボスに報告するとバー"Three"には山村に行ってもらう
のでゴリたちはパレスサンライズを尋ねろと指示が来る。

予想していたパレイサンライズはマンションではなく老人ホーム
だった。職員にアケミのことを尋ねる。彼女のボーイフレンドの
ことを聞きたいというと、健ちゃんはここにいるお婆ちゃんたちの
アイドル的存在だという。あれがアケミさんだというと、マフラー
を編んでいる老人だった。話を聞くと二人の間に血のつながりはな
いが、町で倒れているアケミさんを健ちゃんがここまで運んで
くれたことで、日曜日によく尋ねてくるようになったのだという。
マフラーは健ちゃんの為に編んでいるとのことだった。

バー"Three"で聞き込みにいく山村とデンカはバーテンダーから、
話を聞くと確かに健一は昼の一時過ぎに来たがヤバイ顔して
金を貸してくれと言ってきたという。どうしたのか尋ねたら、
もう終わりだという顔をしていたとのこと。それはまるで自殺
するかのようだったという。

署に戻ると小田健一は人を殺したと思い込んでいるのかも知れない
と語る。マジメな性格で彼は車で都内を案内するとアケミに約束
したらしいこと。10年以上アケミは都内を診てないらしいという。
ゴリはそれを聞くと自分がいきなり飛び出したのでこちら側にも
落ち度があることを告げるがボスは、罪は罪だとして、このまま
放置すれば健一自身が救われないと語る。しかし今度のことで老人が
知ったらどう思うか・・一刻も早く彼を捕まえないといけないと語る。
老人ホームは張り込みするよう告げ、ただしデカだという身分は
決して悟られるなという。
そこでゴリは大工のボランティアで、テキサスは新聞回収屋として
ホームの近くを監視することになる。

ゴリがホームにいくと彼も老女たちから人気だった。マラソンじい
さんが居たり、ゴリのことを呼ぶ一人の厳格そうな男がいた。
名前は松崎豊作。部屋を見ると数々の賞状が有り、彼は元刑事だ
った事を知る。
ゴリはベンチを直すという名目でアケミに近づくと話しかける。
誰か良い人が居るのか尋ねると、孫よりも大事でカワイイ人が
いるという。タバコを吸おうとするゴリにマッチを差し出して
くれる。健一が持って来てくれるのだという。

他の三人は町で健一の聞き込みをすると戸川組の構成員が動いて
いることが判明する。戸川組には人身の人買いルートがある
ということで、健一もどうやらそこに売られた様だということ
を知る。
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1972年7月21日に始まったドラマ放送はついに1975年1月に突入。

1月の初回のエピソードなので、家族層向けの内容だった。
ドラマは老人と若者の交流を描いたもので、血のつながりのない
二人のほのぼのとした関係を壊すものが日常の中に潜んでいる
ことを示すもので、その危うさと共にもろさを感じさせる。

血のつながりのないものに信頼している関係というのは逆に血のつ
ながりのある関係に於いて、この時代でも生活の中から祖父母は
切り離されてしまっている現状が有ってちょっぴり寂しさを
覚えるだけに、今回の二人の関係を素直に見守りたいという気持ち
を喚起させるものだった。

問題はそんな二人の仲を一つの事件によって壊してしまっても良い
ものなのか。若者はそれだけの酷いことをしでかしたのかという
ことを刑事たちにも問いかけた感じで、それでも取り締まらなければ
ならないのが刑事としての仕事。捕まえるまでが刑事の仕事だと
思うけど、事後処理までするのが良い刑事ドラマの必須条件となる
ことがあるよね。

みんながコスプレして老人ホームを見張りをするという辺りが
笑える所。ボランティアとはいえ、

ゴリ=大工職人
テキサス=ちり紙交換
デンカ=小児科医
山村=庭の手入れ
長さん=民謡指導

人身売買ではなく人買いと表現しているところもまたなんだか当時
のドラマっぽいな。昔はよく悪いことすると寒い地方の遠洋漁船に
連れて行かれて働かされるみたいなことを聞いた気がするけど・・

最後はボスまで歌を歌うパフォーマンスには驚いたけど、寧ろ
戸川組を取り締まる為とはいえ、山村が直接相手と戦うシーンがある
という立ち回りを久しぶりに見た気がする。

しかし今回の交通事故、確かに無免許だけど、あんな形で飛び出して
来られたら避けられないよな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
長山久子 …… 浅野ゆう子 (チャコ)

小田健一 …… 佐藤晴通 (17歳、無免許)
三田アケミ …… 原泉 (パレスサンライズ)
松崎豊作 …… 木田三千雄 (元巡査、警視総監賞、パレスサンライズ)

小峰千代子、本間文子
日高ゆりえ、津路清子、松井記美江、岡泰正、竹田将二
市村博、野瀬哲郎、山下望、前田哲郎、浅野進治郎、
小鹿番、長島隆一、上野山功一



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