太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第133話 沈黙

脚本/長野洋、四十物光男 監督/竹林進
--------------------------------------------------------
山村とゴリは取調室で自動車事故の写真を岩田こうたろうに見せる。
確かに私は野沢玩具の社長を恨んでいること。あの男は私が苦
心して作った新製品のアイデアを盗んだのだという。だからと
言っても殺すなんて市内という。単なる事故かも知れないでしょ
という岩田に対して科学捜査をバカにしてはダメだという。
車のブレーキに細工して有り、巧妙な殺人だと語る。私がやった
という証拠は有るのかと問うと山村はお宅の裏預金から事件
発生の一週間前に100万円、事故の翌日に200万円の大金が引き出
されているという。その金の行方を知りたいと語る。支払先を
話してくださいという山村。しかし岩田はあくまで"知らん"と
語る。話したくないならその気になるまで待つという。人間黙って
いるのがどれ程辛いか試してみるのも良いでしょうという。

ゴリは取調室の状況をみんなに伝える。
容疑者は黙り戦術だとし山さんはいつも通りだという。
取調室では沈黙が続いていた。
その内岩田は山村に対してそんな目で見るのは辞めろと告げる。
楽になりたいのであれば話せとし、自分の罪を一生隠し通せる
と思っているのかと。人間はそんなに強くはないとし、罪に
一生つきまとわれても生きていく自信があるかと問う。すると
岩田は泣き崩れる。

BAR不死鳥へいく山村とテキサス。
マスターに対して川本いさおだろうと問うと岩田こうたろうの
ことを知っているだろと問う。常連だとすると、岩田玩具の社長
さんでしょという。お前に300万円払って殺してくれと頼んだ事
を自供しているのだという。そんなの知らないというと、岩田も
最初は同様のことを言っていたという。逮捕状は持っているのかと
すると、山村は確かにそうだとしてテキサスに逮捕状を頼んでこい
と語る。それまで少し早いがビールでも頂くという。
すると突然川本は山村を襲い店から飛び出すが、外にはゴリや
テキサスが見張っていて周りを取り囲む。自分で墓穴を掘ったなと
語ると、彼はオレは仕事を取り次いだだけだという。脅されて仕方
なくやったんだという。下手な言い訳だとするが、取り次いだ相手
は殺し屋だとし、証拠もあるという。テープに電話の声を録音して
あるのだという。

テープを再生する。
「君は注文を取るだけで良い。殺し屋は小説やドラマだけじゃない。
実際に"ある"。断れば刑務所行きだとし、一週間前の9月10日に
君が酔っぱらい運転をしてことぶき通りで通行人を跳ねて逃げただ
ろう」としていた。

山村は取調室で川本から話を聞く。声しか聞いたことはないと
すると金の受け渡しはどうしたのかと問う。南口のコインロッカー
だという。毎週金曜日の5時に向こうから電話が鳴るのだという。
デンカは声紋分析をしてもらったとして結果を知らせに来る。
テープの相手は男性・年齢30歳前後、文法上のあやまりは無く、
かなりの高等教育がされていて、話し方は標準に近いが一カ所だけ
違和感があるという。通常「実際には居る」というところを「実際に
はある」と語っていること。紀州和歌山地方の方言だという。また
電話の間にベートーベンの第6・田園の第一章が流れていて、
バックには必ずクラシックの中でもベートーベンが流れていという。
ホシは金曜日にベートーベンの鳴る喫茶店から電話してきている
のではないかという。そしてそれも南口近くの喫茶店だろうと。
明日金曜日にいつものように電話するハズであり、その喫茶店を
探すのだという。

そんな中、名曲喫茶"楽聖"でハリコミをする山村てテキサス。
BAR不死鳥にはデンカが見張っていた。そんな中一人の男性が電話
をかけようとするが、電話した直後にボーイが皿を落とした為に
電話を切ってしまう。山村とテキサスはその男に近づき何処に
電話しようとしていたのかと問うと、彼は背広のポケットから
突然「私は聾唖者です。口がきけません」というメモを出すのだった。
--------------------------------------------------------

今回は山村がメインだったエピソード。
相変わらず"落としの山さん"らしく、取調室に於ける駆け引きは
上手くて、じっと無言で居たり心理的揺さぶりをかけるところは
見所の一つ。

更に声紋鑑定から方言とか文法を解析して、容疑者を特定してい
ったり、また背景が流れている音楽から場所を特定していく流れ
を演出していく所など面白く出来ていた。


容疑者は障害者を装い犯罪を犯している男性の沢本勇。
元々は優しい人なんだろうけど、和歌山にいた時代に飲酒運転で
同乗していた婚約者で子供を身ごもっていた畑中みつよを失って
しまい、それ以降は誰にも口を利かずにいた様子。
医者は声帯には問題がないので心理的なことが要因だろうとしていた
けれど、ある意味では間違っていないのだろう。

ただ人間は意表を突かれたときとか無意識に声を出してしまう瞬間と
いうのが有るはずなので、意図的にそれを誘導する流れをあのお婆ち
ゃんを使わずとも作っていけば良かったのだと思う。
山さんがマッチを持っていたので、火であぶって「熱い」とか「痛い」
とか喋らせるのかなと思ったけど、流石にそれはヤバ過ぎるか(笑)

尾行とかハリコミの仕方は相変わらずド下手の素人そのもの。
時々上手いと思わせる時もあるけど、今回はあからさまな尾行だった
のでちょっと萎えた。

喋られるのに喋らないというのは本当に凄いストレスがたまるだ
ろうね。必ず何処かにはけ口があるハズで、それが同じマンションに
住むおしゃべりのお婆さんだとしていたけれど、彼女は耳が聞こえない
訳だから、あんなに饒舌に話せる訳がない。

オウムに言葉を覚えさせていたり、テープに声が残されているのに
それが証拠として利用出来ないもどかしさ。
お婆ちゃんの家で沢本が喋った流れはかなり違和感が有ったな。

山さんは途中までしか話さなかったけど、もしも彼が犯人ではなかった
ら辞職すると言いたかったのだろうか?

昔ジャッキー・チェンの映画「少林寺木人拳」では、主人公は
復讐するまで絶対に口を利かないと誓いを立てて、復讐心が消えて無く
なるのを防いでいたことがあるけど、この人の場合は何なのだろうね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
長山久子 …… 浅野ゆう子 (チャコ)

耳が不自由な老人 …… 夏川静枝
川本いさお …… 香月淳 (BAR不死鳥のバーテン)
マンション管理人 …… 中島元
和歌山県・紀南署刑事 …… 高杉哲平 (5年前に沢木の過失致死の事を語る)
沢木勇 …… 永井譲滋 (宝石デザイナー、"みさわ宝石店"勤務)
岩田こうたろう …… 佐竹明男 (岩田玩具の社長、殺害を依頼)

名川貞郎、山口譲



inserted by FC2 system