太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第134話 正義

脚本/鎌田敏夫 監督/竹林進
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寒い中、あるマンションの一室を外から監視していた本庁の
刑事の山下等。そんな中七曲署からは応援としてゴリが車で
やってくる。まさかゴリが来るとはなという山下に久しぶりだ
と語る。随分と七曲署では豪華だとし本庁ではチンピラ一人
のハリコミに車を使わせてくれないという。
山下はゴリに対して右側から3つ目の5階の部屋に及川ケンの
女・ナミの部屋があるという。現在は出かけているがすぐに
戻ると告げる。
ナミが戻るまでの間に二人は雑談する。あのマンションの部屋
は幾らくらいすると思うかと山下は問うと一月15万円の家賃
だという。30歳にも満たないチンピラが15万円もする部屋に
女を囲っているのだという。たかがヘロインの運び屋だという。

スーパーではその部屋に住んでいるナミが買い物をするのを
デンカが尾行していた。買い物が終わり車に乗り込むと長さん
に合流してデンカは無線でゴリに対象者がスーパーから出た
ことを報告する。

山下は官舎の隣でまた子供が生まれて眠れないとし、1500円の
家賃なので文句も言えないと愚痴る。

ナミはケンに対して帰宅した事を告げる。警察に尾行されなかった
かと問うと車が一台付いてきていたみたいだったという。
きっといつかお前の元を尋ねてくると思っているのだろうとし、
既にここにいることも知らずに・・という及川。ナミはいつまで
もここに居てくれて良いとするが、彼は今日中にブツを届けないと
いけないのだという。しかし非常階段は外から丸見えだとすると、
彼女に髪の毛をあげさせて野球帽を被らせ、そしてサングラスを
身につけさせ、ジャンパーを着せてケンの格好をさせる。

山下はゴリに対して銃を見せてみろという。お前が銃に弾を入れて
ないのは本当なのか?と問うとキザなマネはするなと告げ、オレと
組むときには特に命に関わることだとしてそんなことは辞めろと
語る。

そんな中女の車が出てくるのを見て急いで追いかける。その間
に及川は裏口から逃走しようとするが、ゴリに車を駐めるよう
告げ、山下は下りて行く。ゴリには女の車を追いかけろとして
告げる中、ゴリは女性の車がワゴン車とぶつかりそうになった
停車した為に外に引きずり出すと女性が及川に変装しているだけ
だった。
そんな中銃声が聞こえた為にゴリは走って銃声のしたアパートの
方へとかけよると山下が及川のことを射殺していたのだった。
俺たちの裏をかいて逃げようとしたのだという山下。ゴリは倒れた
及川の脈を調べると死んでいる事を告げる。足を狙って撃とうとし
たが相手もオレを撃ってきたのだという。でも殺すことはなかった
のではないかとし、及川からは聞きたいことが沢山有ったという
ゴリ。それじゃあオレに撃たれろというのかという。

ゴリは署に戻るとボスに報告する。
山下は関東地区の射撃1位の腕を持つ人物で生かして捉える方法が
あったハズだというがボスは現場と訓練では違う事を語る。
しかし心臓の真ん中に一発で当てていることが気になっていた。
テキサスは及川の女もやられたと語る。
自宅マンションに行くと何者かが家捜しをして荒らされていた。
長さんは昨晩彼女から話を聞いてそのまま返したことが不味かったと
反省する。夕べマンションの人に若い男が4・5人乗った車が現場
から走り去っているのを目撃されているという。テキサスは現場に
ライターが落ちている事を語ると、指紋を照合するよう山村は語る。
するとその指紋はマエのある戸川組の前田のものだと判明する。
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今回はゴリさんのエピソード。
一発の銃弾を巡り、銃に拘るゴリならではのシナリオなのかな。

ゴリさんが本庁時代の先輩で銃の腕に於いては尊敬している山下
との合同調査。

本庁側が七曲署に協力要請を出したのだろうけど、最初から山下
は容疑者が持つヘロインの事を知りつつ、盗むことを画策していた
のだろうか。
何よりもずる賢いのはゴリの銃を借りて発砲したという事実。
ゴリの銃を借りたのか、銃弾だけを使ったのかその辺が曖昧だけど、
線条痕からするとゴリの銃を借りて発砲したというのが正しいの
だろうし、それならばゴリは彼から銃をどの時点で返してもらった
のか気になる。
また同様にゴリが山下の家に行った後にゴリの部屋にアタッシュケース
を仕込んだのだろうけど、一体そんな時間が有ったのかと考えると
ちょっと違和感は感じた。

刑事同士の調査というのは相当慎重を期すものがあるはずで
ゴリがボスに山下のことを報告した際にも相手は同業者だと
いうことで捜査することに躊躇う姿が有ったのに、本庁の刑事は
まるで所轄の刑事に対するリスペクトの欠片もない。

ゴリと山下が雑談の時に庁舎に泊まっていて家賃1500円だとしていた
けれど、山下が居るのは完全に一軒家だったな。昔話として話している
のかと思ったけど、車の中で眠いようなことを語っていたし・・

山下には妻子がいた。
話を聞くと妻は自分たちと同じように子供には貧しい思いをさせたく
ないために有名私立の幼稚園に入れようとした過去が有り、ダメ元で
試験を受けたら合格したという。しかし実力ではなくかつて山下が
麻薬の件で追いかけていた人物の力添えが有ったことが後になって
判明したことを語る。その流れに山下が関与していたのかどうか。

「ごく普通の正義が欲しかった」ことと、今回発生した事件との関連
というのがイマイチ見えてこず、金が欲しい訳では無いので有れば
何故ヘロインを売ろうとしていたのか謎だし、ヘロインを憎むという
のであれば分かるのだけど、当時生真面目だった山下が不正で息子を
入学させてしまったことで、自らの正義感が壊れてしまったという
シナリオだったのだろうか?

銃を撃たないというゴリの習性を考えれば今回の事件がゴリの仕業
ではないのは分かるし、報告書を書いた時点で、既にこの事件は
加藤が及川に発砲したということが書かれているハズだ。

展開を見るとヘロインを売っている若造が金持ちで、自分たちは
貧しい生活をしていることで、職業と倫理観と生活レベルがまるで
アンバランスなこの世の中に憤りを感じているのだろうけど、
その事実に対して何をしたかったのかというのがいまいち意味不明な
シナリオでした。

本庁の加藤というボスも責任問題ですよ。
部下を信じているだなんだ偉そうなことを言ってはまるで部下の
管理が行き届いていなかった。裏付けする証拠もどれだけ検証した
のか全くの謎。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
長山久子 …… 浅野ゆう子 (チャコ)

山下等 …… 早川保 (本庁の刑事、ゴリの先輩)
山下刑事の妻 …… 赤座美代子 (元分署課)
加藤刑事 …… 宮川洋一 (本庁の刑事、ボス)
本庁刑事 …… 灰地順
本庁刑事 …… 松本敏男

岸野一彦、村上幹雄
桐原史雄、高瀬ゆり、益子隆充、藤竹修



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