太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第140話 故郷の父

脚本/桃井章 監督/山本迪夫
--------------------------------------------------------
信州屋"きそじ"でソバを食べるゴリ。美味しいのでもう一杯
頂くというゴリに対して主人は信州直送の本物のソバを使って
いる事を告げる。小さいときから食べているのでソバは信州
のものに限るという。二人とも信州しゃっしんなの化?と問うと
若い頃は田舎が嫌で東京に出たが故郷が恋しくなりこういう商売
をしていると語る。故郷を捨てた二人が故郷の味を売るか・・と。
オレは九州の宮崎出身だというゴリは長いこと帰っていない
事を語る。

帰り道にゴリにぶつかってくる若者が居た。
男は血まみれでナイフを手にしていた為に逃げる若者をゴリは
追いかける。ケンカでもしたのかとして落ち着いて少し交番で
話をしようと語るが、男は車道に飛び出すと車に轢かれて亡く
なるのだった。

酔っぱらいは夜の公園でナイフで刺されて死亡している遺体を
発見する。
すぐに警察も駆けつけ長さんとデンカは遺体を見て竜神会の
安本だと語る。ゴリが追いかけた少年が犯人なのか。少年が
死んでしまったことも有り難事件だと語る。
そんな中少年のナイフの血は安本のものと一致したとの報告を
受ける。少年が安本殺害した犯人と見て間違いないだろうとする
が、少年の身元と動機が何なのか。

竜神会に足を運ぶ山村とテキサス。
安本が殺されたとし犯人はこの少年だが見覚えはないかとして写真
を見せる。知らないという男に、現在安本はどんな仕事をしていた
のかと尋ねると、チンピラには仕事をさせないという。チンピラが
殺されたからと言って組の仕事を疑われるのはたまったものではない
と語る。
山村は組を出て行くが臭うとして安本には組にとって何かマズイ
ことが有るのだろうと語る。

ゴリは資料室で家出人名簿を調べていた。
町で青年を知るものを捜す為に聞き込み作業を行う者たち。
そんな中、長さんは若者の集団から安本のことを知りたいならば
リリーに聞けとして、安本の女だという。
長さんはリリーのアパートに行くと隣人の女性が突然彼女は
ルスだと語る。彼女は1週間や10日は平気で留守にする子だという。

その頃リリーは立橋の上にいた。何も殺さなくても良かった
のに・・バカだとしてライターを手にする。

ついにゴリは家出人名簿から青年と該当する写真を見つける。
西村幸一・大工見習い。出身は長野県信濃市。一ヶ月前に家出して
いること。ボスは長野県警に問い合わせると語る。

ゴリは屋上にいるとボスがやってくる。少年のことを考えていたのか
と問われると、一人の少年が東京に家出して殺人を犯して自分も
死ぬ。やりきれない思いだという。ゴリも家出同然に出てきたの
だろうとし、10年帰っていないならば両親も心配しているのでは
ないかという。帰りたいとは思わないのか?とすると、一度捨てた故郷
なので帰りづらいという。その内帰る必要がなくなってしまうんだ
というボス。

リリーは信州屋で食事すると、主人にライターをプレゼントしていく。

ゴリは東京駅に行くと長野の信濃署少年課刑事の多田刑事を
迎えに行く。
多田を乗せて車で町中を走っていると多田はゴリに対して、東京
は人と車がひしめき合っているとし、この年まで信州を出た
ことはなかったという。初めての東京で警察官として最後の
仕事だという。勤続35年・・退職だという。35年は長いようで
短いと語る。これからは孫と一緒にのんびり過ごしたらどうか
と声を掛けるが、子供はいないという多田だった。
--------------------------------------------------------

今回はゴリさん主役のエピソード。

東京に出て10年(8年)、ゴリさんは故郷の宮崎県に帰郷していない
様で父親との会話もされぬまま、月日が流れてしまった様だ。

かつての正月エピソードの中で九州での捜査が有り、ゴリさんは
お見合いをしていたというシナリオが有ったので実家にも帰った
のかなと思っていたけど、そういう設定だったみたいだ。

当時でも飛行機が既に有るので九州への帰郷も遠くは無かったけど
料金が高かったし、新幹線が開通しているけれど、0型新幹線の速度
からすると、東京から博多間は8時間から11時間くらいかかった時代
でもあるので、容易に帰郷でないところもある。

逆に今回登場する親子の物語は、信州・長野が実家の親子が
親の反対を無視して故郷を離れて東京に出てきた娘夫婦のことを
勘当状態で長いこと遭っていない事情を知り、ゴリさんがなんとか
してその仲を取り戻すという流れが有った。

当然事件も信州に関連する加害者・被害者の構図が有り、長野県警
の警察官の協力を要請。その警察官が定年間近で、今回のメインと
なる仲違いしている親子である。

昭和の人たちだと、どうしても東京に行くと堕落するとか悪い道に
走るという固定観念があるのだろう。
子供が故郷を離れることに寂しさを覚えるところも父親を意固地に
させる原因なのかも知れない。

定年間近の刑事の多田にとって、その後の人生設計が描けない所も
有るのだろうし、警察官という如何にも頑固そうな職に就いている
ところなど和解に不利なところと有利なところが混在していた。

長野から出てきた青年がヤクザの男を殺害し違えている現状が有り、
全ては初恋の相手だったリリーこと待田を助けるが為のこと。
街田自身は自分のせいで一人の若者を失ったことに対する責任感を
感じたかどうかはよく分からなかった。

ちょっと笑えたのは街で多田とゴリがはぐれてしまいゴリは東京の
土地勘の無い彼が困っているだろうことを知り懸命に探す中で、
「50代半ばのしょぼくれた年配の人をみませんでしたか?」と尋ねて
居た際に、その会話を多田が耳にしてしまうというシーン。
海外ドラマ「NCIS ネイビー犯罪捜査班」ではよくあるワンシーン
なんだけどなんか面白かった。

また一つ竜神会の麻薬ルートを潰したということで、七曲署のメンツ
はヤクザのオフィスに殴り込むシーンが有り、これぞ太陽にほえろ!
だなと思わせるところも遭った。

美味しい信州ソバを最後に父親に食べさせるというミッションは
父親が怪我で入院したことで見事その流れから達成された。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)

多田節子 …… 日色ともゑ (ソバ屋)
多田刑事 …… 小栗一也 (長野の警察官、定年間近)
安本 ……
待田時江 …… (リリー、長野出身)
西村幸一 …… (時江を好きな青年、長野出身)

桜井克明、石森武雄、山添多佳子
小田まり、山本哲也、中西一起、松村勉、高橋英三郎、辻義一
星野富士夫、門脇三郎、富永千果子、戸塚孝、佐藤勝貫、岡田正典



inserted by FC2 system