気分は名探偵
(日本テレ土曜21:00 - 21:54枠/1984年10月6日から1985年3月30日)

プロデューサー:山口剛、菊池昭康
脚本:宮田雪、石原純一、岸田理生、柏原寛司、田村多津夫、金子裕
演出:高井牧人、河野和平、水島総、梅谷茂、新沢浩、中山史郎
音楽:羽田健太郎
主題歌:「人魚の誘惑」 唄:水谷豊





第6話 おじいちゃんの秘密?
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圭介は若いカップルを尾行し撮影する中、突然圭介のすぐ後ろ
に引っ付いて同じ行動をする老人・(坂田幸作)が現れる。親戚で
も何でも無いのについてこないでくれという圭介は、探偵の
仕事がしづらくなるとして追い払おうとする。監視対象のカッ
プルがラブホテル・渋谷に入ったのを知って、圭介はホテルの
出入り口が見える喫茶店で彼らが出てくるのを待つ。2時間は
出てこないだろうと。すると喫茶店にはまたしても老人が現れ
る。

圭介は吉原野探偵事務所に連れて行くと聖子に相談する。
お爺ちゃんの住所と名前を聞くが、まるで会話しようとせず、
全く別のことを語り出すことで、聖子はボケてしまっている
のではないかという。ここに連れてきてどうするのかという
聖子は引き受けるべき仕事とそうではない仕事があるのだと
語る。圭介は警察に連れて行くかと告げると、突然爺ちゃんは
聖子に対して"家に帰りたくないマサコ・・"と語り始める。
聖子はパパが以前から話していた事だが、「お金の取れる所
からは嫌と言うだけ取り、取れない所からは取らなくても良い」
とするこの事務所の信条に従って、今回の案件を担当しよう
と語る。すると突然爺ちゃんはコーヒーが飲みたいと言い出した
ので一階に店舗を構える占い喫茶"マリー"の店に連れて行く。

喫茶店にいくと圭介は荒木に頼んで捜索届が出ていないと
警察に問い合わせて欲しいという。あの爺さんの特徴を話して
該当者を捜してくれば良いのだという。
爺ちゃんがボケているということを知って、マスターも含めた
仲間たちは、ボケた風には見えないが年を取るのは悲しいほと
語る。爺さんは突然マスターに対して、このコーヒーの味は
98%だと告げ、水道水をそのまんま使うようでは美味しいコーヒ
ーを入れることは出来ないのだという。意外にコーヒーに対する
鋭い指摘をしてきたことに驚く。もしかして喫茶店をしていた
のではないかと疑い圭介は爺ちゃんのポケットの中に何か
身元が分かるものが有るのではないかとして、ポケットを
調べさせて欲しいと近寄るが、突然爺ちゃんは大声で"止せ!!"
と告げ、人に触れるのが嫌いなんだと告げる。
突然爺ちゃんは誤魔化すようにして、浩三に対して、「松井!」
と呼ぶと、ビルマの戦友だとして、一緒によく歌った歌を
歌おうと語る。しかし浩三はそれを否定する。

浩三は警察の知り合いに頼んで捜索人が出ているか関係部署
に問い合わせるが捜索人は出ていないとの事だった。家族は
爺ちゃんが帰宅しないことを心配していないのか?と疑う。
浩三は何か怪しい事を告げ、あの人はただ者ではないと語る。

圭介は爺ちゃんと一緒に行動を共にするが、彼は喫茶店にばかり
入りたがる。もう6軒目だと告げる中、喫茶"春譜"でコーヒー
を飲んで居るとそこに若夫婦と高齢の母親らしい人物がランチ
を取るためにやってくる。若夫婦はすぐにピラフを注文すると
母親に対して注文を聞く。すると母親は私も同じもので良いと
語る。するとそれを聞いていた爺ちゃんは、若夫婦に対して
もう少し年寄りの気持ちを考えろ!と告げる。年寄りがピラフ
のような脂っこいものを好むわけがないだろうとし、メニューを
見る際に相談したら良いと告げる。また爺ちゃんはその母親
に対しても何で自分の希望を言えないのかとして怒鳴り始める。
爺ちゃんの行動を静止する圭介に対して、正しいことを
言って何が悪いと告げると、嫌われるとか嫌がられるとか、
そういう事ばかりを気にしていると非難する。次々と文句の言葉
ばかり出てくる爺ちゃんに対して、母親は彼の頬を叩くと、私
のことはソッとして置いて欲しいと語る。
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突然圭介の元にやってきた謎の老人は、圭介のことを終始
つきまとい何がしたいのか全く分からなかった。住所も氏名も
名乗らず、突然UFOだの火星人だと言い始める男の素性を調べ
ようとするが・・・
行動を共にするウチに、若者たちに対する憤り感を唱えており
年を取り発言力を失う老人たちの現状を憂えていることを
知る。

他人には厳しく自分には甘いという典型的な人物だった。
昔はこういう厳しいオヤジが町中にいた・・・みたいな昭和の
人たちの発言が見られるけど、このドラマに於いては、千差万別
でそれぞれの家庭が抱えている事情を勘案すれば、なかなか発言
出来ない事情には複雑なものが有り、他人の家庭の事情に何処まで
その事情を知らないものたちがかかわっていくべきなのかを
考えさせられるものがある。

現役世代の発言が強いというのはある意味当たり前なのだけど、
退役した世代の人間を疎かに扱うような社会で有ってはならない
というのはよく分かる。
ただ平成の現在だと寧ろ老人天国のような状態になっており、
現役世代の購買力に比べて、団塊の世代以前の人たちの豊富な
貯蓄額が色んな意味で日本経済の頼みになっており、彼らの
貯蓄額を使わせようとする政策によって経済を回そうとしている
が、その貯蓄額を失えば一気に日本社会の持つ世界に対するアド
バンテージも失って行きそうで恐いものがある。
日本が裕福だと思われているのもこういう世代の貯蓄があって
こその信用にも思えるしね。

色々とコーヒーに詳しい理由とか、固執すべきものの理由の中
に複雑なものが有るけど、時代は変わっていくものだし、喫茶店
の壁に飾られている失っていく仲間の姿の写真を見ると、
諸行無常な感じがして、なんとも言えない切なさも有った。

ボケ老人にしては隙がないとする辺りの浩三の視線だったり、
鬼子母神に行かせる為に、占い師を利用する流れなど面白いもの
が有った。
本当のことを話せない坂田に対して一度は突き放すみたいな
流れを演出して、圭介と緑がそれを見守るというのも上手く
出来ていたね。

前回も金が必要なエピソードだったけど今回もまた300万円が
必要だった。



夢野圭介 …… 水谷豊 (吉原野探偵事務所)
吉原聖子 …… 朝丘雪路 (妻、夫を心臓発作で亡くす)
草間緑 …… 岡江久美子 (渋谷東小学校・教師)
八田利男 …… ケーシー高峰 (万年坂警察・刑事)
加納礼 …… 草野大悟 (喫茶店"占い喫茶マリーのオーナー)
マリー池田 …… 順みつき (占い師)
荒木紀信 …… 船越栄一郎 (喫茶店"占い喫茶マリー"でアルバイト)
大藪邦彦 …… 片桐竜次 (万年坂警察・刑事)
吉原かおり …… 佐野量子 (娘、高校2年生)
津村明子 …… 一氏多佳美 (浩三の娘)
吉原良平 …… 財津一郎 (弁護士・パパの弟)
津村浩三 …… 藤岡琢也 (整体師)

坂田幸作 …… 下條正巳 (祖父)
老人 …… 里木差甫良、近松敏夫
老婆 …… 磯村千花子
マスター …… 和沢昌治 (喫茶"陵")
坂田信行 …… 石津康彦 (幸作の息子)
坂田政子 …… 本庄和子 (信行の嫁)
老婆 …… 橋本菊子 (ピラフを注文)
息子 …… 中平良夫 (ピラフを注文)
嫁 …… 大原真理子 (ピラフを注文)
若いサラリーマン …… 山崎健二、花田光夫、大倉順憲 (酔っぱらい)
ウェイトレス …… 佐川美紗 (喫茶"春譜")
坂田佳代子 ……


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