気分は名探偵
(日本テレ土曜21:00 - 21:54枠/1984年10月6日から1985年3月30日)

プロデューサー:山口剛、菊池昭康
脚本:宮田雪、石原純一、岸田理生、柏原寛司、田村多津夫、金子裕
演出:高井牧人、河野和平、水島総、梅谷茂、新沢浩、中山史郎
音楽:羽田健太郎
主題歌:「人魚の誘惑」 唄:水谷豊





第14話(15) どんぐり小僧の涙
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正月明け。
かおりの母・聖子が浩三と再婚したことでかおりは、喫茶店に
来ると浩三の態度に不満をぶちまける。食事中におならをした
り口に含んでいる食べ物を飛ばして来たり・・・風呂のシャワー
を壊したことも彼がシャワーをカラオケのマイク代わりにした
ことが原因だった。あんな人を父さんなんて絶対嫌だという。
そんな浩三がやってくると、かおりは勉強すると言って出かけ
てしまう。浩三は圭介と荒木に駅前の本屋で仕事の依頼だとして
向かわせる。どんな仕事かと思えば、大掃除の手伝いだった。
自分達は探偵だとするが、新所長の命令は絶対だった。

仕方なく本屋で手伝いをしていると圭介は万引きしている少年
を目にする。本屋を出るまで監視している中、子供は走って
逃げた為に追いかける。公園・・・そして踏切を越えると
少年によってまかれてしまったかに思われたが、圭介は先読み
して少年が来るのを待っていた。懐にしまった本を出しなさい
と告げると、少年は編み物の本を取り出す。本屋に行って謝り
なさいという圭介に対して少年は本を水たまりに投げてしまう。
圭介がその本を水たまりから取りだそうとすると少年はその本
を踏みつける。圭介は自分がしていることが分かっているのか
とすると少年を抱え上げる。

マリーの店に連れて行くと少年から事情を聞こうとする圭介と
荒木。名前を聞くがまるで話をしようともせず、仮の名前でも
良いというが、それでも話そうとしなかった。俺たちをバカに
しているのかと激怒する中、マリーやマスターはあの子は精神
的にしゃべることが出来なくなっているのではないかという。

一方かおりは聖子に対してシャワーを一刻も早く直してと頼む。
あの人のせいで壊されたのだというと、聖子は娘が浩三を
他人行儀の名前で呼んだことに承知しないとして怒る。

そんな中少年は店内を暴れてそして探偵事務所内に逃げ込む。
更には外に出て屋根の上に登るのだった。荒木と圭介は屋根に
飛び移ろうとするが、二人が乗る程強度が耐えられるものでは
なかった。説得して屋根から下ろそうとするがまるでいうこと
を聞かなかった。緑がやってくるが、私の学校の小学生では
ないという彼女。早く帰らないと両親が心配しているハズだと
して家は何処なのかと問うがまるで反応せず。圭介は黙って
いると何か得することがあるのかと尋ねるが・・・
荒木がやってくると案の上捜索届けが出ている家出少年である
事が分かる。名前は森村祐司だとして、警察の方には両親が迎
えに来ているみたいだと語る。

圭介と緑は少年を連れて警察署に行く。
大藪は女犯人に手こずっていた。扉の前に立つ祐司だが、室内
に入るのを拒む。両親は怒らないだろうしきっと喜んでくると
して説得する。圭介と緑の手を繋いで祐司は室内へと入っていく。

室内では八田に少年を引き渡す。
すると両親が心配していたとして祐司の元に駆け寄る。
後妻の紀子は祐司の好きなハムのサンドイッチを持って来た
とするが少年はまるで会話をしようともせず、サンドイッチにも
手を付けようとしなかった。圭介は森村から普段から話をしない
子なのかと問うと、何か訳ありそうな感じだが、詳しくは語ろう
とはしなかった。
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聖子が再婚したことで、事務所の新所長に就任したのはかつての
刑事で再婚相手の津村浩三だった。そんな彼から駅前の本屋で
手伝いをするよう命じられ不満を表明する中で、万引きする少年
森村祐司を見かける。少年は一切喋ろうとしなかったが、家出人
捜索として届け出が出ていた為に身元が判明する。少年は後妻
との関係に戸惑っていることが少しずつ判明していく。

生意気そうな少年に最後まで振り回されるというエピソード。

聖子の再婚によって探偵事務所での人間関係にも若干の動きが
見られて、その中でももっとも影響を受けて居るかおりと浩三
の義理の親子関係と少年のエピソードを平行して描いていくという
もの。

死んだ母親への義理立てと、新しい母親への優しさへの愛情を
感じる少年の戸惑いが、上手く彼の中で処理出来ずに暴走して
しまうという流れだった。

緑がいたのでこういう時、子供の扱いには心強いものが有るなと
思っていたけど、思った程にドラマには関与せず、圭介と少年の
物語として描かれた。
本来ならば父親が上手く処理すべきものなんだろうけど、なかなか
気持ちを証せないというのも分かるし、言葉に表さないのであれば
態度でそれを察していくしかないということで少年の態度を精査
していくことになる。

とても不幸なことだけど、最初から継母を嫌っていた訳では無く
それでも誤解するような状況になってしまうところが、今の少年の
置かれた複雑さを物語っている感じ。

圭介が少年の気持ちに気が付かねばどうなっていたのか・・って
感じの流れだったけど、最後まで喋らず貫き通すという辺りは
上手く出来ていたね。


夢野圭介 …… 水谷豊 (吉原野探偵事務所)
吉原聖子 …… 朝丘雪路 (妻、夫を心臓発作で亡くす)
草間緑 …… 岡江久美子 (渋谷東小学校・教師)
八田利男 …… ケーシー高峰 (万年坂警察・刑事)
加納礼 …… 草野大悟 (喫茶店"占い喫茶マリーのオーナー)
マリー池田 …… 順みつき (占い師)
荒木紀信 …… 船越栄一郎 (23歳、喫茶店"占い喫茶マリー"でアルバイト)
大藪邦彦 …… 片桐竜次 (万年坂警察・刑事)
吉原かおり …… 佐野量子 (娘、高校2年生)
津村明子 …… 一氏多佳美 (浩三の娘)
吉原良平 …… 財津一郎 (弁護士・東大を首席で卒業、聖子の義弟)
津村浩三 …… 藤岡琢也 (元刑事)

森村紀子 …… 立石涼子 (後妻)
森村祐司 …… 柴田一幸 (無口な少年)
森村 …… 広瀬昌助 (父親)
おばさん …… 岸井あや子
女主人 …… 金子勝美
女性容疑者 …… 松本啓子



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