愛の嵐
(1986年・フジテレビ昼ドラ)

原作:「嵐が丘」(エミリー・ブロンテ)
企画:出原弘之
音楽:坂田晃一
脚本:大久保昌一良、白井更生、下飯坂菊馬、清水曙美
演出:山本隆則、松生秀二、福田真治、小野俊和、花堂純次
プロデューサー:松村明、平野一夫、小野俊和


第44話
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勇作は光明寺にひかるが居ることを知り呼びに来ると、そこで
猛が和尚やひかると共にお茶を飲んでいる所を目にする。
一瞬驚くが、すぐに気を取り戻して彼は帰還を祝って祝杯を
上げようと猛を誘う。しかし今日の夜の列車で東京に戻ると
告げる。
勇作は銀行の頭取が来るので、ひかるにも立ち会って欲しいと
して、彼女を連れて帰る。ひかるは猛に体に気をつけてねと
声を掛けて立ち去る。
和尚はそんな勇作の姿を見て、目一杯芝居をしていたなと告げる。
和尚はこれからどうするのか?と猛に問い、今のお前が有るのは
三枝家が有ってこそだと告げる。今度はいつこの村に来るのか?
と問うが、答えることは出来無かった。

一方勇作はひかるに対して激しく問い詰める。
ひかるは偶然墓参りをしている時に猛に気がついたとするが、
これまでにも影で逢っていたのではないか?と疑う。しかし
ひかるは貴方の妻になって8年間仕えてきたのに信じられないの
か?と問うと、勇作は二度と猛には逢わない様約束して欲しいと
頼む。ひかるも了承する。
しかしひかるの心は複雑だった。猛の姿があまりにも変わって
いたからである。

猛は三枝の実家に行き、密かに自分が過ごした部屋を見て
回る。靴を履いて家を出て行こうとすると、絹が正座していた。
お帰りなさいとし、生きて帰ってきたのですねと声を掛ける。

猛は伝右衛門の仏壇に線香をあげる。
絹は猛を見てあの頃よりも逞しくなったわねと告げ、戦争が
猛を変えたのか?と尋ねる。猛はこの家が今でも大河原家の
抵当に入っているのか?と問い、勇作はこの家に関して何か
言ってきているのではないか?と尋ねる。すると絹は私を
立ち退かせて何かを建てるつもりみたいだとし、しかし私が
生きている間は決して立ち退かないことを告げる。猛は金さえ
払えば返してくれるのか?と問うが、勇作は目的のためならば
手段を選ばない男なのでそれは無いだろうという。猛は二度と
この村に戻ってこないが、家を買い戻すという事になればいつ
でも連絡してくれるよう頼む。そして僅かしか持ち合わせがない
としながら財布ごと絹の前に置いていこうとする。しかし絹は
施しは受けるつもりはないとして受け取りを拒否する。
戦争が終わり地主や小作人という隔てが無くなり、人を図る
尺度も変わったけれど、人の心は変わらないものだとし、例え
貧困でも辛い思いをしても自分の誇りを捨ててまで生きるつもり
は無いことを告げる。そして猛に対して、大河原家と同じ人間
になった事を指摘する。金が何でも解決すると思っている哀れ
な人間だと非難する。

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猛と勇作が鉢合わせ

勇作は文彦から猛が生きている事を前回の話しの中で描かれた。
そんな話しから間髪入れずに逢う機会を与えるのだから、
テンポが良いね。
勇作は猛を見て祝う姿が有るけど、実際には相当不安に感じて
いるだろうね。

猛は絹と再会

絹が静かに正座しているシーンは、ホラー映画かと思うほど
驚くべきものが有った。
今の猛が金にしか目が行かないのもある意味仕方がないと思う
けれど、やはり絹にしてみればそういう時代の変遷を受け入れ
られないのかもしれない。

ひかるが可愛くて仕方がない政之助

憧れの大地主の娘さんという事もあって、彼がひかるを見る目
は特別な者がある。しかしそんな視線を妻の静子は、小作人
根性だとして非難する。
ひかるにとっては唯一気を許せる人物なんだけどね。

犬塚弘さんといえば、クレージーキャッツ。先日そのメンバー
の一人であった谷啓さんが亡くなられてしまいました。

静子の嫁いびり

結婚して8年、子供の出来ないひかるに対する風当たりは強い。
しかも本心を見せたことがないとして、ひかるの事を非難する。

米軍の余剰物資

100万円で買い取る予定だった勇作だが、150万円で買う物が
現れた。しかも軍に顔が利くという事で、勇作にとって辛い
立場だが、それが猛という事でビックリ。
猛は勇作が買おうとしていたという事を何処から知ったのだろう
か。

ひかるを説得役に据える

猛が買い取った物資を買い戻すために、勇作はひかるに交渉役
をして欲しいと頼む。しかし断り続けるひかる。

ひかると絹は人生に疲れる?

そろそろ私達が傍に行くことを許してくれるだろうと仏壇の前で
語る絹のセリフが不気味。それを否定しないひかるも、ちょっと
今後が恐い感じがする。


川端猛 …… 渡辺裕之 (孤児)
三枝ひかる …… 田中美佐子 (長女)
三枝絹 …… 江波杏子 (妻)
三枝文彦 …… 佐藤仁哉 (長男)

大河原勇作 …… 長塚京三 (大河原旅館、金融業)
中村はな …… 千野弘美 (使用人)
大河原静子 …… 福田公子 (勇作の母、旅館の女将)
大河原秀子 …… 芦川よしみ (勇作の妹、専門学校生)
大河原政之助 …… 犬塚弘 (勇作の父)

西野 …… 若林哲行
友子 …… 松阪隆子 (文彦の彼女)
章次 …… 国枝量平 (バーのマスター)
秘書 …… 吉見文
和尚 …… 内田朝雄

ナレーション:中西妙子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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