101回目のプロポーズ
(1991年度7月期、フジテレビ、月21時枠)

脚本:野島伸司
プロデュース:大多亮
演出:光野道夫(1)(2)(5)、石坂理江子(4)、林徹
演出補:林徹、中江功、緒方幸夫
音楽:西村由紀江
監督:山田良明
主題歌:CHAGE & ASKA「SAY YES」

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/kennedys/index.html





第6話 婚約
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達郎は薫に夢を聞かれる。そして薫は達郎に対して正直で嘘を
つかないことは素晴らしい事だが、女性は時として嘘でも夢が
みたいものであり、人は交われるものだと言われる。
達郎は翌日、出社すると部下の渋谷に、俺は変わるぞと宣言
する。

桃子は薫から昨晩のことを話しに聞く。
薫が達郎に対して怒ったこと。それを聞いた桃子は薫が達郎の
事を好きなのだという。好きだからこそ怒ったものであり、
昔から薫の態度は分かりやすいという。薫は嫌いではなく人と
して好きだが、恋愛とはまた別のものであると告げる。薫は
今でも誰かを好きになることは誰かを別れる事だとして、真壁
との事を気に掛けていた。

達郎は変わると宣言したものの何をして良いのか分からずにい
た。部屋の掃除を入念にするも何か違うと感じる。
一方弟の純平の態度が変であることに気がつく。土曜日から変
だと気がついていた達郎は、心此処に非ずな弟に、早く寝ろと
言い渡す。しかし達郎は純平がオムレツに涼子の名前を書いて
いたことで事情を察する。

千恵は以前として姉のハッキリしない態度に嫌気がさし口を
聞かずにいた。千恵は家を出て行こうとして不動産情報誌を
手にしていた。千恵が作ったサラダとオムレツに薫が口を
つけると、千恵は不適な笑みを見せる。まさか毒でも入ってい
るのかと思いギョっとする薫だが、取り越し苦労だった。
薫は千恵に一人暮らしは絶対に許さないと語る。

ランチの際に、達郎は渋谷や涼子たちと一緒に食事をとる。
いきなり変わると言っても人はどう変わればいいのか。涼子は
そのままの部長で良いという。薫の前の人はピアニストで三年
前に亡くなっている事を告げる。涼子も高校の時までピアノを
弾いていた事を知ると、渋谷はピアノでも習ったらどうか?と
問う。冗談のつもりだったが、達郎は涼子と二人きりになると、
今度ピアノを教えて欲しいと頼む。変わると言っても何をして
良いのか分からないので、少しでも前の彼氏に近付きたいのだ
という。涼子は人は何かをしようとした時から変われたのだと
告げる。

薫は尚人に会うと、千恵に毒を盛られそうになった事を話す。
尚人は大笑いする。薫と達郎ではアフリカ原住民とエスキモー
のような存在でまるで趣味も価値観も違うことを告げる。逆に
俺と薫には接点がある事を告げる。尚人にみんな誤解している
が私は達郎と結婚する気は全くないと語る。

達郎は桃子の店に行くと、子供用のピアノレッスンの本を
購入する。すると事の顛末を全て薫から聞いていた桃子は達郎
に対してアドバイスをする。今まで達郎が薫に一方的に
アプローチしていたのでここらで身を引くべきだという。
桃子はたとえ話として、薫が結婚できない理由として妊娠して
いる事をかたると、達郎は衝撃を受けて、話を最後まで聞かず
に店から出て言ってしまうのだった。

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現実的な達郎の性格を薫は非難し、時には夢を彼氏の中に
夢を見たいとする事を聞かされる。その為には人は変わる必要
が有ると感じた達郎は、少しずつ自分の中にはなかった事を
やり出そうとする。そんな最中に、薫の友人桃子から、薫は
行きずりの相手との間に子供を妊娠していると言われる。

恋愛に於ける駆け引きを、勘違いの中から知らない内に起こ
させていくという展開が描かれた。

それまで散々達郎を勘違いしていた薫だっだが、今回は薫が
勘違いによって責められ役に回り、達郎を含めて回りを傷付
けていくものだった。

その事で達郎と薫の距離感が開いてしまったような状況
を上手く作り、達郎と会えなくなった時の薫の正直な気持ち
を上手く引き出していく。

なんといっても凄いのは、撃たれ強い達郎の姿がこの場に於
いても存在している事だ。
まさに多少の雨風では揺らぐことのない大木とばかり
に、少々のことでは揺れ動かずぶれない心で薫の姿を見てい
る所が印象的だ。

簡単に誤解だと分かるような嘘が此処まで広がる事へのうまさ
を感じると共に、薫の誤解を受けた達郎がとっていた行動が
思っていたこととは全く逆のピュアな気持ちで薫のことを
見守っていたとする辺りがとても暖かく感じられる。

ドラマとしての有名なシーンの一つでもある車道で走行中の
トラックの前に飛び出し"僕は死にません"のセリフも、何度
聞いても泣ける演出だなと思う。

ただこの状況に於いても元彼である真壁の事が別れられずに
いるところは、やはり人の心はそう簡単には右に左に行かない
ものがあるんだなと思う。

矢吹薫 …… 浅野温子 (30歳、オーケストラのチェリスト)
星野達郎 …… 武田鉄矢 (42歳、建設管理会社の万年係長)
星野純平 …… 江口洋介 (22歳、達郎の弟で大学生、法学部所属)
矢吹千恵 …… 田中律子 (20歳、薫の妹。純平と同じ大学)
岡村涼子 …… 石田ゆり子 (23歳、達郎と同じ会社の受付嬢)
沢村尚人 …… 竹内力 (28歳、オーケストラのバイオリニスト)
渋谷悟 …… 前田真之輔 (25歳、達郎係長の部下)
関谷祐子 …… 岩田美香 (涼子の友人、達郎と部下)
矢吹孝夫 …… 小坂一也 (薫と千恵の父、浜松、印刷工場社長)
石毛桃子 …… 浅田美代子 (34歳、薫の親友。楽器店を経営)
真壁芳之/藤井克巳 …… 長谷川初範 (35歳、達郎の上司)


船田幸、伊藤美紀、佐藤幸雄、岩田美香、山木正義


評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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