101回目のプロポーズ
(1991年度7月期、フジテレビ、月21時枠)

脚本:野島伸司
プロデュース:大多亮
演出:光野道夫(1)(2)(5)(7)(8)、石坂理江子(4)(10)、林徹(9)
演出補:林徹、中江功、緒方幸夫
音楽:西村由紀江
監督:山田良明
主題歌:CHAGE & ASKA「SAY YES」

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/kennedys/index.html





第10話 僕はあきらめない
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達郎は薫が藤井と教会に行っていることを桃子から聞いて、急
いで向かう。すると二人が教会の中で語り合い、そして藤井が
彼女にプロポーズしている姿を見てしまう。達郎の姿を目撃
する薫だったが、何も言えなかった。

翌日、純平は達郎の部屋に行くと、彼は一晩中起きていた様子。
地球は1999年に滅びるとされているが、もう少し早まると良いな
と呟く達郎。

桃子は薫に会うと、昨日の事を話し合う。
薫は藤井と教会に行ったのは、彼が真壁とは違うと言うことを
実感させるために行ったものだとするが、結局割り切ることは
出来なかったという。頭では分かっていても、彼の顔と藤井が
重なってしまうのだと。桃子は昨日達郎に対して、腕尽くでも
薫を取り戻してくるようハッパをかけてしまった事を告げると、
薫はあの人は怒っていかなかったが、ただ寂しそうにこちらを
見つめていたと語る。

藤井は達郎と喫茶店で会う。
藤井は達郎の婚約者とは知らなかった事を告げ、それを知って
はじめは諦めるつもりだった事を語る。上司として最低だとし
一言謝りたかったという。達郎は薫はどういう態度を取っている
のか尋ねると、彼女も結婚を望んでいる事を語る。

純平と千恵は、少年野球の練習をしながらも、暇な時間に純平
の告白の練習をする。千恵によると回りくどいやり方はだめで、
まずは目を見て腕を掴んで、顔を近づけささやくのだという。

一方尚人は先日やってきた涼子のことを薫に語る中、香りの
元に藤井から電話が鳴る。
すぐにバーで落ち合い話し合うと、藤井から薫に対して、最終
的には薫がどうしたいのか結論を聞いておきたいという。例え
すぐに結婚するのは難しくても、結婚する気が有るのかどうか
ということ。達郎とのことに関しては、プロポーズした以上
いつか判明すると思っていたので、覚悟はしていた事を告げる。
薫は上司と部下なので会社では気まずいのではないか?とするが、
達郎が辞表を提出したことを聞く。

達郎はその日の仕事終わりに渋谷と飲みに行く。
達郎は渋谷の為に飲んでいる女性客に声をかけて、彼女になって
挙げて欲しいと必死に頼む。しかしあまりのしつこさに女性の
男性友達から殴り飛ばされボコボコにされてしまう。

純平は兄の帰宅が遅いことを心配する中、涼子と共に夕食の
準備をしていた。もう私が来る必要も無くなってしまうのかと
いう涼子に対して、純平は告白しようとするが、そこで純平は
達郎が会社に辞表を出した事を初めて聞く。そして婚約がだめ
になったのだとの事だった。

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達郎は薫が藤井と結婚する事に合意していることを知り、これ
以上の薫へのこだわりは難しいと考え、自ら身を引くことに
なる。薫は、これまで散々自分のために達郎の人生に犠牲を
強いてきた事、そして今回もまた自分のせいで20年近く勤めて
きた会社を退社させた事を知り、いたたまれなくなるが・・・

薫のために達郎が犠牲になる姿。
このドラマの冒頭の方で、散々達郎が薫のわがままに振り回さ
れて、自らの生活のペースというものを乱して、被害を被って
行く中でも、今回はまさに達郎にとっては究極の犠牲であり、
そして薫にとっては最大の罪悪感を引きずったまま、自分の
幸せの為に貫いていこうとする。

他人を犠牲にしてまで幸せになることは果たして可能なのか。

このドラマを見ていると、韓国ドラマ「冬のソナタ」を思い出す。
背景や設定は多少なりとも変わってはいるけど、基本的にこの
ドラマを踏襲した人間の心理描写が引用されている感じだ。

やっぱり顔が似ているというだけで恋愛ゲームに参戦してきた
藤井という人物に嫌悪感を抱くところもあるし、涼しい顔を
して謝罪する姿なり、達郎のためにも幸せにならなければなら
ないとするシラっとした発言に、かなり腹が立つ思いがする。

達郎は達郎らしく、何処までもひたすら彼女の前では太陽で
有り続ける様が凄かったけど、時折見せる素の表情がまた、
理想と現実を描いている様で、なんともリアルなものがあるな。

薫が十分に自分が酷い事をしている事を実感していること。
妹が姉のしていることは星野を裏切るだけでなく真壁も裏切る
としたこと。桃子が達郎に対していつか薫が藤井を真壁とは
別人だと思う日が来ると感じているところなど、どの人物も
上手く薫の心情やら状況を把握していて、周りでカバーして
あげているなというその関係がとても羨ましくもあり、薫は
幸せ者だなと思う。

純平が桃子から全ての事情を聞いてサングラスをかけ、ヘルメ
ットをしてバイクで走り去るときの涙を見ていると、とても
良い兄弟の関係が築けているなという感じだった。

韓国ドラマなどを見ていると、このような兄弟や姉妹の厚い
絆を感じものが多いけど、日本のドラマでもそういう描写が
描けるのだからもっとこのドラマのように人間関係に於ける
関係の厚みを描いていって欲しいね。

矢吹薫 …… 浅野温子 (30歳、オーケストラのチェリスト)
星野達郎 …… 武田鉄矢 (42歳、建設管理会社の万年係長)
星野純平 …… 江口洋介 (22歳、達郎の弟で大学生、法学部所属)
矢吹千恵 …… 田中律子 (20歳、薫の妹。純平と同じ大学)
岡村涼子 …… 石田ゆり子 (23歳、達郎と同じ会社の受付嬢)
沢村尚人 …… 竹内力 (28歳、オーケストラのバイオリニスト)
渋谷悟 …… 前田真之輔 (25歳、達郎係長の部下)
関谷祐子 …… 岩田美香 (涼子の友人、達郎と部下)
矢吹孝夫 …… 小坂一也 (薫と千恵の父、浜松、印刷工場社長)
石毛桃子 …… 浅田美代子 (34歳、薫の親友。楽器店を経営)
真壁芳之/藤井克巳 …… 長谷川初範 (35歳、達郎の上司)
藤井美加 …… 田中友香里 (5歳)
ピアノバーのバーテン …… 佐藤幸雄 (バー"エチュード")
矢吹孝夫 …… 小坂一也

山木正義、野村ちこ、小西邦夫、南雲由紀子、篠田高信
麻美ユリエ、白井勝雄

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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