101回目のプロポーズ
(1991年度7月期、フジテレビ、月21時枠)

脚本:野島伸司
プロデュース:大多亮
演出:光野道夫(1)(2)(5)(7)(8)(11)、石坂理江子(4)(10)、林徹(9)
演出補:林徹、中江功、緒方幸夫
音楽:西村由紀江
監督:山田良明
主題歌:CHAGE & ASKA「SAY YES」

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/kennedys/index.html





第11話 愛の女神よ!
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達郎は突然司法試験を目指す事を純平に語る。
薫のことを諦めたが、その一方で諦められない自分がして、
行動を起こさせるのだという。しばらくは俺のやりたい様に
させて欲しいと。しかし純平は今でもバイトを二つも掛け持ち
しているのだから早く仕事を探して欲しいと考えていた。

一方婚約を破棄しても諦めていない事を知った薫は尚人に相談
する。桃子がけしかけたみたいだが、尚人はそんな達郎の事が
重荷なのか?と問うと、自分はそこまで思われるような女ではな
いと語る。尚人は何かに託けて踏ん切りをつけようとしている
のではないかと告げる。

千恵は事の顛末を聞くために、純平がピザ屋でアルバイトして
居る事を知り、注文して事情を聞く。兄は断られたことで脳に
痺れを来しているかもしれないので病院に連れて行こうかと
考えているという。万が一司法試験に受かったとしても、薫が
戻ってくる保証はないのに、なにをしているのだかという純平。
純平は千恵に対して、薫に頼んでそんな事をしても無駄だと
言ってもらえないかと頼むが・・・

薫は桃子に会うと、何故達郎をけしかけるのかと問う。
桃子は薫が藤井と別れた後に一人にならない為の措置だという。
藤井は女性を幸せに出来るようなタイプじゃないとし、離婚
している身でもあるという。一応離婚した原因だけはちゃんと
聞いて置くべきだと言われる。

藤井と会う薫。藤井は仙台に出張することになったとし、娘の
美香の相手を頼まれる。薫は桃子に言われたことをそのまま引用
する形で、何故離婚したのかその原因を尋ねる。
すると藤井は自分は家庭を大切にするよりも仕事に比重を置く
タイプの人間ではあるが、その為に夜遅くに帰宅することが
多くなりがちで、そのせいで妻が浮気したことだが、それが許
せなくて離婚したのだと語る。それを聞いた薫は、仕事が忙しい
のは仕方がないことで、信じていれば寂しいことなど無い事。
そして藤井は悪くないと語る。藤井は今すぐではないにしても
結婚のことを考えて欲しいと言われる。

純平が帰宅すると部屋中が兄の勉強のメモ紙で溢れていた。
千恵は姉・薫が帰宅すると、純平から頼まれたことを話してみる。
すると自分を汚さずに相手に嫌われるなんて虫が良すぎること
を桃子に言われたことを告げ、電話してみるという。
純平が達郎に勉強するのを辞めるのを説得する中で、薫から電話
がなる。彼女は少しでも思ってくれるのであれば、司法試験など
という無謀なことは辞めて欲しい事を告げ、苦しめないで欲しい
と告げる。しかし達郎は結果がどうであれ、もう少し待って欲し
いと語り、あなたにふさわしい男に生まれ変わると告げる。
すると薫は達郎に対して、私は藤井と結婚するとハッキリと
告げるのだった。

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突然達郎は振られた事、仕事を辞めた事をきっかけとして
司法試験を目指すという。大学時代に法学部だった達郎は、
弁護士を夢に見ていたことが有り、40歳を超えた今、それを
目指そうと考える。振られても振られても全く堪えない達郎
だが、本当のところでは・・・・

達郎の異常にも思える行動、執着心。
無尽蔵に思える達郎の広い心も、いよいよ限界が見え始め、
まさにこれが最後とばかりに執念を燃やす様がなんとも言え
ないさじ加減でドラマを魅了していく。
少しでも対等な関係に近づきたい思いやら、彼女を抜きにして
自分の夢を目指す様など、複雑な思いが交錯していきそうだ。

いよいよ藤井のメッキがはがれ落ちてくる。
元々真壁ではないことは明らかで、小さな嘘から始まった
藤井への不信感というものが面白く、薫の心に広がっていく様。

その流れがとても自然だし、ようやく気がついてくれたのか
という安堵する状況が用意されるも、そう易々と達郎の元に
戻ることも心情的には出来ないだろうし、まさに迷走状態だ。

藤井の奥さんが求める相手・愛情が、まさに達郎と同一の性格
をしている辺りが如何にもドラマっぽいところだけどね。

達郎は幼いときから間が悪いという。
そんな達郎が珍しく予習したところがバッチリ出てきたという
辺りのきな臭さが果たして額面通りに上手く展開していくのか。

最後に達郎が別れの曲を拙い腕ながらピアノで披露する様が
なんとも心に響いてくる。
薫はそんな達郎にどうしてそんなに人を好きになれるのか?と
問うけれど、それは愚問という物。薫だって真壁にあれだけ
固執する姿が有るんだからね。
達郎の"最後"という言葉は、まさに恋愛に於ける駆け引きの
中でもっとも、響いてくる所だね。

矢吹薫 …… 浅野温子 (30歳、オーケストラのチェリスト)
星野達郎 …… 武田鉄矢 (42歳、建設管理会社の万年係長)
星野純平 …… 江口洋介 (22歳、達郎の弟で大学生、法学部所属)
矢吹千恵 …… 田中律子 (20歳、薫の妹。純平と同じ大学)
岡村涼子 …… 石田ゆり子 (23歳、達郎と同じ会社の受付嬢)
沢村尚人 …… 竹内力 (28歳、オーケストラのバイオリニスト)
渋谷悟 …… 前田真之輔 (25歳、達郎係長の部下)
関谷祐子 …… 岩田美香 (涼子の友人、達郎と部下)
矢吹孝夫 …… 小坂一也 (薫と千恵の父、浜松、印刷工場社長)
石毛桃子 …… 浅田美代子 (34歳、薫の親友。楽器店を経営)
真壁芳之/藤井克巳 …… 長谷川初範 (35歳、達郎の上司)
藤井美加 …… 田中友香里 (5歳)
ピアノバーのバーテン …… 佐藤幸雄 (バー"エチュード")
矢吹孝夫 …… 小坂一也
小山真知子 …… 木村理恵

山木正義

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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