101回目のプロポーズ
(1991年度7月期、フジテレビ、月21時枠)

脚本:野島伸司
プロデュース:大多亮
演出:光野道夫(1)(2)(5)(7)(8)(11)(12)、石坂理江子(4)(10)
林徹(9)
演出補:林徹、中江功、緒方幸夫
音楽:西村由紀江
監督:山田良明
主題歌:CHAGE & ASKA「SAY YES」

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/kennedys/index.html





第12話 SAY YES
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達郎は薫に会うと、司法試験に合格したら指輪を教会に置いて
置くことを告げ、もしも藤井との間に迷いがあるのならばその
時指輪をして欲しいという。遠くから見て指輪をしていなければ
諦めるという達郎。これが最後だと告げる。

薫はこの事を桃子に相談する。
もしも受かっていたらどうするのか?という問いかけに、薫は
戻れるはずが無いとし、この恋愛でふさわしくないのは自分の
方だったと語る。

朝食の際に純平は達郎に対して、どうして自分の首を絞めるよう
な事を薫に言ったのかと問う。達郎は今まで生まれ変わってくる
のならば今のような顔や立場ではなく、イケメンのやり手の
男性として生まれ変わりたいと思っていたが、今回の件で生まれ
変わっても今のままの自分で良いと思えるようになった事を語る。

藤井は薫に会うと嘘をついたことに関して謝罪する。
この件で事実を話すことで誤解されるのが恐かったのだとし、
しかしそれはまだ互いによく知り合えていない事が原因だとし
て、君にもボクのことを理解して欲しいという。藤井は結婚は
まだでも一緒に暮らさないかとし、子供の母親としてではなく、
ボクの妻としての関係を築きたいことを語る。

純平と千恵は神頼みする為に神社に足を運ぶ。
一万円を奮発して賽銭箱に入れると祈る。
そこで純平は尚人がドイツに行くことを聞くと、早速効果が
有ったとして微笑む。それを知った千恵は激怒し、純平のポケ
ットの金を勝手に賽銭箱に入れると、それを止めようとして
二人は思わず唇が触れあってしまう。

達郎のバイト先に渋谷と関谷がつきあい始めたことを報告に
来る中で、尚人も達郎の元にやってくる。尚人はドイツに行く
事を決心した事を告げ、ようやく薫の件で吹っ切れたことを
語る。尚人は達郎に対して本当に試験に落ちたら諦めるのか?
と問うと、これは資格試験だと思っているとし、もうこれ以上
自分には誇れるものがない事を語る。達郎はドイツ行きへの
健闘を祈ると尚人にエールを送る。

純平は涼子に尚人がドイツに行くことを話すと、涼子は大号泣
してしまう。

薫は雨が降る外を眺めながら、藤井にするのか達郎にするのか
で悩んでいた。千恵の元に行くと、達郎の元にお守りを届けて
欲しいと頼む。しかし千恵は本人の手から渡さないと意味が無い
のではないか?という。
薫は仕方なく星野家に行くが、純平によるとちょっと出かけた
という。仕方なくタクシーで来た道を戻ると、その途中に有る
神社で達郎が雨に打たれながら、お参りしているのを目にする。
涙しながら薫は、傘にお守りをくくりつけて置いておくのだった。

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達郎は薫との関係に最後の勝負に出る。
無謀だと知りつつも変わった自分を見せるために挑んだ司法試
験に果たして合格するのか。

人は変われる部分と変われない部分が有るのだと思う。
司法試験の件に関しては、受けると決めた段階で既に変わって
いる事だろうし、例え結果が伴わなくとも、自分自身を好きに
なれたという事で、今後の人生に於ける達郎の充実度は
変わった物になるのだろうね。

達郎と純平が二人で支え合う姿がまた意地らしく、達郎に対して
大声でエールを送ったり賽銭箱に金を入れて祈る所など
良い感じの関係に見える。これと対照的に千恵と薫の関係もまた
上手い感じに姉妹としての絆が描けているんだよなぁ。

千恵の発言はどれも的を射ていて、迷走している薫に対して
正論をぶつけていく。正論が全てに於いて正しいとは言えない
のだろうけど、千恵の発言によって多くの場面で気づかされた
部分も多かったのだろうね。

雨の中で神社でお祈りしている達郎の行動にちょっぴり泣ける
ものがあった。

一方薫と藤井の決別は、藤井と真壁の考えが違うということを
実感させることだった。既に前回の展開の中で不審さを植え付
けているので別れも近い物が有ったけど、上手いこと引き離した
格好だった。

薫が藤井に真壁と同じ物を求めるということ自体が失礼な行動
にも思えるし、それをきっかけとした藤井のアプローチには
全く感情移入出来るものもなく、ただただムカつくキャラクター
の典型で、色んなシーンでシラーっと発言するところがもの凄く
かんに障るところがあった。

50年後の相手のこと。
先のことは良いじゃないかとする藤井の発言も全く分からない
でも無いけど、先のことを考えていないという所はかなりマイ
ナスに写ることは確か。今互いに引き合っている事実が大切
だとするには、少々年を取りすぎている感じがするしね。

最後はネジを使った指輪が象徴的だった。
達郎が作った70万円越えの指輪は、なかなかサイズが合わなか
ったけど、そこに落ちている指輪はピッタリとハマってしまう
所に演出的なうまさが光り、タイミングというものを感じさせる
流れだった。

矢吹薫 …… 浅野温子 (30歳、オーケストラのチェリスト)
星野達郎 …… 武田鉄矢 (42歳、建設管理会社の万年係長)
星野純平 …… 江口洋介 (22歳、達郎の弟で大学生、法学部所属)
矢吹千恵 …… 田中律子 (20歳、薫の妹。純平と同じ大学)
岡村涼子 …… 石田ゆり子 (23歳、達郎と同じ会社の受付嬢)
沢村尚人 …… 竹内力 (28歳、オーケストラのバイオリニスト)
渋谷悟 …… 前田真之輔 (25歳、達郎係長の部下)
関谷祐子 …… 岩田美香 (涼子の友人、達郎と部下)
矢吹孝夫 …… 小坂一也 (薫と千恵の父、浜松、印刷工場社長)
石毛桃子 …… 浅田美代子 (34歳、薫の親友。楽器店を経営)
真壁芳之/藤井克巳 …… 長谷川初範 (35歳、達郎の上司)

山木正義

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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