29歳のクリスマス 脚本／鎌田敏夫 演出／鈴木雅之、星田良子 企画／宅間秋史、石原隆 プロデューサー／中山和記

第6話 男と女のアクシデント

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木佐にキスされた典子は茫然自失。彩からの電話にも気の抜け
た返事をする。木佐とキスした事を告げると自分は深沢との
キスを非難した癖にと彩はチクリ。木佐が遊びでない自信は
有るのかと問うが自信など当然になかった。

賢は街中で香奈が上野と一緒にいるのを目撃する。
上野と別れたのを見計らい彼女に声を掛ける賢。二人は食事を
することになる。そこで彼女の結婚相手のことを尋ねると香奈
は木佐や上野に比べたに全然平凡な人だという。そんな相手
よりも俺は平凡だという賢。

典子の元に真穂がやってくると裕之の事を問いただしてくる。
関係ないと行ったのに工場に訪れた事を問いつめに来たのだ。
そして裕之の事をどう思っているのかというと、裕之は貴方と
会ってから両親の生き方に反抗し始めた事を指摘。何が有った
のかを問われキスした事を告げると真穂は彼女に平手打ちを
喰らわす。

更に典子の元に木佐から電話が鳴る。
一度のキスくらいで馴れ馴れしく彼氏ヅラしないでという典子
に対して、素直になって俺のことを好きになれと告げる。典子
は簡単に捕まえられない相手だから必死になっているだけでし
ょうと彼に疑問をぶつけた。

典子の職場に父親から電話が鳴り呼び出される。
母親が家出したとの事。新聞記者当時のスクラップを見ていた
際に、貴方は本当の事を書いていないと言われたという。
介護の記事に於いて、寝たきりの父親を看病したのは私であり
偉そうなことばかり書いていると。
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他人の人生と比較しては落ち込む人ばかりが存在している。
人間とは他人と比較しなければ生きていけない動物なのだろうか。

今回は自分の心が分からず制御不能に陥る人で溢れた。

今回一番衝撃的だったのは、典子の母が娘に結婚をせがむ理由が
語られたことだろうか。
今まで彼女の人生は他人の面倒を見てばかりで自分の人生を
犠牲にしてきたこと。
いざ自分の人生を謳歌せよと言われても何も出来ないことを
訴えた。

母親の願いは父親にもっと身近な事に関心を持って介護などを
手助けしてもらいたかった事だ。記者の夫は社会全般を扱い、
全く身近な問題には触れなかった事が母親が家出をした真相だ。
家族全体のことなのに全てを母親に押しつけた結果、典子も
反省すべき点を実感させるものだった。

こういう人生も他人と比較しなければ有る意味充実だと取れる
部分が無いわけではない。しかし典子の何でも言葉にして自分
の生き方を全うしようとする行動力に嫉妬する部分が有るの
だろうね。

典子の言動が周りにいるあらゆる人に影響を与えている点も
興味深い。その筆頭は木佐ではあるが、別れた元彼・長堀も
かつて典子に言われた"見窄らしい姿ではなく、ぱりっとした
格好で現れて"という言葉に無理して合わせている様子が伺え
る。
別れた女性にもいい顔をしたいという男性心理が面白く現れて
いるし、なんとなく関係を引きずっている点は、より互いの
心を苦しめている気がする。

今回は賢も新たな行動を起こす展開だった。
前回自分のしている事の現実に打ちのめされた形だが、その夢
を恋愛に転嫁している自分に呆れて、香奈との関係を清算する。
香奈が本当に好きなのは上野ではないかと言う気がするが、
賢が引いたことにより上手い具合に恋愛上の駆け引きに於いて
相手の心を引きつける役目を果たした感じ。

彩は元彼・浅葉から今の妻と別れると言われる。
浅葉は世界に進出するためだけに奥さんを利用したこと。
彩にとってそんな奥さんが金持ちの傲慢な女性ならば割り切って
付き合うことも出来るのだが、チャリティコンサートでそんな
相手を見て以来、そんな彼女に感情移入していること。

彩と賢が結ばれるという展開は意外にも思えるが、一つのたがが
外れれば、こうなることは自明の理であるようなシチュエーショ
ンが用意されているよね。

矢吹典子 ……… 山口智子 (アパレル会社)
今井彩 ……… 松下由樹 (カメラマン)
新谷賢 ……… 柳葉敏郎 (通販部へ出向)
木佐裕之 ……… 仲村トオル (木佐製作所の御曹司)
上越香奈 ……… 水野真紀 (一流物産会社のOL)
深沢真穂 ……… 稲森いずみ (裕之が好き)
浅葉達也 ……… 竹下欣伸 (チェリスト)
長堀英明 ……… 近藤等則 (彩の元彼)
矢吹美和 ……… 吉行和子 (母)
矢吹達夫 ……… 中村嘉葎雄 (父)
木佐三千子 ……… 星由里子 (裕之の母)
典子の上司 ……… 大河内浩
深沢 ……… 石井一孝 (真穂の兄)

関根 ……… 石井苗子

清水邦彦、巴千草、藤崎由美、堀田実生
長森雅人

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)