振り返れば奴がいる (1993年1月期・水曜21時枠・フジTV) 企画：石原隆、鈴木吉弘（2話より） プロデューサー：関口静夫 脚本：三谷幸喜 演出：若松節朗、河野圭太、木下高男

第2話 お前が殺したんだ
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どうしてあんな人間を置いておくのか・・・それは司馬先生は
最高の技術を持った医師だから。今回の件も司馬先生だからこ
そ助かったのだ。

そういわれた石川は納得がいかず司馬の事を中川に聞く。
彼は苦労人で自分で医師になるための費用を捻出してきた人物
で、大学病院の医局にいた頃、大学にいられなくなったので
中川が一緒に連れてきたのだという。

そんな時急患が運ばれてくる。
遅れてやってきた司馬は石川の治療を見てアレじゃ助からない
と告げる。司馬の予想通り患者は助からなかった。石川は落ち
込みそれを見た看護師達からは、先生の責任ではないことを
告げられる。司馬は去り際に石川に対して殺したのは何人目だ?
と嫌みを発する。
峰は患者の家族と面会していると、なんと脈が戻ってきて患者
は生き返る。すぐに石川が呼び出され治療を施す。そしてすぐ
にカンファレンスを開いて今後の治療方針を相談することに
なる。

レントゲンを見た結果、血液の狭窄は二カ所。
オペは危険なのでTPAの投与で様子を見て、その後バルーンカ
テーテルを挿入し血管を広げようという。しかし司馬はその
治療に待ったを掛ける。内科的治療での回復は難しく、オペ
しかないというのである。成功の確率は10%程度だが、自分が
執刀すれば20%に上げることは可能だという。
研修医の峰もオペはギャンブルでするものではないとしてオペ
には反対。更に主任医師の平賀も外科はすぐにオペをすると
言われるとして反対意見を出す。しかし中川はオペをしようと
告げる。沢子は麻酔医の立場から患者がオペに耐えられる体力
はないとして許可は出来ないと告げ、結局石川の意見が採用
されることになる。
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一人の患者の治療法を巡って司馬と石川は対峙する。
周りが皆オペに対する治療を否定しているにもかかわらず、
何故か外科部長の中川だけは彼の味方をするのか。

医療は勝負ではないけど、どちらの治療が結果的に人の命を
助けることになるのか。とても面白い対決だった。

得意のオペで思い切った決断を求める司馬と、あくまでリスク
を於かすことなく、患者の体を気づかい内科的治療を求める
石川。

沢子が言っていた事にも繋がるが、司馬の態度の中には
何処か石川という目の前に立ちはだかる医師に対して鼻を
あかすことしか考えていないのでは無いのかと思わせる所は
面白い部分。
しかし実際には患者を治療できなかった自分に対して悔しがる
所は意外でもあり良くできていた。

製薬会社の星野の使い方も面白い。
中川に頼まれてUFOキャッチャーの人形を取ってくるわけだが
10万円もかかったという。もっと頭の良いやり方があるだろう
にと思わせるが、この人の営業活動のアクティブさが、今後
ドラマをかき混ぜる事は想像に難くない。

司馬の姑息なやり方も今回満遍なく描かれている。
特に病院の規則、医師としての倫理観を見事に無視したやり方
に考えさせられるものだが、最後脳死状態の患者の脈が戻り
始めた時に無言で殺そうとする辺りは、自らにもそれを肯定
したくなるような過去が存在していそうだね。

司馬 江太郎 …… 織田裕二 (医者)
石川 玄 …… 石黒賢 (医者・アメリカ・カンザス大学から帰国)
大槻 沢子 …… 千堂あきほ (麻酔医)
峰 春美 …… 松下由樹 (研修医)
平賀 友一 …… 西村雅彦 (天真楼病院の主任医師)
山村 忠光 …… 宮沢風太郎 (天真楼病院の放射線科医師)
笹岡 繁三郎 …… 坂本あきら (患者、麻雀に呼び出される)
稲村 寛 …… 佐藤B作 (ケースワーカー)
看護婦・田村 …… 相原勇
看護婦・内村 …… 宮地雅子
看護婦・中井 …… 貴島サリオ
前野健二 …… 川上たけし (外科医・マージャン仲間)
患者・柏木 …… 梶原善 (胆石の患者)
患者・志村 …… 小林隆 (麻雀に呼び出される)
救急隊員 …… 甲本雅裕
上野こうじ …… 伊藤俊人
役名不明 …… 浅野和之
星野 良子 …… 中村あずさ (製薬会社・オットー製薬)
中川 淳一 …… 鹿賀丈史 (外科部長)
理事長 …… 林昭夫

石井洋祐、木原みずえ、建部和美、木村智良、田代太郎
大森博、橋本菊子、外野村晋、山田玲奈、曽根いづみ
高倉江美、井手直樹、小宮三郎、海谷公二、樺沢雅樹

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)