振り返れば奴がいる
(1993年1月期・水曜21時枠・フジTV)

企画:石原隆、鈴木吉弘(2話より)
プロデューサー:関口静夫
脚本:三谷幸喜
演出:若松節朗、河野圭太、木下高男


第3話 追いつめる

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心拍が戻ってきた患者に対し、心電図のスイッチを切れ命令
する司馬先生に対して、問題になるから出来ないという峰。

司馬の目に余る行動に対して、石川は外科部長の中川に訴える。
彼がドクターとして取った行動は決して見逃せるものではなく
免職させるべきであり、懲罰委員会を開くよう要求する。

中川は司馬に会う。これほど大騒ぎするほどの事では無いとい
う司馬。僕の罪はオペで患者を救えなかったことであり、それ
以外には無いときっぱり語る。

石川と峰は平賀を見つけると協力を求める。彼を潰す良いチャ
ンスだというと、例え優れた技術が有ってもモラルに欠けてい
る事を告げる。アイツは面倒くさかっただけである事を石川は
念を押して告げる。

看護師達は司馬の弾劾裁判の事を興味深げに語っていた。
会場のセッティングをする看護師たちの元に司馬が訪れると
和気藹々としたムードは一変して緊張感に包まれる。
その内の一人、内村えみが画鋲で怪我をしたことを知ると、
司馬は彼女の指を躊躇いなくなめるのだった。
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いよいよ司馬先生の悪事が裁かれ、病院から追放されるのか。
司馬の弾劾に回るのは、石川を筆頭に、研修医の峰、ケース
ワーカーの稲村、そして主任医師の平賀。

ドラマとして良くできているのは、やはり不利な状況も冷静
沈着に対処する司馬先生のキャラクターだ。

懲罰委員の直前に峰先生に襲いかかる辺りの計算高さもまた
よく出来ているし、平賀という医師のキャラクターの性格にも
よく精通している。

懲罰委員会で述べられるのは状況証拠のみで、討論においては
司馬先生が一枚も二枚も上手であり、特に峰においては当時
二人っきりで彼の不正を一番近くで見ているにもかかわらず、
追いつめることの出来ない弱さが存在していた。

沢子の役割も面白いもので、この人とても生真面目な性格で
司馬を決して擁護している訳ではないのだけど、彼の性格を
知る故に信じている一面が存在している。

心電図のデータがコンピュータに残っており、誰かが電源を
切ったで有ろう事が疑われる。当時あの場にいたのは司馬と
言うことで全ての容疑は司馬に向けられる。
なんとか丸く収めようとしている中川の動きも気になるが、
看護師の役割がまたとても面白く描かれている。
こんな司馬先生でも彼に付いていきたいと思う看護師が居る
んだね。

最後に廊下で司馬と石川が会うシーンがまたドラマの中では
最高潮に盛り上がる。このシーン一つで相手に対して挑発した
り、決意の程を見せることが出来て、どちらが現状に対して
イニシアチブを持っているのかが伺える所が面白い。
しかもこの二人の後を追って峰や沢子がやってくるというタイ
ミングの絶妙さもまた特筆すべきものである。

司馬 江太郎 …… 織田裕二 (医者)
石川 玄 …… 石黒賢 (医者・アメリカ・カンザス大学から帰国)
大槻 沢子 …… 千堂あきほ (麻酔医)
峰 春美 …… 松下由樹 (研修医)
平賀 友一 …… 西村雅彦 (天真楼病院の主任医師)
山村 忠光 …… 宮沢風太郎 (天真楼病院の放射線科医師)
笹岡 繁三郎 …… 坂本あきら (患者、麻雀に呼び出される)
稲村 寛 …… 佐藤B作 (ケースワーカー)
看護婦・田村 …… 相原勇
看護婦・内村 …… 宮地雅子
看護婦・中井 …… 貴島サリオ
前野健二 …… 川上たけし (外科医・マージャン仲間)
患者・柏木 …… 梶原善 (胆石の患者)
患者・志村 …… 小林隆 (麻雀に呼び出される)
救急隊員 …… 甲本雅裕
上野こうじ …… 伊藤俊人
役名不明 …… 浅野和之
星野 良子 …… 中村あずさ (製薬会社・オットー製薬)
中川 淳一 …… 鹿賀丈史 (外科部長)
理事長 …… 林昭夫

木原みずえ、建部和美、木村智良、桐林美枝、小松恵子
山田玲奈、曽根いづみ、高倉江美、井手直樹、小宮三郎
海谷公二、樺沢雅樹

評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

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