振り返れば奴がいる
(1993年1月期・水曜21時枠・フジTV)

企画:石原隆、鈴木吉弘(2話より)
プロデューサー:関口静夫
脚本:三谷幸喜
演出:若松節朗、河野圭太、木下高男


第8話 新記録

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医者がガンになるとは、消防署が火事になるようなものだと
いう中川。厄介な病気だが早期に発見できて良かったとして、
中川は石川に近々オペするよう告げる。それまでは休んでいれ
ば良いとする中川に、自分で判断するまでは仕事をしたいと
して中川から許可を貰う。自分の体を治すのも仕事だと告げら
れる。

一方カンファレンスの場で、外科をあげてのオペを行うことが
発表される。時間のかかる大手術のために4つのチームを作り
それぞれの役割をこなして貰うという。Aは司馬、Bは平賀、
Cは石川、そして最後に再び司馬がメスを握るというもの。
これにはマスコミも注目している事を聞くと、司馬はやるから
には手術時間の記録を更新しようと告げる。狙ってつくるもの
では無いとして司馬を非難するも、中川から早いに越したこと
は無いとしてその場を制される。
しかし沢子は、こんな大きなオペに中川が関わらないのは不自
然だとして疑問に思う。
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今回は外科をあげての大手術が行われる中で、何故中川が
それに参加しないのかが取り上げられる。

今回はオットー製の医療器具を一括購入する変わりに司馬は
NRDの導入を訴える。
星野と司馬の癒着する構図ではあるが、それ以上にNRDに固執
する辺りの司馬の過去に一体何が有るのかが興味深い点だ。

オットーと対立する製薬会社の野田はその癒着の構図の被害
者。誠意を見せろという司馬のセリフは刺々しいものがあるが、
野田が20年間良い関係を築いてきたとか、院長とは同郷だとか
その辺の説得には有る意味何の価値ももたない。
競争時代の中で医療現場でも一括購入してコストを抑える話
は有るだろうし、製品のデキの良さと金銭面の関係は切っても
切れないものだと思う。
昔このドラマを見たときは司馬のやり方が汚いと思っていた
ものだが、今思うと野田の認識も甘いなという感じがした。

さて中川が手術に参加できない様子を沢子が疑い始める。
中川が趣味にしている写真アルバムを見ると、なんとピンボケ
の写真だらけ。面白い展開ではあるのだが、手術のメスを
握ることと写真のシャッターチャンスの緊迫感とは比べものに
ならない事だろうと思わず突っ込みたくなる。特にメスに関して
は過去に死なせた患者のことが念頭に有って、手が震えるもの
だろうしね。

司馬がまさか中川にまで食い付くとは思わなかった。
司馬が相手にプレッシャーを掛けるときの顔を近づける演出
を中川にまで使ったところがまた凄い。

司馬にプライドを傷つけられる中川だが、既に過去司馬に土下座
して責任を被って貰っている時点でプライドなど無意味に近い。
中川の自分だけが被害者だと感じているのならば間違い。
司馬の横暴さを生み出したのは誰でもなく中川である事。

司馬先生は多数派工作のために金を配り始める。
やっぱり階段に突き落とした平賀のことを知っていたんだね。
トイレで用を足す平賀の後に立つ辺りの展開がとても面白く
良くできていたと思う。

最後に記録を達成したときの表情や周りのリアクションは
司馬の病院での存在感をあぶり出していてとても良かった。
果たして彼の暴走を止める人は居るのか!?

司馬 江太郎 …… 織田裕二 (医者)
石川 玄 …… 石黒賢 (医者・アメリカ・カンザス大学から帰国)
大槻 沢子 …… 千堂あきほ (麻酔医)
峰 春美 …… 松下由樹 (研修医)
平賀 友一 …… 西村雅彦 (天真楼病院の主任医師)
山村 忠光 …… 宮沢風太郎 (天真楼病院の放射線科医師)
笹岡 繁三郎 …… 坂本あきら (患者、麻雀に呼び出される)
稲村 寛 …… 佐藤B作 (ケースワーカー)
看護婦・田村のえ …… 相原勇
看護婦・内村恵美 …… 宮地雅子
看護婦・中井加世 …… 貴島サリオ
看護婦・富川千代 …… 建部和美
看護婦・伊東みつ子 …… 木原みずえ
前野健二 …… 川上たけし (外科医・マージャン仲間)
患者・柏木 …… 梶原善 (胆石の患者)
患者・志村 …… 小林隆 (麻雀に呼び出される)
救急隊員 …… 甲本雅裕
上野こうじ …… 伊藤俊人 (母、モエコを亡くす)
役名不明 …… 浅野和之 (医者)
星野 良子 …… 中村あずさ (製薬会社・オットー製薬)
中川 淳一 …… 鹿賀丈史 (外科部長)
理事長 …… 林昭夫

木村智良、桐林美枝、小松恵子
山田玲奈、曽根いづみ、高倉江美、井手直樹、小宮三郎
海谷公二、樺沢雅樹

花王おさむ、内山雅央、大村眞利枝

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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