振り返れば奴がいる
(1993年1月期・水曜21時枠・フジTV)

企画:石原隆、鈴木吉弘(2話より)
プロデューサー:関口静夫
脚本:三谷幸喜
演出:若松節朗、河野圭太、木下高男


第9話 敗北

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石川は医療器具購入の件で中川部長の元を訪ね、司馬の不正
を訴える。中川は僕しか引導を渡すことは出来ないが、僕も
金を受け取ってしまったという。それならばその金を返せば
良いという石川。

一方体外幹切除が記録的な時間で終了したことがマスコミを
賑わせたことで司馬の病院での存在感は益々大きくなる。

石川は野田から医療器具リストを手渡される。

その頃司馬は末期癌患者・笹岡の診療記録を目にして本人に
話を付けていく。先日のクラリネットの件はあんなつもりで
言ったつもりは無かったという。笹岡は理解を示すと共に、
司馬先生に自分が亡くなる時にはあっさりと逝かせて欲しい事
をお願いする。それを聞いた司馬はリビングウィル(尊厳死)に
登録しておくことも一つの手だと告げる。

石川は購入委員が始まるまでに色々と画策する。
野田から受け取った購入リストを中川に手渡し、星野と面会
して何か裏取引が有ったのではないかと詰め寄る。
星野は心配になり司馬にこの件から下りると連絡するが、部長
に念を押すので一千万円用意しろと告げる。
司馬は中川説得の為に話の場を持とうとするが、その意図を
知って中川は司馬のことを避ける。
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いよいよ購入委員会が開かれる。
一度は味方に付けたと思っていた中川は急遽石川に説得されて
司馬の反目に回る。司馬が金を渡していた事は事実であり、
それをバラされたとき、果たして司馬は無事でいられるのか?

とてもスリリングな展開で、このドラマの中で一番楽しめた
話だと思う。

石川が生きている間にやるべき事の一つとして司馬を糾弾し
医師としてのキャリアを辞めさせようとする中で、司馬は
どんな行動を見せるのか。

次々と司馬に挑戦状を叩きつける。
石川医師の一貫性はそのままだが、今回は大本命の中川であり
オットー製薬の星野だったり。

次々と司馬に不利な状況を押しつけるも、それを上手く交わして
行く姿がとても印象的。
前回中川に牙を剥いた司馬だが、今回は理事長にまで食指を伸ば
した点ではとても興味深い内容となった。

中川は次々と理事長らの前で暴露していく。
NRDは司馬の独断による決断。私に対してオットーからの金だと
して大金を積んだ点。
そんな状況を押しつけられても、冷静に対処してしまう司馬の
狡賢さがとても巧みで、有る意味特有のカリスマ性を持つ。

最後は責任の押しつけ処を上手く平賀に求めた。
司馬が有利だと見た後の、星野と中川の掌を返したような
態度がまた笑えるところ。平賀役の西村雅彦の気の弱そうな
慌てっぷりがとても栄えるシーンだった。

今回石川が司馬を糾弾しようとするあまり暴走した点も、司馬に
とっては良い方に働いていると思う。あの石川も手段のためには
人を犠牲にすること。石川の名目は病院にとって最良な医療器具
の購入を求めるハズが、結局石川自身そんな気持ちは一切無く
司馬を糾弾するためだけに動いていたこと。

患者笹岡への対応の件も含めて、司馬が悪い医師としての顔だけ
持ち合わせているとは思えないところが絶妙だと思う。

司馬 江太郎 …… 織田裕二 (医者)
石川 玄 …… 石黒賢 (医者・アメリカ・カンザス大学から帰国)
大槻 沢子 …… 千堂あきほ (麻酔医)
峰 春美 …… 松下由樹 (研修医)
平賀 友一 …… 西村雅彦 (天真楼病院の主任医師)
山村 忠光 …… 宮沢風太郎 (天真楼病院の放射線科医師)
笹岡 繁三郎 …… 坂本あきら (患者、麻雀に呼び出される)
稲村 寛 …… 佐藤B作 (ケースワーカー)
看護婦・田村のえ …… 相原勇
看護婦・内村恵美 …… 宮地雅子
看護婦・中井加世 …… 貴島サリオ
看護婦・富川千代 …… 建部和美
看護婦・伊東みつ子 …… 木原みずえ
前野健二 …… 川上たけし (外科医・マージャン仲間)
患者・柏木 …… 梶原善 (胆石の患者)
患者・志村 …… 小林隆 (麻雀に呼び出される)
救急隊員 …… 甲本雅裕
上野こうじ …… 伊藤俊人 (母、モエコを亡くす)
役名不明 …… 浅野和之 (医者)
星野 良子 …… 中村あずさ (製薬会社・オットー製薬)
中川 淳一 …… 鹿賀丈史 (外科部長)
理事長 …… 林昭夫

木村智良、桐林美枝、小松恵子
山田玲奈、曽根いづみ、高倉江美、井手直樹、小宮三郎
海谷公二、樺沢雅樹

花王おさむ、阿部六郎

評価:★★★★★★★★★☆ (9.0)

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