古畑任三郎
(第1シーズン 1994年4月期)

脚本/三谷幸喜
演出/星護


第11話 さよなら、DJ


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ラジオ東京の深夜放送「ミッドナイト・ジャパン」の人気DJ
中浦たか子は、恋人を付き人兼運転手の女性・沢村エリ子に
奪われる。人を好きになることは理屈ではないからと、エリ子
の行動を感情的に対処せずさらりと交わすが、今週いっぱいで
契約は終わりだと告げる。彼女はエリ子に赤いカーディガンを
最後にプレゼントする。
「ミッドナイト・ジャパン」が放送される。
その合間の時間に中浦たか子は、古畑と今泉を呼び出し、最近
毎日届く脅迫状について相談する。以前は気にしていなかっ
たが、過激になってきたために心配しているという。
再びたか子は放送ブースに戻りラジオのDJを行う。
そんな中、音楽「サン・トワ・マミー」をかける間の約4分の
間、たか子は席を外し楽屋で新人歌手のデモテープを聞くと
して出て行ってしまう。その間に彼女はハイヒールを脱いで
局内を走り、報道局を通って駐車場にいるエリ子の元に行くと
後頭部に一撃を喰らわせ殺害する。
そして再び放送ブースに戻り何気ないフリをしてDJを行う。
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生放送中に計画する完全犯罪。
古畑はどんな所に着眼点を持って犯行を暴いていくのか。

相変わらず今泉は古畑に遊ばれ走らされっぱなし。
このやりとりがなんとも落ち着くわけだが、オチは病院送りに
なったとの事。古畑は責任を感じないのか。

古畑がたか子を容疑者として注目したのが、現場に落ちていた
一本のタバコの吸い殻だった。まだ吸い始めたばかりで消した
という事は、知り合いであり且つ目上の人である事。

ドラマとしては初めから容疑者の中浦たか子に、殺害動機と
チャンスは有るという前提で、如何にアリバイを崩していく
のかという所に着眼点を置いている。
厳密に言えばアリバイを崩しただけでは彼女が犯行に及んだ
とは直接証明するモノではないんだけどね。

ドラマが良くできているのは、何と言っても全ては生放送中の
出来事である点。しかも殺害の動機を上手く交わすために、
自分がファンから脅迫を受けており、彼女の服を着ていた
エリ子が間違って殺されたという事を演出している点だ。

正直僅か4分程度の空き時間を楽屋に戻ったりするだけで
不自然に映りそうなモノだが、テレビと違ってラジオのアバウ
トさが出る場面なのか。

ドラマでは知り得るはずもない情報をたか子が口にしていた
事で、彼女の嘘を見破っていく訳だが、上手く近くにテレビ
が無いような状況を作り、密室のような状況を作り上げている。

4分の空き時間の中で彼女が音楽を聞いていたという曲は、
古畑が歌っていたというオチ。相手を丁重に小馬鹿にするよ
うな所が古畑っぽい。
最後に桃井かおりらしく、ラジオ内で語っていたオチを
墓までもっていくとしたところは良くできていたと思う。
今後このネタ、三谷幸喜の作品で引っ張り通されることになり
ますね。

古畑任三郎 …… 田村正和
今泉慎太郎 …… 西村雅彦

中浦たか子 …… 桃井かおり (ラジオDJ)
沢村エリ子 …… 八木小織 (たか子の運転手)
安藤 …… あめくみちこ (ラジオDJ・パートナー)
水野 …… 神津はづき (構成作家)

池田貴族(声)、宇梶剛士、川上夏代、峯尾進、野田行哉
出口高司、津田英輔、岸野一彦、岡俊之

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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