古畑任三郎
(第2シーズン、1996年1月期)

脚本/三谷幸喜
出演/田村正和、西村雅彦


第5話 偽善の報酬

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脚本家の佐々木高代は妹・和子と二人暮らし。
互いに夫は無く二人きりの生活。役割分担はしっかりとして
いて、高代は脚本家の仕事をして和子は彼女のマネージメント
の仕事をしていた。
この日、高代は最近付き合っている若い男優の山崎浩と共に
ニューヨークに一ヶ月行ってくるという。しかし和代は今更
若い俳優に現を抜かして恥ずかしいと語る。お金は無いから
自分の金で行きなさいという和子に、自分の稼いだ金が自由に
使えない事に不満を見せる。それどころか和子は慈善団体に
多額の金を寄付することが趣味のようになっており、若い脚本
家のために助成金を出していたのである。高代は他人には
興味が無く自分のために使い方と思っていただけに、二人は
常々仲か悪かった。

そんな中、夜カツオブシを削る和子。道具が落ちて拾おうと
して中腰になった時、高代は現れ背後から鈍器で殴りつける。
そして財布を抜き取り強盗が金目当てで押し入った様に装う。
凶器を処分し、警察を呼ぶ。
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今回は凶器が犯罪を立証する鍵となる事件だった。

推理ドラマとしてはあまりレベルは高くなかったし、古畑が
凶器を見つける過程にも説得力はなく、殆ど閃きに近い段取り
と推論の域を超えずに断定していく様にはちょっと残念だった。

姉妹が仲が悪かったという事は冷蔵庫の食材を見てすぐに分か
る。犯行動機が有り、そしてキッチンに一度も行っていない
と言う割りにカツオブシの削りカスが部屋に残っていたりする。
数々の嘘の供述故に、犯人を高代と決めつけるだけの説得力は
有ると思う。

一番ドラマで彼女が犯行を犯した事を臭わせるのは、古畑が
仕掛けた誘導尋問。一連の殺人事件を脚本家からの視点として
どんなキャスティングを使うのか?と言った際に、犯人の事を
知的さを兼ね備えたキャサリン・ヘップバーンだという。
犯人が女性だと自ら語っているような物で、やや呆気ない顛末
だった。

凶器を残さないようにするために状態を変化させるというのは
推理小説では良くあること。小銭を凶器に使うというアイディア
こそ面白いが紙幣に換えるというのは状況的に見て強引すぎる
ものだった。

古畑任三郎 …… 田村正和
今泉慎太郎 …… 西村雅彦

向島音吉 …… 小林隆 (警察官)

佐々木高代 …… 加藤治子 (長女・小説家)
佐々木和子 …… 絵沢萠子 (次女・マネージャー)
山崎浩 …… 宇崎慧 (男優・高代と良い関係)

林和義、吉江芳成、堀本直子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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