古畑任三郎
(第2シーズン、1996年1月期)

脚本/三谷幸喜
出演/田村正和、西村雅彦


第8話 魔術師の選択

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古畑が引き取った猫のドモンジョの具合が悪いため動物病院に
行った彼は、そこで鳩を連れた女性・毛利サキと出会う。
鳩を連れていたことから古畑は彼女がマジシャンではないかと
推察し、見事言い当てる。それが縁で普段は会員制で開業して
いるゴーストキャッスルの開店10周年記念のパーティーに招待
される。
古畑は今泉を連れていく。今泉は食べ物にばかり興味を示して
いた。

一方10年前に引退し現在は後身のためマジシャンの育成をして
いる南大門昌男もこのパーティーに出席する。南大門は自分の
弟子で遊び人のマジシャン・倉田勝男がサキと付き合い結婚を
考えて居ることを知って手を出すなと止める。サキは友人から
預かった娘で一年前から弟子としてマジシャンの指導に当たっ
ていた。

多くのマジシャンが客達に得意のマジックを見せるパーティー
は無事盛況のまま終わる。倉田は最後に南大門にマジックを
見せて欲しいと訴える。そこで南大門はカードマジックを見せ
る事になる。古畑がアシスタントとして選ばれ、彼の出した
カードの一枚を引き当て、そのカードを宝石箱へと入れる。
その間倉田は喉が渇いたとしてみんなのジュースを用意し始め
る。しかしコップは既に無くなっており仕方なく直接ビンで
飲むためにビンの栓を抜く。その間にもマジックは進行し、
見事南大門のマジックは成功裏に終わる。
改めてパーティーの成功を祝って乾杯するとき、ジュースを
飲んだ倉田はその場で口から血を流して亡くなる。
死因はジュースの中に入っていた青酸カリ。ビンに触れようと
したサキに南大門は証拠品が汚染されるのを防ぐために待った
をかける。
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今回はマジシャンが起こした殺人事件だった。

マジシャンが客を欺くために使う、ミスディレクションや
マジシャンズセレクトを使って殺人事件を演出するとどうなる
のかという事を描いたもの。

ドラマとしては自殺なのか他殺なのかという見極め作業が全て
だったと思う。偶然に思えることが全てマジシャンによって
操られている事だとするものを証明するのは正直難しそうで、
裁判の場でも有罪に持ち込むことが出来るのか難しいものだと
思う。

結果として皮肉として写るのは、指紋が付着していなかったこ
とが逆に犯人を特定する事になるという点だ。
実物無き状況証拠に頼った解明でもあるので、上述したとおり
犯人だと断定するのは厳しい。自供を覆したらそれ以上追及する
手立てはなくなってしまう。

何故彼がジュースを飲もうとしていたのかその辺の説明はイマ
イチ良く解らなかったし、僅か五本だけが並んでいる状況の
中であれを選ばせるには、色んな条件的な縛りが必要だと思う。

サキがジュースのビンに触れようとしたときにそれを止めた
南大門に着眼していく導入部はきっちりと描かれていたし、
サキが南大門の実子だったというオチも面白くできていた。

ただサキの事を南大門の実子である事を暴く場面に於いて、
古畑は南大門の事をよく知らないハズなのに、貴方ほどの
遊び人ならば片手で女性のシャツを外すことが出来るはずだと
告げる辺りは、相当山城新伍という人物の先入観を脚本に
持ち込んでしまったなという感じだった。

古畑任三郎 …… 田村正和
今泉慎太郎 …… 西村雅彦

向島音吉 …… 小林隆 (警察官)

南大門昌男 …… 山城新伍 (マジシャン、10年前に引退)
毛利サキ …… 松たか子 (マジシャンの新人。勝男の恋人)
倉田勝男 …… 池田成志 (マジシャン、遊び人だがサキと真剣交際)

岩咲朱美、森田聖子、廣谷くみ子

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