未成年 (1995年10月期・金曜22時枠TBS) 脚本：野島伸司 制作：伊藤一尋 演出：吉田健、加藤浩丈、金子与志一

第11話 イエスタディ・ワンス・モア
--------------------------------------------------------
デクは一人廃校から出て警察の元へと歩いていく。
その姿を見て五郎が止めようとするが、彼が拳銃を手にしてい
た為に警察は迷わず彼に向かって発砲する。その一発が彼の
胸を貫いた。それを合図にして警察官達は廃校になだれ込み
ヒロ、勤を逮捕する。
護送車に運ばれていく途中で車両はスリップして崖から転落
する。みなダメージを受けたがヒロは無事だった。勤から逃げ
ろと言われ、五郎の仇を取るよう告げられる。手錠をしたまま
ヒロは逃げだし、廃タイヤの運搬車に身を隠して検問所を突破。
そして東京に戻る。

カー子は留置所にいる順平に面会し、現在外の世界で何が起こ
っているのかを伝える。黒い革ジャンを着た男性が拳銃で撃た
れて亡くなった事を告げると順平は悲しむ。そしてヒロが一人
逃げていることを告げる。

モカは兄からヒロが逮捕されるまでは部屋から一歩も出さない
として監禁状態にあった。

一方勤は怪我をしていたために警察監視の下で病院に入院する。
瞳が会いに来て勤の母・真紀子と連絡が取れない事を口にする。
新村武郎が来て勤の事情徴収を行うというと瞳は病室から出て
行く。階段の所に真紀子が居り、ナイフを片手に瞳に迫ってく
る。子供さえ居なくなれば、また勤は私の元に戻ってくる。
そう告げるとナイフを付きだし襲ってくるが階段から足を
踏み外してナイフは自分の首に刺さり、亡くなってしまうのだ
った。
--------------------------------------------------------

いよいよ最終回。
廃校を占拠していたヒロたちは捕まってしまう。
しかしヒロだけは逃げることが出来た。果たして彼は何のため
に逃亡するのか。勤の告げる五郎の仇とは誰につけるべきもの
なのか。

一度病院に入ったら一生デクは出られないとしている所に
少々の違和感は存在していたが、デクを守るために奔走する。
ヒロがデクを守る理由は友達だからという単純な理由だけなの
だろうか。この世に生きる人たちの誰よりも純粋な彼の心を
守りたい一心で、誰も信じられない様な状況の中でも彼だけは
信じられると言った関係性が面白くあぶり出された瞬間だった。

カー子の使い方とか、ヒール役としては面白い役回りだった。
しかしヒロの事が好きだという真っ直ぐな気持ちは体現できる
為に何処か憎めないキャラクターだった。

勤周りのエピソードは母親が亡くなることで終結。
母親が息子に賭ける思い、固執する理由が描かれたことで、
母が息子に抱く異常性にも思える執着心の中にも、心の寂しさ
が引き金となっていてなんとも複雑な心境だ。

ヒロとモカのエピソードも切ないが、有る一つの形は残せた
のだと思う。モカの冒険心を上手く昇華させ、ヒロと結ばれる
事が出来たこと。彼女が最後に私が貴方を守るとしたインパクト
の有るセリフも展開上上手く演出できたと思う。

さて最後はヒロが学校の屋上で見物人に対して主張を述べる。

人の価値を計ることが出来ないのに、他人と比べてしまう世の中
の摂理。
人は他人の不幸が大好きで、不幸に同情こそするが決して助け
ようとはしない人間の嫌な部分をつねて、そういう大人に、
人間になりたくないこと。
そんな中でも友達の存在は絶対的なもので、真っ先に助けてくれ
る様な存在であり、助けなければならない事。

若者の教祖的存在であるかのように、その場にいる若者達と
一体感を味わうシーンはなかなか良くできていた。

最後の裁判の席で五郎が生きている事が分かるなど、絶望的な
存在ではなく最後は仲間の存在を際立たせた所も後味の良い
内容となった。

戸川博人（ヒロ）…… いしだ壱成 (開叡高校3年生)
室岡 仁（デク）…… 香取慎吾 (知的障害)
坂詰五郎（ゴロ）…… 反町隆史 (暴力団の構成員)
神谷 勤（優等生）…… 河相我聞 (有名進学校に通う高校3年生)
田辺順平 （インポ）…… 北原雅樹 (ヒロのクラスメイトで野球部
所属)
新村萌香（モカ）…… 桜井幸子 (大学生)
安西加代子（カー子）…… 遠野凪子 (ヒロ、順平のクラスメイト)
田畑 瞳（ひとみ）…… 浜崎あゆみ (有名女学校に通う才女)

戸川辰巳 …… 谷原章介 (ヒロの兄で萌香の恋人)
アリサ …… 朝岡実嶺 (五郎の恋人でソープ嬢)
戸川芳史 …… 西岡徳馬 (ヒロ、辰巳の父)
新村武郎 …… 宇梶剛士 (萌香の兄で刑事)
見城雅宏 …… 小木茂光 (心臓外科医)
梅原幹雄 …… 寺田農 (テレビ局のディレクター)
千野沙織 …… 大寶智子 (萌香の友人)
神谷真紀子 …… 高林由紀子 (勤の母)
室岡邦博 …… 六平直政 (デクの父)
室岡貴子 …… 山本道子 (デクの母)
田辺　健 …… 阿南健治 (順平の父)
田畑洋造 …… 勝部演之 (瞳の父で国会議員)
田畑裕子 …… 田島令子 (瞳の母)
牛島洋平 …… 森本レオ (考古学教授)
小池唯一 …… 浅野和之 (政治家秘書)
倉本ユリ …… 木内美穂 (辰巳の遊び相手)

山崎一、中村方隆、水谷あつし、郷田ほずみ、林和義
西美子、伊達昌平、千葉竜一、西川方啓

いしだ壱成さんのblog
http://ameblo.jp/isseiishida/
北原雅樹さんのblog
http://masaki.nicepapa.com/
遠野凪子さんのblog
http://ameblo.jp/tohno-nagiko/

評価：★★★★★★★☆☆☆ (7.0)