世界で一番君が好き!
(1990年1月期・フジテレビ・月曜21時枠)

脚本: 松原敏春
音楽: AKIHABARA ERECTRIC CIRCUS
プロデュース: 山田良明、大多亮
演出: 光野道夫、中野昌宏、本間欧彦
「今すぐKiss Me」LINDBERG

http://www.bsfuji.tv/top/pub/sekaide_ichiban.html





第1話 フラれた時から恋が始まる!
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新大阪駅で一人の女性・向井華は新幹線で東京に戻ろうとして
いた。一体私が何をしたというのか・・・ブツブツと愚痴りな
がら号泣してプラットホームを歩く彼女の事を周りは物珍しそう
な目で見ていた。見せもんじゃねーと周りに威嚇する華。
華は付き合っていた英一が大阪に転勤となり、東京と大阪の
遠距離恋愛を続けていたが、英一から500kmの距離の壁を埋めら
れなかったとして、別れを切り出される。2年近くこの関係を
続けて来たが、負担になってきているのだという。華はそんな
事は無いと否定するが、俺には負担だという。転勤する際に
結婚に応じてくれれば、この関係は上手く行ったのかも知れない
事を口に出される。タイミングがズレてしまったので、この
辺で辞めておこうと言われ、彼は新しい彼女の元に行ってしまう。

華は新幹線に乗ると、弁当をがっついて振られた悲しみを
ぶつける中、
京都駅で一人の男性・山村公次が乗ってくる。
華は公次の席に座っている事を知り、入れ替わるようにして
彼とは隣り合わせで弁当を食べる。公次はタバコを吸う中で、
煙が気になる華。公次は華の顔を見てご飯粒が付いているとの
ジェスチャーを示す。
名古屋駅ではまた一人、小笠原万吉
新幹線に搭乗してくる。公次の友人であり、万吉は自由席の
切符を取っていたが、名古屋は東京に行く最後の停車駅故に、
華の隣が開いている事を知ってそのまま座って、公次と語り
合う。二人に挟まれた華は居心地が悪かった。
頭越しに二人が公次が京都で彼女の早苗と別れた事を話題に
盛り上がっていた。冬の京都はロマンチックだと言って張り切っ
ていたのにどうしたんだという万吉は、話次第では俺が二人の
間に入って仲を取り持つと語る。万吉は何故引っぱたかれたの
か?と問うと、華には自分の恋愛事情を語られている様で
気持ちが悪かった。もしかして夜にムチとか鎖でも使ったのか?
と万吉がジョークを飛ばすと、公次は思わず華の顔を目掛けて
飲んでいたコーラを吹き出してしまう。公次は済まなそうに
ハンカチで彼女の顔を拭き始めるが、華はそんな二人に対して
"何やってんだ"と激怒する。居心地の悪くなった二人は謝罪
して食堂車へと足を運ぶ。お詫びに海老フライでもどうか?と
言うが、華は二人の顔を睨み付けて沈黙の抗議をする。

東京駅につくと、華の元に親友の佐伯恵が迎えに来ていた。
振られたという事を知って、慰めにきた恵。駅には杉本ちひろ
も車で迎えに来ているとして、一緒に家に来てと告げる。
万吉はそんな華の事が気になると、公次には先に
ルイジアナ・
ハリケーン
に行っていろと告げ、俺は彼女の後を尾行すると
言い始める。このままでは別れられないとし、一目惚れした事
を告げる。

ちひろの車で華たちは恵の自宅へと走行する中、二人は華が
思ったよりも落ち込んでいない事に安心する。安心するどころか
大笑いして話のネタにしてしまう。これでも大阪駅では号泣
して周りを引かせた事を告げると、ちひろは華でも泣くことが
有るのかと意外に感じる。ちひろは先日英一と逢った際に、
彼の態度が心ここにあらずだったので女でも出来たのではない
かと忠告したハズだと告げる。
そんな中、ちひろは東京駅からずっとタクシーが私たちの車を
つけてきている事を告げる。心当たりがないとする華だが、
とりあえず車を止めて様子を見ると、タクシーも駐まる事が分
かる。急いで逃げるが、やっぱりタクシーも追いかけてくる。

恵のマンションの前につくと、華たちはタクシーの乗客に
向かってどういうつもりなのかと文句を言いに行く。
すると新幹線で隣に乗り合わせた男性だと知る。
万吉は自己紹介だとして突然自分の事を語り始める。
万吉という名前は父がお神籤を信じる人で大吉よりも縁起が
良いという意味で万吉だと名付けられたのだという。仕事場は
ローブという住宅設備の会社で新宿西のガーデンプラザにオフィス
が有るという。今度はそちらが自己紹介してくれという万吉
に華はそんな義理は無いと語るが、恵もちひろも良い人そうだ
として、突然名前を話してしまう。人の後をつけておいて
住所や電話番号を聞き出そうなんてどういうつもりかと呆れる
華に、一目惚れしたからだと告げ、僕の座右の銘は
"ピンと来たら
ドンといけ"
だと語る。お土産に買ってきたウィローをお近づき
の印として彼女に手渡すと、後日また来るのでその時に話を
しようと言ってタクシーで立ち去ってしまう。

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トレンディドラマの一つ、浅野さんと三上さん主演のドラマ。

日本人版ブラッドパックな人物たちが織りなすドラマ
という事で、この時代のトレンディドラマを彩った人たちで
構成されているし、人間関係としての繋がり・結びつきが心地
よく写る物が有る。
警戒心ばかりで容易に他人と近づけない様な現在に有って、この
時代に生きた人たちの、こういう奇抜な出会い方もまた面白いの
かなという感じ。

なんと言ってもドラマの良さは、時代性が反映されていて
資料的価値も高いところに有るのだろう。

90年代のバブル崩壊の影響の少ない時代のドラマなので、
華々しい部分も有るし、ファッションやツールなど物質的
なものや、女権論を主張しているような華の社会進出論や
精神論、そして自立した女性の姿に目を向けてしまう部分が有る
のかも。

コードレスの携帯電話やラップトップのパソコンのデカさ
を見ると如何に半導体産業が進化しているのかを感じるもの
が有るし、新幹線の0型が走っているところなど、古き良き
時代を象徴している。0型は性能云々よりもフォルムが素晴らしく、
まるでF1マシンのマクラーレンのMP4/5B的趣があるな。



ファッションでも凄い色した浅野さんのスーツの色だったり、
ハードムースやグリースでガチガチに髪の毛を固めて、
風速10メートルにも耐えられる髪形というくらいに固そうな
髪型というのも思いっきり時代性を感じさせる。

当時のドラマはなんと言っても浅野さん無くしては語れない。
凄く冷たい態度を取ったかと思えば、優しく微笑みかけて
くる辺りの演技が、今見ても心地よく見える。

今見れば布施さん演じる万吉はストーカーっぽい気色の
悪さが有るけど、それを打ち消すほど温和でアバウトな感じの
役所が、異性との関係にスッと入っていける所がまた
当時は上手く合致していたのだろうね。

万吉が先に華に目をつけた格好だけど、出会いは公次の方が
先ということや、万吉の必死なアプローチを知りつつも、華との
出会いが多くて感情を移入してしまう辺りの恋愛ドラマの如何にも
な展開がまた今後を楽しませてくれそうな内容だった。

この女三人・男三人のスタイルもまたトレンディドラマには
欠かせないものが有るね。

そして何と言っても主題歌が示す様にキスが象徴的に描かれた
ドラマだね。不意にキスすることで相手の口を防ぐということ
や人前でもキスするというアメリカナイズドされた価値観を
持ち込んだ様な内容でも有る。

向井華 …… 浅野温子 (29歳、World Tourist)
山村公次 …… 三上博史 (Nelson Japan co inc.)
杉本ちひろ …… 工藤静香 (World Tourist)
小笠原万吉 …… 布施博 (住宅設備会社ローブ、トイレ)
篠木邦彦 …… 風間トオル (公次の後輩、女性について説く)
英一 …… 益岡徹 (華の元彼、大阪転勤になり遠距離で別れる事に)
和田早苗 …… 財前直見 (公次の元彼女)
佐伯恵 …… 石野真子 (World Tourist)

マスター …… 中条静夫 (ルイジアナハリケーン)

中村れい子、中山秀征、若山幸子、富士原恭平、佐藤百起
河野智是、有馬敏郎、松永博史、境真理子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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