ケイゾク 特別篇
(1999年12月24日放送)

脚本 - 西荻弓絵
プロデュース - 植田博樹
演出 - 堤幸彦、金子文紀、今井夏木、伊佐野英樹
企画協力 - 蒔田光治
音楽 - 見岳章

http://www.tbs.co.jp/drama_archive/keizoku/index-j.html


特別篇 PHANTOM〜死を契約する呪いの樹
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真実なんて本当は存在しない。曖昧な記憶の集合体、だから
記憶の持ち主が消えれば真実は消える。そうして幾つかの真実
が消えていった。心から尊敬し憧れていた女性、そして愛した
男。それら真実を時間に溺れさせてはならない。だから私はこ
こに記そうと思うとして木戸彩は、筆を取る。

容疑者の朝倉に撃たれた柴田純は、中央警察病院に運ばれて
いた。瀕死の重体で一時期は心肺が止まったもののなんとか
一命を取り留める純。しかし事件から8ヶ月経った今も目が
覚めることはなかった。
病院の待合室には、壺坂と彩が居た。
壺坂はプラスチック弾を23箇所撃たれたものの死ぬ事はなかっ
た。彩も一発プラスチック弾を撃たれるも気絶しただけで済む。
彩は純を目の前にして、もう今年も終わりだとして、早く目が
覚めるよう祈る。
純がベットで眠っている中、一人の男が彼女の額に触れると、
純は意識を取り戻していく。

野々村はいつもの様に登庁し、メロンパンを口にする。
そんな中、純がついに目覚めたと連絡を受ける。
一方真山はすれ違う人と肩をぶつけたかと思うと、背中に何か
を貼られる。

デートクラブのチラシの裏には、
"ゲームを再会します、朝倉"。と書かれていた。真山はすぐに
大声で朝倉に出てこいと告げると、別のヤンキーの朝倉が
喧嘩を売られたものとして真山に絡む。

目覚めた純の前に、署員たちが集まる。しかし純の記憶は無か
った。警視庁に登庁してからの記憶が一切無いという。
彩は真山の本に行くと、一度も純の見舞いに来ない事を非難する。
真山はそんな彩に自分の背中に貼られたチラシを見せる。
ヤバくないか?という彩に、今の朝倉は純を狙うことは無いはず
だという。
彩は純の記憶が無いことに対して、あの事件の記憶が戻らない
ならばそれはそれで良いのではないかと呟く。

その頃、女子高生の高成美咲は、大木に男性の名前"金子岳志"
を彫る。その金子は、ある時電話中に突然頭上から看板が落ち
て来てぶつかり死亡する。

2係には、柴田の後任として京大法学部出のキャリアが研修に
来ることになっていた。しかし2係に派遣されてくるのならば
曰く付きの人物だろうとの事。それを象徴するかのように初日
から遅刻していた。その人物とは遠山金太郎だった。
登庁すると廊下で彩とぶつかる。
彩が持っていた捜査資料の一つ"西麻布嫁姑連続殺人事件"の
資料を一別すると、犯人が分かったという。
2係にいき野々村に挨拶すると、すぐに現場に行くことになる。
事件は嫁のサツキが殺害され、その容疑者として姑のキヨが
浮かび上がる。しかしそれは犯人がキヨに犯行を押しつけようと
したのだとして、金太郎は犯人はこの人だと指を差すと、指さ
した方角とは違う家の使用人が容疑を認め自主的に名乗り出る
のだった。

その頃、純は新しく赴任される八王子西署へと向かうバスの中
に居た。女子高生たちが、伏舟神社の呪いの木の話をしている
のを耳にする。その神社のご神木に殺したい相手の名前を刻む
と7日以内に呪いによって殺されるのだという。なんでもその
木の下には江戸時代に謀反を起こそうとした罪人の遺体が777体
埋まっていてその霊が人を呪い殺すとのことだった。
興味深く話しを聞いていた純の事を痴漢する男性がいた。
純は自首してくださいと訴えると、近くの交番で有る穂模野交番
へと痴漢の男を連れて行く。
そんな交番にいると、女子高生・高成美咲がやってきて、自分
は人を殺してしまったと告げる。
話しを聞くと伏舟神社の呪いの木に呪いをかけたのだという。
この前彼と喧嘩した後に名前を彫ったら、一昨日本当に亡くな
ってしまったとの事だった。

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朝倉事件に於いて、柴田純は瀕死の重傷を負うがなんとか
生き残る。それと同時に朝倉もまた生き延びていた。
そんな中、純が新しく赴任する事になる八王子西署管内で
連続的に発生する事件。神社の境内に有る木に書かれた人物が
殺害されるという事で、呪いの木としてマスコミにも取り上げ
られていく。

特別編という事で新たに加わるキャラクター、遠山金太郎が
どんな役割を果たすのか。
一人加わることでバランスを欠く可能性があり、完成度の高か
ったこのドラマが一挙に崩れる可能性もある中で、上手く
溶け込みさせたなという感じ。登場の仕方は、柴田純のパロディ
で有るし、金太郎の役柄はそのまんま、「警部補矢部謙三」に
受け継がれた感じ。

レギュラーシーズンで傷付いた者達も、死んだと思われた人
たちはプラスチック弾扱いで生きていたり、病院に運ばれ癒え
たという設定で見事復活。この復活の度合いはまるでアメリカン
ドラマを見ているようだ。
ただ一人谷口だけは、生き返らせるのは難しかったらしい。

特別編でもうまくレギュラーシーズンでの設定が活きていたし、
時間の流れを実感させるような演出も数多くの場所で見られる。
その最たるは、何と言っても純が研修期間を終えて所轄に
配置された事。当然扱いは署長であり、そんな彼女が警察官
扱いされない所もこれまで通りだった。

冒頭から怪しい喘ぎ声の練習をする純のボケっぷり、死体の
真似事をしている時の表情だったりリアクションだったり、
イチイチ注目せざるを得ない事、目の離せない感じが、彼女の
魅力を上手く描いている証拠でもあると思う。

朝倉に操られている人物がまた一人という感じだが、ここまで
くると朝倉って何が何だか分からない。この辺は映画版できっち
り決着が付くのだろうか。

今回の呪いの木については、カモフラージュの為の殺人偽装と
いう事で、実際に手を下したわけではなく、後付けの形で
名前を書いただけだった。そして殺人を犯す為の理由とか、
協力せざるを得ない辺りの動機付けには、やや違和感を覚える
所もあるが、その辺は軽くスルーか。

最後の方の映像表現はとても独特なものがあり、展開自体も
衝撃なもの。純は猟奇的な行動に出ていたけど、そんなに簡単
に人を操れるのか。


柴田純 …… 中谷美紀 (24歳・警部補。東大卒のキャリア組)
真山徹 …… 渡部篤郎 (32歳・警部補。捜査一課弐係・主任)
野々村光太郎 …… 竜雷太 (59歳・警部。捜査一課弐係係長)
近藤昭男 …… 徳井優 (39歳・巡査。捜査一課弐係・機械好き)
谷口剛 …… 長江英和 (40歳・巡査部長。捜査一課弐係・長身)

木戸彩 …… 鈴木紗理奈 (22歳・捜査一課一係の庶務)
壺坂邦夫 …… 泉谷しげる (60歳・警部補。"タンツボ")
林田誠一 …… 矢島健一 (40歳・早乙女管理官の腰巾着)
長尾昇 …… 有福正志 (46歳・早乙女管理官の部下)

斑目重友 …… 村井克行 (公安時代の真山の部下)
朝倉裕人 …… 高木将大 (22歳・真山の妹を輪姦)
大沢麻衣子 …… 西尾まり (25歳・世田谷区役所勤務)
真山沙織 …… 多田亜沙美 (17歳・真山の妹)
今井夏紀 …… 峯村リエ、今井夏木 (婦人警官)

遠山金太郎 …… 生瀬勝久 (柴田の後任、京大卒のキャリア組)
高成美咲 …… 木内晶子 (八王子市立蘭学塾女子高生)
中田英二 …… 手塚とおる (「スポーツ関東」記者)
竹内久美子 …… 伊藤奈穂 (八王子私立蘭学塾高校の教師)
壁谷学 …… 河原さぶ (八王子西署副署長)
河合隼人 …… 深沢敦 (八王子西署警部補)
下田百合子 …… 広岡由里子 (八王子西署長秘書)
警官 …… モロ師岡 (八王子西・穂模野交番の警官)
村長 …… 横山あきお (伊佐野村の村長)
紋太 …… 前原一輝 (伊佐野村の村民)
柳田 …… おかやまはじめ (伏舟神社の神主)
塩川正義 …… 伊丹幸雄 (早乙女の後任の管理官)
醍醐雅 …… 永田杏奈 (野々村の不倫相手の女子高生)

保積ペペ、村木仁、多田木亮佑、吉岡ヒロシ、緒口幸信
吉田メタル、小西康久、瀬戸将大、松永久仁彦、松崎洋二
清水邦彦、和気伸嘉、野村貴志、大山鎬則、椙本真由美
柴山香織、小林つばさ、小島莉子


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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