ロングバケーション 〜Long Vacation〜
(1996年4月期・フジテレビ)

脚本:北川悦吏子
演出:永山耕三、鈴木雅之、臼井裕詞
プロデュース:亀山千広、杉尾敦弘


第11話 神様のくれた結末

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瀬名と南とついに結ばれる。
心地良い眠りに就いている頃、真二が歌を歌いながら帰宅する
のにいち早く気がついた瀬名は急いで南に服を着せる。
真二がシャワーを浴びる隙をついて彼女を外へと追いやる。
しかし真二は姉がヒールを忘れていったのを見て窓の下を覗く
と、瀬名と南が仲良く話しているのを知り、関係に気がつく。

南は桃子に関係を持ったことを話す。良かったですねと言われ
るが、瀬名とはずっと友達関係で居たかったような感じがする
として、イマイチ関係を持ったことにリアリティが無いという。
私にとってアイツは夢のような存在だという。
寝たら嬉しかったが、逆に好きになりすぎて苦しいとも語る。

小田島や佐々木らの元にいた瀬名の前に、先日のコンクールの
予選を聞いていた音楽関係者が接触し、名刺を置いていく。
彼は瀬名のことをスカウトしたいという。ただしその場合、
イメージ戦略上、コンクールに落ちたという肩書きは不味いの
でコンクール本戦の出場は諦めて貰うという。音楽も良いが
ルックスにも魅力を感じたという。
小田島は恐らくコンクールには涼子が入選するはずであり、
テニクックに差はないが、涼子の暖かさを感じる音色に対して
瀬名のは曇っていてモヤがかかっているようだと告げられる。
帰りがけに佐々木に瀬名は尋ねる。彼もコンクールの入賞は
無理だと感じているのか。佐々木は瀬名の音楽を最初に聞いた
ときには、純粋無垢なものを感じたという。強さや激しさは
練習や努力次第で出せるが、天にも昇るような音を出せるのは
才能でしかないという。人と競い合うようなコンクール形式の
大会では瀬名は不向きかも知れないと告げられる。

南は真二の店で飲む。真二から結婚前の一夜のアバンチュール
か?と言われる。南は31歳、瀬名は24歳。瀬名にしてみればつい
しちゃった程度の物だろうという。南は結論は出ているとするが
すれはあくまで姉一人だけの結論であって、二人で決めたもの
では無いと言われる。

瀬名は南のアパートに立ち寄ると留守だった。杉崎もやってきて
鉢合わせになる。瀬名は杉崎に二人は結婚するのか?と尋ねると
その場から立ち去っていく。その後南は帰宅し、杉崎と話すこと
になる。南は杉崎に他に好きな人が居るので結婚は無理だと
告げる。相手は瀬名か?という問いかける、"うん"と答える。

涼子はコンクールまで三日と迫る中緊張感とモヤモヤ感を解そ
うと、真二の居るクラブへと足を運ぶ。すると真二はルミ子と
仲良くしている姿を目撃。二人が仲良くしているのを見て、
まだ彼女のことを忘れられず、何も捨てる気はないのねと告げる。
私は真二がコンクールを辞めろといえば辞める覚悟は出来ていた
という。真二は誰かを好きになるのに、何かを捨てなきゃ行け
ないとは思っていないと告げる。

瀬名はピアノの練習をし、その合間に南の家に電話するも通じず。
そんな中、窓の下を覗くと涼子が彼に会いに来る。
本戦まで三日で焦る気持ちを落ち着かせようとして真二の元に
行ったが、上手く行かないという。自分がどんどん嫌な子に
なり嫉妬していく姿が嫌だという。男の人の考えている事が
分からないという涼子に対して、瀬名は自分も女性の気持ちは
分からない事を告げる。
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いよいよ最終話。
と言ってもフジの再放送枠では最終話が二分割されている様
なので家にあったビデオで先に全部見てしまいました。

最後の最後まで相手の気持ちがどの程度、自分のことを好きで
いるのか、そして将来のことを含めて考えてくれているのかが
分からずモヤモヤする展開だった。

涼子は自分は捨てる覚悟があるのに、男性にはそれが無いのでは
無いかと不満を持つ。南も瀬名とはまだ寝ただけの状態で言葉
で気持ちを取り交わしたわけではないのに、杉崎と別れを告げる。
肝心の瀬名はなかなか本音を言おうとはしないという事で、
最後はちょっとした引き延ばした感じの展開になるが、その余韻
もまた興味深い物だよね。
しかし男性ってそんなに前の関係を引きずるものとして女性に
写っているのだろうか。

桃子が語っていたが、私達は自立した女性で世間から見れば
大人の女だが、中身は女の子であると言った言葉が印象的だ。

業を煮やした南がなんで私と寝たのか?と瀬名に問う。
好きだと言えない瀬名は、南の方から好きだと言って欲しかった
のだろうか。好きだと言った瞬間に関係が崩れるのを恐れたのか。
更には南には杉崎との間にプロポーズされた経緯が有る為に身を
引いたつもりなのだろうか。

これまで上手く行っていた理由は互いに違う方向を見ていたから
だという。男と女は向き合う途端に、色んな感情が入り交じって
しんどくなると言うが、他人同士がお互いのテリトリーの中に
踏み込むわけだから、問題は有るのかも知れないけれど、その
問題以上に得られる物があるからこそ、互いに求め合う物だと
思うけどね。

真二とルミ子が一緒にいるのを見て涼子が誤解したように、
今度は涼子と瀬名が一緒にいるのを見て南が疑うべき展開になる。
この辺のピースのハメ方はとても面白く、一つの関係が上手く
行かないと、実に不安定な状況を上手く作ったなと。

結局最後はコンクールで愛の深さを知らせることになる。
人に聞かせる為の音楽が苦手だった彼が、南のために聞かせたい
とする気持ちが音色に乗って観客達を魅了する。
まぁ出来過ぎたと言えば出来過ぎな展開だけど、コンクールの
シーケンスはこれくらいの成功感を得た方が満腹感を得られる
のは確かだね。

互いに名前を呼び合いながらキスするシーンは、「東京ラブストーリー」
のリカ〜カンチに通じるモノがあるけど、互いに思い合っていることが
良く伝わってきたな。

最後は結婚式。白無垢の南は綺麗というよりも滑稽に見えたけど、
ドレス姿の南は素敵だった。

このドラマの良さはあんまり展開がごちゃごちゃし過ぎなかった点かな。
恋愛のドラマを見ていると、幸せを得るためには他人の事を傷つけても
良いのか?とするテーマが多い中で、このドラマは中盤辺りで、瀬名と
涼子の関係はほぼ清算されているし、南と杉崎の関係も瀬名に嫉妬させる
だけの要素は保ちつつも、そんなに深入りしなかった為に、プロポーズを
断ったことでもあんまり後腐れを感じなかったと思う。
これを機会に90年代のドラマを放送してくれないかな〜

瀬名秀俊 …… 木村拓哉 (芸大出身、現在ヤマハピアノ教室勤務)
葉山南 …… 山口智子 (モデル事務所。31歳)
葉山真二 …… 竹野内豊 (元ピアニスト)
奥沢涼子 …… 松たか子 (芸大生)
小石川桃子 …… 稲森いずみ (モデル事務所)
氷室ルミ子 …… りょう (真二の彼女?)
斉藤貴子 …… 広末涼子 (ピアニスト志望の中学生・2話&3話)

杉崎哲也 …… 豊原功補 (カメラマン、南に好意を持つ・4話から)
斉藤哲也 …… 小林すすむ (モデル事務所"G.N.D プロモーション")
佐々木教授 …… 森本レオ (大学教授)
椎名いづみ …… 建みさと (モデル事務所・新人)
小田島和久 …… 津嘉山正種 (ピアニスト)
倉田 …… 井上豪 (秀俊の先輩)
朝倉コウヘイ …… 伊藤芳則 (南と結婚式当日にドタキャン)
杉田 …… 角田よしこ (ピアノ教室の従業員)

---- …… 春田純一 (ソニークラシカルのスカウト)

宮寺康夫、阿部渡、林文秀、田丸楓、川端健嗣、Section-S

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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