踊る大捜査線
(1997年1月期・フジテレビ21時枠)

脚本:君塚良一。
演出:本広克行、澤田鎌作。
音楽:松本晃彦。
プロデュース:亀山千広・東海林秀文。


第1話 サラリーマン刑事と最初の難事件

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青島はこの日、神田や秋山が見ている前で、下出警務課長を
相手に事情聴取を行う。田舎のおふくろの事を口にしたり、
かつ丼を食べるかと信用させようとしたりして試行錯誤する
青島。しかし刑事ドラマの見過ぎだとして怒られる。警察訓練
所の教官はマニュアルを無視した取り調べに激怒する。

青島は3年間コンピュータメーカーの営業マンをしており、その
ウチ2年は営業のトップを勝ち取った人物だった。突然警察官
に転身し、3年間は交番勤務。そして今回湾岸署の刑事課強行
犯係に赴任される。

初出社に心躍らせる青島。受付にいる森下から刑事課は2階だ
と言われ部署を訪れると、署員は出払っていて、窃盗犯のすみ
れがコンビニでおでんを盗んだ高校生相手に事情聴取していた。

そんな中入電がある。
有明興産ビルの役員室で人が倒れて死んでいるという。
青島はすみれに現場に行かないのかと告げるが私は窃盗犯だと
言われる。あなたこそ現場に行きなさいと言われ、パトカーを
回して貰おうとするも、岸本巡査長は署長の判子が無いと貸し
出せないと言われ、仕方なく走って現場に行くことになる。

現場に着くと警視庁の刑事達が捜査を行っていた。現場にいた
同僚の和久から初動捜査は警視庁が行うことを言われ、手足が
出せない現状に不満を示す青島。やがて一課長の室井がやって
くる。
通報者の女性は倒れて中央厚生病院に運ばれたという。和久は
室井が来たことが分かると、青島に署に戻るぞと声を掛ける。
ウチの管轄で起こった事件なのに何故捜査をしないのか。
和久からこれが所轄の刑事の現実だと言われる。

署に戻った青島は袴田から他の署員達に紹介される。
青島は殺人事件の捜査をすべきだと訴えるが、死体検分が出る
までは所轄は手足は出せないと言われる。窃盗犯係のすみれは
ゲームセンターで窃盗犯が暴れている通報を受け、一人強行犯
係から署員を貸して欲しいと告げられ、青島がついていく事に
なる。
パトカーで行くものかと思えばなんとタクシーで現場へ。
しかしいざゲームセンターについていくと、なんと窃盗をした
のは小学生だと言われ唖然とする。

署に戻ってくる青島は和久が墨を擦っているところを目撃。
この度起こった捜査本部の戒名を書くのは所轄の仕事であると
いう。名前を何にするのかで袴田、神田、秋山は真面目に討論
する。
青島は交通課の山下圭子、藤田千草に挨拶する。

捜査本部が設置され、青島は真下と共に受け付けを任される。
その仕事が終わった後にすぐに捜査本部で話を聞こうとするが
最前列に座ろうとする青島は注意される。所轄は後の方に陣取
るのが通例だという。

警視庁の島津から今回の事件の概要が語られる。
被害者は柏木満男・55歳。顔面を鬱血、首に絞殺痕。死亡推定
時刻は夜10時から12時だという。最後に被害者を見掛けたのは
秘書が帰宅する午後6時との事。第一発見者は、柏木雪乃・22歳。
被害者の娘は今朝7時に帰宅しない父親の様子を見に来た時に
発見したという。5年前に妻は死亡し、父子家庭だったとの事。
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交番勤務から湾岸署に転属される青島。

青島都知事と同じ名前だというのが、彼の自己紹介でのアピール
法だ。確かに覚えられやすいものだろうけど、都知事が青島さん
っていうのも時代性を感じるね。

サラリーマン時代は優秀だった様だが、ある時営業の仕事先で
"寄生虫"と呼ばれたのが相当堪えたらしい。

湾岸署は空き地署と呼ばれる。

周りに何も無い署という事で、そう呼ばれているみたいだ。
初めて赴任した青島にとっては、所轄と本庁の関係をよく理解
して居らず、冷やあせものの行動を見せる。

警察の形式的な手順が捜査に於ける即効性を失わせる。

パトカーを借りるにも書類が必要とか、犯行現場に於いても
初動捜査は警視庁の人間が先ずは担当しなければならないなど
の不手際な一面が目立つ。

スリーアミーゴス

神田、秋山、袴田のお偉いさん三人組の総称のようだ。
現場捜査とは全く関係のないところで活躍する。

被害者の遺族・柏木雪乃

父親が殺害された事でショックを受け精神的に口が聞けなく
なる。レギュラーとしてクレジットされている彼女は果たして
どんな関わりを見せていくのか。

警視庁のキャリア・室井慎次

真下が憧れている人物。
ただキャリア組もあまり現場ではいい顔をされない所がある。

青島は今回彼の運転手役を任された。
名刺を渡すも無視され、話しかけるも無視される。
ただ少しずつこの二人がコミュニケーションを持つことは明らか
だ。現在の警察システムに対して何らかの改善が行われるように
なっていくのか。

刑事には過去がある

和久さんは三月で定年を迎える身だ。しかし暇を見つけては
何らかの過去の事件を調べている様子。腰が痛いと言っては
現場を抜けているのもそんな捜査を単独で行っているのかも。

すみれさんもまた何らかの事件に関わりPTSDの様な状態になって
いるようだ。後に立たれる事を嫌っている様子。

事件の顛末

何気なく登場した事務所荒らしの男性・田中文夫(33歳)が
目撃されたために殺害に及んだ。青島が警察官としての苦悩
を語ったことで上手く共感を得たらしい。殺す気がなかったこと、
自分にも毎日刺激がなかった事を訴えたかったようだ。

青島は捜査に何も参加できなかったと嘆くが、和久さんの
"俺達は犯人を追う兵隊で良い"とする辺りの渋さが光る。

事件後のケアも忘れない

室井はあくまで事件解決が優先で、市民の気持ちは二の次だと
いう。しかし青島は事件解決しても被害者のことをすぐに忘れる
刑事にはなりたくないとして、雪乃に見舞いに行く。

脚本家・君塚良一

近年「華麗なるスパイ」という恐ろしくくだらないドラマを
作ったことでダメダメのイメージもあるけれど、過去には
こんな名作も作っていたという感じ。

青島俊作 …… 織田裕二 (湾岸署刑事課強行犯係係長・巡査部長)
室井慎次 …… 柳葉敏郎 (警視)
恩田すみれ …… 深津絵里 (湾岸署刑事課盗犯係・巡査部長)
柏木雪乃 …… 水野美紀 (湾岸署刑事課強行犯係・巡査部長)
真下正義 …… ユースケ・サンタマリア (警部補)
和久平八郎 …… いかりや長介 (強行犯係・巡査長)

袴田健吾 …… 小野武彦 (湾岸署刑事課課長・警部)
神田 …… 北村総一朗 (湾岸署署長・警視正)
秋山 …… 斉藤暁 (湾岸署副署長・警視)

中西修 …… 小林すすむ (湾岸署刑事課盗犯係係長・警部補)
緒方薫 …… 甲本雅裕 (湾岸署地域課所属・巡査部長)
森下孝治 …… 遠山俊也 (湾岸署地域課所属・巡査部長)
魚住二郎 …… 佐戸井けん太 (湾岸署刑事課強行犯係係長・警部補)
山下圭子 …… 星野有香 (交通課・巡査)
岸本巡査長 …… 畠山明子 (湾岸署警務課警務係)
藤田千草 …… かんだゆきこ (湾岸警察署交通課)
下出 …… 清水宏 (湾岸署警務課課長・警部)
島津 …… 浜田晃 (警視庁生活安全部長)
婦警 …… 井上美紀
警官 …… 林和義
警官 …… 増田英治

渥美博、田中龍、偉藤康次、加藤満

田中 文夫 …… 近藤芳正
小学生 …… 森廉
小学生の母親 …… 森幸子
店員 …… 鈴加明

伊藤眞、三浦賢二、田中定吉、濱近高徳、石田弘志、大木正司
山口詩史、田中主将、三井善忠、藤村さおり(アナ)


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