オヤジぃ。
(2000年10月期・TBS)

脚本:遊川和彦
演出:清弘誠、吉田秋生、片山修、佐々木雅之
プロデューサー:八木康夫
演出補:佐々木雅之、波多野貴文、山室大輔、田中大二朗
プロデューサー補:壁谷悌之

http://www.tbs.co.jp/drama_archive/oyajy/oyajy.htm

第7話 入院患者は見た
--------------------------------------------------------
父親の完一は診察中に苦しみだし、温子と連れられて大学病院
へとやってくる。完一は大学病院の粗を探しては1つ1つ文句を
告げていく。ナースの注射の仕方、レントゲン技師の態度など。
医師からは胃潰瘍だと告げられ、検査のためにも入院を勧めら
れる。しかし完一は入院などせず、薬なども一切要らないと
して妻・美也子に告げる。子供達にはこの事を一切言うなと
いう完一。しかし病院に小百合がやってくるのを見た完一は、
密かに子供達が心配してくれていると勘違いし喜ぶが、小百合
の目的はこの病院の小児科医師・堤靖彦に会うことだった。
二人が病院の屋上に行くところを尾行し、二人の会話に聞き耳
を立てる。すると小百合の子の父親が彼である事が発覚する。
完一は靖彦の素性を探ろうとして、入院する事を決めるのだっ
た。

すずはウェイトレスとして働く。
しかし働いた初日にオーナーからセクハラを受けて早々に退職。
帰宅したすずは、母親が入院準備に忙しくするのを目撃する。
そこに正から電話があり、住み込みでアルバイトを始めた事
を聞く。
すずがアルバイトを辞めたことを知った完一は呆れ返る。
すずは接客業は合わない事を告げる。すずは父親が入院する事
を知ってしまうが、父親からは小百合達には入院のことを言うな
と告げられる。

検査入院する事になる完一。検査の待ち時間が長く、相変わらず
小言を言う。そして同部屋になった入院患者の薬の量などを
チェックしたり、病院食に文句を言ったり、病院のルールを
一つ一つナースの前でこき下ろす。一瞬にして病院内の問題児
となった。そこにゴローがやってくると、靖彦の事を調べさせる。
現時点までで分かった情報は、奥さんとは何らかの原因で別居
の様な状況にある事。そしてこの病院の小児科医として働いて
おり、評判は良いとの事を報告する。完一がコソコソと動き回る
様に妻の美也子は何か企んでいないか?と語る。

小児科医まで様子を見に行く完一。そこで目にした靖彦の姿は
医師として立派なものだった。軽く話しかけるがすぐに看護師
から連れ戻される。その時彼のことを"神崎"と言っていたこと
から靖彦は今話していた人は小百合の父親だと分かるのだった。

すずは若者向けの服屋で働く。しかしここでも客の注文やら
万引きする客達に手を焼いて一日でギブアップ。その姿を見て
いたすみかから声を掛けられ、一緒に正が勤めている自動車の
整備工場へと足を運ぶ。すずは何故こんな所で正が働くのか
理解できなかった。そしてやりたい事が見つかる保証もないのに
将来の不安を感じないのか尋ねる。正に対する質問は全てすず
自身に向けられた疑問でもあった。正は仕事をしないと父親と
ケンカした手前格好が付かないことを口にする。
--------------------------------------------------------

完一の病気は検査入院し、小百合の相手の素性を知るための物
だった。
入院している間にも入れ替わり立ち替わり人が現れるし、
今回ようやく登場した靖彦に対する人物像に迫っていくという
点でとても興味深く描かれた話だった。

今回のメインは小百合。
小百合の腹の子の父親がついに発覚。
なんと相手は小児科医でとても立派な人だが、過去に居眠り
運転をしていた際に娘を亡くし、妻を車椅子の状態にしてしま
った。妻は今でもこの病院内に入院しており、辛い看病の日々
を送っている。そんな状態で小百合と出会ったことで、離婚など
出来るはずもなく、靖彦の辛さを上手く支えた事で、小百合との
関係が結ばれたようである。

父親は子供たちに病気の事実を言わないよう口止めするが、
そんな動きとは逆光して伝わっていくし、情報の伝達の仕方には
無理が無く、上手く病院に子供達を集結させるシナリオを描いた
感じだ。

ゴローがスパイのように使われ、その姿を真知子が見てしまう
事から色んな情報が真知子に伝わっていく。特に完一の事に
関して次々と真知子に伝わっていくのに対して、逆に真知子の
情報が完一に伝わらずにいる所など、面白い展開だね。

小言を言う完一の姿も相変わらず面白いし、娘のために色々と
画策していく。

最初は入院しないとしていたのに、突然態度を翻したこと。
ガンでは無いのか?とすずから言われて、馬鹿なこと言うなと
言いつつも心配する姿。
そして面会の時間が過ぎた後に妻達が帰宅しようとすることに
寂しさを覚える反面、真知子が病院に来ていることが分かると
途端に態度を変える辺りの完一の態度は、身勝手なものだけど
とても人間らしくて面白い描写である。

また今回最後に正が"偶然を装い"完一の入院先にやってきたり、
靖彦が姉を孕ませた相手だと知って父親よりも先に靖彦に
食い付く所など、やっぱりこの父親の子供だなと思わせる所
は面白かったところだ。

神崎完一(55) …… 田村正和 (父、開業医)
神崎すず(21) …… 広末涼子 (次女、短大生)
神崎小百合(27) …… 水野美紀 (長女、私立の教師)
神崎正(19) …… 岡田准一 (長男、予備校生)
大平ゴロー(31) …… 加藤浩次 (青空製薬の営業)
すみか(18) …… 矢沢心 (ガングロ女子高生)
温子(25) …… 今井陽子 (完一の病院の看護師)
国東博(31) …… 及川光博 (三友商事、東大出身、すずの彼)
松嶋幸介(47) …… 山口祐一郎
君塚真知子(30) …… 石田ゆり子
神崎美也子(47) …… 黒木瞳 (母)
ガンジー …… (犬)

国東裕治 …… 中丸新将 (父、通産省の高級官僚)
国東智恵子 …… 松本留美 (エッセイスト)
君塚進太郎 …… 高橋隆大 (息子)
産婦人科医 …… 広岡由里子 (川勝産婦人科)
教頭 …… 須永慶 (小百合の勤める私立小学)
堤靖彦 …… 仲村トオル (小児科医師)
堤恵子 …… 澤口夏奈子 (靖彦の妻、交通事故で車椅子)
レストランのオーナー …… 半海一晃 (セクハラ)

沼崎悠、小池朋子、加彩恵子、大野英憲
北村隆幸、柴山香織、赤屋板明、中村麻美、藤本恭子
馬場花歩、遠野花林、向野澪、吉野奨基

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

inserted by FC2 system