相棒 シーズン3 脚本：輿水泰弘 監督：橋本一 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_03/

第9話 潜入捜査〜私の彼を探して!
婚約指輪のイニシャルに隠された殺人メッセージ
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右京と薫はビルの管理／警備会社で働く。
夜のオフィスの巡回に葛城と共に20階にオフィスを構える
IT企業"DRAGON"を巡回する右京。

その頃元麻布警察署に、一人の女性・設楽聡子が失踪者の捜索
状況を尋ねる。毎日来られても答えようがないという警察官は
何か分かればこらちから電話すると告げる。

右京と葛城は夜明けに仕事を終え帰路につく。
葛城は明るい所で働きたいなと実感を込めて語る中、IT企業の
社長・北潟誠吾が出社する。その姿を見て葛城もあんな風に
風を切って働きたいという。
北潟はオフィスに来るとすぐにPCの電源を入れる。しかし電源
が付かない事に気がつき、すぐにビル管理のメンテナンス会社
に電話する。昨日巡回の際に右京が電源に仕掛けを施していた
もの。昼の仕事に就いていた薫は、自分が直しに行くとして、
北潟のオフィスへ向かう。

右京と薫は、数日前に小野田から呼び出されてある非公式の特命
を受けていた。北潟誠吾という若くして数十億円の資産を持つ
男。彼は極左勢力と繋がりがあり資金を供給しているのだと
いう。それを公安が調べて彼の会社に昨年から潜入していたが、
一ヶ月前から連絡が取れないという。既に所轄にも失踪者届け
が出されているという。男性の名前は森本達也だが、公安の
捜査官なのであくまで偽名であるとの事。小野田は右京らに
探ってみないか?と問うが、公安のことは公安が処理したらどう
か?と問う。しかし小野田はそんな右京に、お前は気付いていない
かもしれないが沢山の貸しがあるとし、少しはこの機会に返した
らどうか?と告げる。会社に潜入するのは無理なので、メンテナ
ンス会社に潜入することになる。

そんな中、北潟誠吾の元に失踪した森本から荷物が届く。
クール宅急便で届けられたものは、なんと森本の腕だと思われる
ものだった。帰宅しようとしていた所に警察が来たために
右京はまた会社に戻って様子を見守る。

右京と薫は緊密に連絡を取り合い、捜査を始める。
薫が森本の恋人の設楽聡子と接触する手筈になっていた。
右京は夜の勤務の際に、薫が指示していたシールを頼りに、
彼女はデスクを調べる。中には婚約指輪が無造作に入っていた。
指輪に刻まれていたイニシャルはT.M。二人は恋人で間違いなさ
そうだった。
右京は薫に、女性に指輪を贈ったことはあるか?と問う。
恋人からもらった指輪を無造作にオフィスのデスクの中に
締まっておくものなのか?と問う。更に真実の愛の証に、偽名
であるT.M(森本達也)という名前を彫るだろうか?と疑問を持つ。
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極左勢力と繋がりのあるIT社長を追っていた公安の刑事が突然
失踪する。右京と薫は、小野田に頼まれて管理会社に潜入して
この会社の社長・北潟誠吾の事を調べると共に、失踪した
捜査員の森本の消息を追っていく。すると意外な真相が明らかに
なる。

公安職員たちの報われない事情、陽の目を見ない活躍が描かれる
と共に、どんな人物であれ人間である事が描かれるものだった。

何より今回どんな人物でもミスは犯す物だとして、右京が
一日留置所に入れられる辺りが笑えた。
右京のことをあれだけ笑えるのは薫ならではだし、互いに失礼
な事を言い合いながらも、やっぱりこの二人の相棒っぷりは、
シーズン8以降相棒を組むことになる神戸よりも合致する物
が有る。

法では裁けない物を自ら裁きにかけるという展開は、刑事物
ドラマでは良くあることだけど、公安の職員同士の弔い合戦
というのも面白い物がある。

目の前で亡くなった捜査官は自分の姿だとして、葛城が影で
画策していたこと。演じているのが温水洋一さんということで
見た目と内に秘めたる心情とのギャップがなんとも面白く
現れた。温水さんのキャラクターの使い処は、使い方によって
ヤスっぽくなるけど、こういう使い方をすると本当に良い味が
出るな。

社長を演じていた保坂尚輝さん演じる北潟誠吾も、単なる怪しい
人物ではなく、鋭い視線を持つ人物として描かれ、社長らしい
着眼点と交渉術、そして主張が存在していたと思う。

結局の所、どんな立派な人物であれ、異性の存在によって
ほころびが出てしまうところなどは、面白い流れだった。

相棒の中でもなかなかの名作の部類だと思う。