相棒 シーズン3

脚本/櫻井武晴

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_03/


第11話 ありふれた殺人〜時効成立後に真犯人自首!?
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用事の為に市谷警察署にやってきた薫は、帰りに警察署の前で
不審な動きをしている男性・小見山勇司の姿を目撃する。
薫は右京を呼び出し勇司から事情を聞くと、20年前の1985年1月
に人を殺したという。既に5年前に時効は成立し、民事でも
時効は成立している。遺族に対する謝罪の気持ちが有っての
自首なのか?と問い詰めると、誰かに狙われていると告げる。

警視庁に連れて行き話しを聞くと、確かに犯人しか知り得ない
情報を語っている為に犯人だとほぼ断定される。20年前、17才
だった坪井里子を殺した事件。
内村たちは記者発表用に正式に取り調べしろと命じる。
勇司はずっと人目が気になっているという。気になったのは
一ヶ月前から。遺族に謝罪しろと告げるが、それをしたら顔が
公になり街を歩けなくなると犯人は全く反省した様子はない。
謝る気がない事を知った薫は犯人の態度に激情し、殴り飛ばすが
その手には乗らないとして、告訴して事態が公になるのを勇司
は拒む。

右京達は当時の事件の詳細が保管されている一課の二係に足を
運び、担当刑事の港功から話しを聞く。面影橋女子高生殺害事件。
当時500人体制で捜査にあたるが、被害者に目だったトラブルが
無かったために特定出来無かったという。港は自分が刑事になる
きっかけとなる事件だったという。

美和子も時効犯が自首してきたという報告を受けて特集記事を
書こうとするが、キャップの大久保からは止められる。警察から
情報が出ないので調べるだけ無駄だという。
被害者の遺族、父・貞一は特命係にやってきて犯人について教え
て欲しいと訴えるも、規則で教えられないことを告げる。全て
は加害者の親類縁者を守るための措置だとして理解を求めるも
逆に被害者をぞんざいに扱う事へ憤りを感じる貞一。
あの日、妻・幸子は娘にすぐに帰るとして出掛けたという。
娘は話があると言っていたが、それが希望する会社に受かった
事なのか、それとも交友関係なのか分からないままだという。
娘が殺害された一週間後に妻は手首を切り自殺未遂した事を
聞かされる。その時所轄の周回中の警察官に助けられたとの事。

薫は時効とは何かを右京に訴える。

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時効制度の問題点を指摘する内容

相棒の良さは時々こういうエピソードの中に、日本社会の問題点
を鋭く指摘する内容が含まれている点だ。
時効の前に警察は無力だと語る右京の無念さ、目の前に傷付いた
被害者の遺族が居るのに対して、それを話せない辛さが今回の
ドラマで強く印象告げられる内容だった。

犯行現場から見つかる2つの指紋

犯人が殺害された現場から、犯人以外の指紋が2つ検出される。
拭き取った跡が有るとの事で、周到な犯人像かと思わせつつ
実際には2つの指紋が検出されている。

薫が被害者遺族の自宅の前に行っただけで処分

これはかなり不条理な展開だったな。
話してしまったというのならばまだしも、行っただけだったしね。
右京は薫の行動に底の浅い同情心のせいだとするけれど、この
感情に揺さぶられるのが薫というキャラクターだからね。

事実関係はともかく、薫が被害者の家に向かった事で、動機と
犯行が出来る状況を作ってしまったように見える所が問題という
所が如何にも上層部の考えそうな所だね。

なんと指紋の一つは、担当刑事のものだった

刑事が関わっているとなると、被害者遺族の行動は殺害した事
へのカモフラージュなのではないかという見方も出来た。
2つの指紋は刑事と被害者遺族が結託して殺害し、その後も
被害者遺族が犯人のことを知りたいと警察署に尋ねることで
上手く容疑者の視線を交わす意味合いがあるのではないかと。

全ては今回の犯人が殺害された方法は、偶然にも20年前に
殺害された方法と同じだった事が、面白くカモフラージュされた
事件だった。

結局事件は復讐とは関係のないモノ

着眼点は相棒らしく、初めて聞き込みしたときの"言葉"だった。
レコードと断定した事で部屋に行ったことが有るとの推論から
自供を引き出していった。

小野田らしい役割

結局事件解決後に、亡くなったのが20年前の殺人犯である事を
封印した。大事にならないようにするために、警察官の処分も
最小限にする。この辺の小狡さみたいな所は、とても彼らしい
キャラクターで面白いよね。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁の特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁の特命係)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦 信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢 守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田 六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策部)
内村 完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田 公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義
小松真琴 …… 久保田龍吉

小見山勇司 …… 信太昌之 (殺人犯)
坪井里子 …… 小林千恵 (17才、20年前に小見山に殺される)
港功 …… 清郷流号 (一課二係の刑事)
坪井貞一 …… 上田耕一 (父)
坪井幸子 …… 吉村実子 (母)
鈴木隆 …… 正名僕蔵 (26才、小見山隣人、司法試験)
大久保康雄 …… 阿南健治 (美和子の上司)

熊谷祐子、遠藤哲司、飛田晃治、橋本マサキ


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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