相棒
シーズン4

脚本/輿水泰弘


第1話 閣下の城
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奥多摩に車を走らせる薫たち。
かつて閣下と呼ばれた傲慢で狡猾で残忍な人殺しが居た。
男の名は北条晴臣。殺人の罪で捕まえるが、萩原壮太が銃を
突きつけた事で証言したところも多く、小野田公顕は、起訴
するのが難しいこの案件を、外務省の汚職の全てを告白する事
を引き替えに、罪には問わないとする提案を持ちかけ様と考え
ていた。
証拠を見つけ出すとする右京達。
しかし北条は取引の変更を求め、裁判を受けたいと申し出てきた
のである。しかも保釈を求めるというもの。今まで殺人の容疑
で捕まった被疑者が保釈になった例など無かったが、瀬戸内
米蔵に根回しを頼んで、独自裁量権を利用し、その条件で釈放
させることになる。
美和子はその措置について紙面で徹底的に糾弾するが、外務省
の汚職が洗いざらいになり、世論はこういう告発があっても
良いのではないかと思い始めていた。

裁判で検察から起訴事実が読まれるが、閣下は15年前の事件なの
で記憶が曖昧だとして、時間稼ぎをする。そして厳格な審理を
求めるのだった。

それから2年半。裁判はまだ続いていた。
この日、閣下からの招待を受けて奥多摩にある彼の別荘へと
足を運ぶ。そこには小野田や瀬戸内も来ており、今日はこれ
までの柵の全てを水に流すのが目的だとして、閣下が招待した
のだった。
この別荘は1829年のスコットランド、エジンバラに建っていた
ロバート王の城を移築させたものだった。右京は一度見ておきた
かったという。
閣下は保釈金に5億円が掛かったが、支払って良かったと自由
を満喫する。
この城で働いている繭子に右京らを城内を案内させて、閣下は
一緒についてきた新聞記者・美和子を個人的に呼び出す。
閣下は回顧録を書きたい事を告げ、その出版を美和子に頼みたい
との事だった。明日にでも契約書を持って来なさいと言われる
美和子。

右京たちは城で働いている繭子に、いつ頃からここで働いてい
るのか尋ねる。一年前に秘書の募集広告を見たのだという。
弁護士から北条は各国大使をした人物で事務次官のOBだとされ
殺人容疑が掛かっている事などを聞かされ、生活を共にする事
を条件にここで働くことになったという。北条のことは閣下と
呼んでくれと言われたという。更に郷内嵩人とは従兄弟であり
雇ってもらえるように自分が口添えしたという。

宴も酣、閣下は上気分で繭子と共に壇上に上がり、みんなの
前で繭子と結婚することを宣言する。互いに愛し合っていると
いうが・・・

美和子はいち早くタクシーで帰宅し、翌朝の契約書をもらいに
会社に戻る。
薫たちはたまきの働く"花の里"に立ち寄ると、美和子が鹿手袋
と別れた事を聞かされる。

城では瀬戸内が北条に、ちょっとはしゃぎすぎだと注意する。
しかし北条は自由とは名ばかりで、実際には城に幽閉されて
いるようなものだという。イリーガルな手段で手に入れた自由
で有り、瀬戸内はそんな事に手を貸してしまった自分を恥じて
居ることを告げる。すると北条は決して恩は忘れないと告げる。
しかし受けた仇も忘れないと呟く。

城に戻ると薫は外で繭子と嵩人がキスしているのを見てしまう。
みんなにその事実を告げると二人は結託して財産目立てで
結婚を企んでいるのか?と疑う。

翌日、美和子から薫に電話が鳴る。殺しが起きたという。
殺したのは郷内嵩人だった。
すぐに閣下の城に足を運ぶ右京と薫。城には既に瀬戸内と
美和子もいた。瀬戸内は夜に北条に対して、繭子の男関係を
調べたのか尋ねたという。繭子に男が居ることを知っていたと
告げ、不機嫌な感じだったという。発表の時には上機嫌だった
事を見ると、発表した後に男関係が発覚したのか?と疑う。

遺体の第一発見者である繭子に話しを聞く。
遺体を見つけたのは美和子も一緒の時だったという。
鎧の有る部屋で、剣で正面から胸を一突きされて亡くなって
いた。彼女が嵩人を最後に見たのは10時過ぎ。寝る前に閣下の
部屋にミルクを運ぶのが日課とのこと。繭子は閣下とその時
一緒の部屋にいたという。しかし何故来客が来るまで遺体を
発見できなかったのか?と右京は疑問を口にすると、閣下が
探さなくても良いと告げたのだという。

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閣下こと北条晴臣が再登場。

シーズン1の12話「特命係、最後の事件」では15年前の事件の
真相に迫ったが、その時の容疑者で未解決のまま終わった
事件の続きモノだった。

外務省の膿は吐き出る

一応北条が暴露した事によって、省内の悪事は一掃された
様だ。しかし15年前の事件が解決したというものではない。

北条晴臣が仮釈放中に起こした騒動

15年前の事件が究明できない為に、別件で処理してしまった
感じの流れだった。

ドラマでは誰が一連の事件でイニシアチブを持っているのか。

主導している人物が誰なのかが今回のドラマの面白さだ。
右京達にかかされた恥を仕返しする為に北条が仕掛けたもの
だったが、途中からその事情が変わり、心情としては複雑な
モノになってしまった。

長門裕之の怪演

面白い演技で閣下というキャラクターを作り上げた気がする
が、少々複雑な心情を吹き込みすぎた感じもする。

そして郷内繭子の心情が人の理解を超えた所があって、最後のオチ
ではややスッキリしない所も有った。
彼女は何であんなに晴れやかな笑顔で居られるのか?という
二人のセリフからもそんな一面がうかがい知れるかも知れない。

事件としては凡庸

二つの殺害方法の可能性を示すモノだった。
しかし鎧を調べれば血痕が付いているだろうし、汗とか唾液
とかついていそうなものなので、わざわざ複雑な推理を展開
する必要性は無かった感じの事件だった。

薫と美和子の関係は復活

鹿手袋と別れた事で、また二人の仲が復活。
弁当を作ってもらって喜ぶ薫がまた可愛らしい。

それよかたまきが内緒話を薫に話してしまったことで右京が
彼女を感心しないと白い目で見ていたシーンが印象的だったな。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
亀山薫…… 寺脇康文 (警視庁特命係員)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (ジャーナリスト)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

北条晴臣 …… 長門裕之 (閣下)
瀬戸内米蔵 …… 津川雅彦 (元法務大臣)
郷内繭子 …… 高橋かおり (秘書)
郷内嵩人 …… 高杉瑞穂 (執事)
宮添卓也 …… 田中実 (弁護士)
安岡喜一郎 …… 唐沢民賢 (弁護士)
棟居均 …… ハントケーシ (弁護士)

堀越富三郎、恵有一、葉山博喜、岡田直也


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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