相棒
シーズン4


第9話 冤罪

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灰皿で青木由起男を殺害した篠宮ゆかりは、そのまま凶器を持
ったまま町をふらつき、緑川警察署へと足を運ぶ。
二人は内縁関係にあり、金銭の貸借関係に有り、ここ半年青木
はゆかりへの返済を滞っていたという。
阿佐ヶ谷の被害者のアパートで起こった事件であり、緊張と
興奮で宛てもなく歩いた結果、地元の警察署ではなく緑川署に
出頭したとの事。
捜査本部ではこの件は本庁ではなく緑川署が処理すると告げら
れる。

事件は一応解決した形だが、すぐにゆかりを弁護するという
弁護士の室園悦子がやってきて送検はウチがやると言う。
室園は元東京地検の女性。普通は起訴されてから弁護士を呼ぶ
のが普通なのに、何故こんなにも手回しが良いのか。

右京はその疑問を解消すべく悦子の弁護士事務所を訪れる。
そしてゆかりとの面会を求める。なぜ担当でもない刑事に逢わ
せなければならないのかと問われ、本庁としても送検に寄与し
たというメンツの問題がある事を告げる。右京は悦子にゆかり
とはどういう関係なのかと尋ねる。逮捕された翌日に弁護士
がつくのは不自然ではないかという。しかし悦子は本人が数日
前に直接電話してきた事を告げ、被害者の青木に貸した金を
返して欲しいと相談があったという。灰皿はヘビースモーカー
だった青木自身の家に有った物だと聞いて右京は現場へ様子を
見に行く。

現場には先回りした薫がすでに待機していた。
被害者は10年3ヶ月このアパートに住んでいるという。ヘビー
スモーカーとの事でタバコの焦げ跡なとせ探そうとするが、
一切見つからない。床にはコーヒーを零したような跡が有るにも
関わらずタバコを吸っている形跡が無い。畳みに付着するシミ
が不自然だと知り畳みを上げてみると、下から牛革の財布が
出てくる。

署に戻る右京は、ゆかりの兄・篠宮彬が20年前に殺人罪で起訴
されている事を知る。そして拘置所で死んでいたのである。

被害者の押収品の中にはビニールの財布が有った。この牛革の
財布は誰の物なのか。

ゆかりの兄・彬は、控訴している最中に亡くなったとの事。
殺人罪自体を否定していたという。彬が容疑者とされたのは
"競艇通り強盗殺人事件"。被害者の金子佑介は、その日競艇
で大穴を当て、帰りに飲み屋に立ち寄り当たった20万円を見せ
びらかしたという。同じ店で飲んでいた彬はその帰りに道ばたで
酔って寝ていた金子から財布を奪おうとしてもみ合いになり、
殺害したとのこと。翌日には妹のゆかりに20万円を返済して
いることから、2点の状況証拠と自白で起訴されたという。
自白には果たして信憑性はあるのか?警察官の取り調べが強引で
自白してしまったという事はないのか。
当時の調書を見ると、なんと今回ゆかりを逮捕した緑川署の
警察官・安城が彬の件でも逮捕している事を知る。
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被疑者と弁護士の関係は??

事件が起こり起訴前にもかかわらずすぐに弁護士・が駆けつけた。
あまりの手際の良さが、右京に対して着眼点を持たせる所だっ
た。

犯人の篠宮ゆかりには兄が居た。

兄の彬も20年前に殺人犯として捕まり拘置所で亡くなっている。
兄妹共に殺人者である事実に加えて、当時彬を検挙したのは
緑川署の安城。更に美和子の情報により、当時彬を起訴したのは
現在弁護士である悦子である事が判明する。

今回の被害者・青木の部屋から出てきた財布

なんとそこには、持ち主の金子と青木の指紋。更には弁護士の
悦子の指紋が出てくる。

殺人事件の時効

かつては15年だったが現在では25年になった。
今回殺人事件の時効に対する言及がある種のテーマとして存在
している。
20年前には15年の時効だったことは果たして幸か不幸か。

証拠の無い推論での調査。

今回は推論で動くというシーンが多かった。
そもそも財布が見つかったというだけで、安城や悦子が殺人教唆
に結びつくというのも少々暴論に近い物がある。
結果的には正しかったのかな。
本当の真相は闇の中で、ゆかりは被害者だけの一面性だけが
抽出されていたが最後になって実際には事件を揺り動かしてい
たのは彼女だったのではないかという疑問が出てくる。

そもそもゆかりと青木の関係をどう説明するのか。

青木が偶然にゆかりの兄の冤罪事件の犯人だったというのも
都合の良い展開である。ゆかりは何らかの確信を持って彼に
近づき証拠を探していたのではないか。その辺は完全に闇の中
といった感じ。でも刑事も検察も信じられず、最後にマスコミ
や傍聴人が聞いている前で訴えるというアイディアが光る
展開だったね。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
亀山薫…… 寺脇康文 (警視庁特命係員)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (ジャーナリスト)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

篠宮ゆかり …… 青山知可子 (被疑者)
篠宮彬 …… 外川貴博 (ゆかりの兄・20年前の殺人容疑)
室園悦子 …… 一色彩子 (東京地検・検事から弁護士へ)
安城雄仁 …… 中村育二 (緑川署・刑事)
青木由起男 …… 平井賢治 (被害者)
曽根崎真 …… 鷲生功 (東京地検)

須永慶、岡けんじ、浅沼晋平、山路誠、あだち実、竹内和彦
池田尚子


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