相棒 シーズン5
(2006年度10月期・テレ朝)

チーフプロデューサー - 松本基弘
プロデューサー - 島川博篤、西平敦郎
脚本 - 輿水泰弘(1)(13)、古沢良太(2)(7)(11)(16)
岩下悠子(3)(8)(14)(19)、戸田山雅司(4)(10)(17)(18)
櫻井武晴(5)(9)(15)(20)、西村康昭(6)、吉本聡子(12)

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_05/


第11話 バベルの塔 〜史上最悪のカウントダウン!

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2006年12月31日。
美和子は結婚して初めての正月だから特別に祝いたいとして
薫に早く帰宅するよう告げる。年越し蕎麦は美和子自ら打って
作るという気合いの入れよう。
伊丹は部下や同僚とは違って一人で正月を過ごす身故に、不謹
慎にも事件でも起これと念じる。
帰宅しようとしていた右京と薫の前に小野田がやってくる。
都市開発推進派の富永洋介議員からの招待でお台場"ホテルアマ
ゾン"の最上階レストランにてカウントダウンパーティーを
催すという。5ヶ月前に富永の邸宅は反対派勢力の一人で赤い
カナリア幹部の梶宗一郎によって放火された事もあり、警視庁
としては出席せざるを得ない事情もあった。しかも数日前に
ニトログリセリンを売った犯人を検挙した際に、梶宗一郎にも
販売していたことが分かり、警備の必要性が有った。
ホテルでは入り口にてレストラン支配人の磯部より招待状の
提示を求められる。
中にはいるとすぐに議員・富永、そして秘書の丸山を紹介され
る。更に富永が雇う専属のボディガード・辰巳楓の事を紹介
される。右京らは梶宗一郎がニトロを入手した件を伝えておく。
楓によると出入り口は正面と厨房の二ヶ所で、いずれも監視
カメラが設置してあり、一階の警備室で監視しているという。
そんな時楓の元に娘のはるかがやってくる。富永と楓の親密さ
や、婚約指輪をしていること、そして娘を警備の現場に連れて
来ていることを総合して、二人は婚約中であり本日何らかの
発表が有るだろうと推察。

一方その頃、角田六郎率いる組織犯罪対策部は麻薬の密売情報
を得て帝都大学の売人・辻本の自宅を家宅捜索する。押収した
麻薬の量が個人売買にしては異常に多く、大物が釣れたとして
すぐにルートを探るために事情徴収する。

そんな中、パーティー会場に一人の泥酔した男がやってくる。
男は楓の事を呼び出すとはるかに逢わせて欲しいという。
男は楓の元夫・和久井拓郎だった。親権裁判に於いて楓に軍配
が上がり楓の許可無しでは娘に会えないという拓郎。

右京らはそろそろ帰ろうとして小野田に声を掛けるが、小野田
は警察関係者を現場に残しておかねばならないとして特命係を
置いていき、自分は葉山にいる孫に会うためにそそくさと帰宅
してしまう。

楓ははるかの姿が見えなくなった事が不安になる。警備室に
連絡しモニタで確認して貰うが会場の何処にも見あたらない。
元夫がホテルのバーに一緒に連れていったのではないかと見に
いくも一緒にいる気配はなかった。するとはるかの持つ携帯
電話からメールが届く。娘の命が惜しければ要求に従えという。
14階の男子トイレに呼び出され、その一室から犯人と連絡を
取るためのレシーバーとインカムを手に入れ、袋には銃も入って
いた。携帯電話や現在しているインカムは全てトイレの貯水
タンクに入れろと指示され、その銃を使って富永議員を午前
24時までに殺害しないと娘を爆弾で殺すと告げられる。
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お約束となっているお正月での顛末。

美和子とたまきはまたしても女性ばかりの年越しになり、
あんまり愚痴こそこぼさなかったものの、男性陣は頭の上がら
ない様な内容だった。

2時間半スペシャルという事もあって刑事総動員で、一課は勿論
組織犯罪対策五課との絡みだったり、スペシャル版らしい狙撃班
の日野警部補の投入、そして何と言っても今回は大河内の現場
指揮による出世試験のような様相を呈しており、色んな意味で
熱い内容だった。個人的には正月には家族で餅をつくとして嬉し
そうに帰宅した内村が強引に現場に戻されたときの言い草が
笑えた。

今回は冒頭でのエピソードである辰巳楓が銃で自殺する件が
どのように処理されるのか。いきなり興味深い問題を提示されて
からのスタートだった。

右京のスキルの豊富さも披露され、手話が出来る事が描かれた。
勿論これがドラマの中で効果的に発揮されることは明らかで
上手い前振りの仕方だなと思う。それと同時に警察でも最近は
手話が出来るものだとして薫に話題を振る辺りは笑えた。

政治家が絡んでいることもあって、マスコミを使ったパフォー
マンスなどもドラマとしては面白く使われ、議員・富永洋介と
いう人物の性格が面白い様に描かれた。都市計画の推進派で人気
は高そうだが、私生活に於いても政治の事ばかりで有権者からの
指示を仰ぐために汚いことを平気でしている現実は、ドラマを
上手く複雑な心境へと陥れる。

画像解析やら音声解析が犯人に繋がっていくというのは相棒では
定番の手法だが、この辺もう少しバラエティに富んだ犯人への
特定法が有ると良いかも。

人質が実は犯人だったという辺りはとても面白い仕掛け。
偶然を装って人質になったのだろうか。なんとなくその辺の顛末
の真意は良く解らない。

最後に元夫に花を持たせる展開。
再婚する夫は我が身の可愛さ故に自己犠牲する気など無い訳で
最後の最後に飲んだくれの和久井拓郎を男にした感じだったね。

組織犯罪対策五課の絡みでミスリードを生んだ点も良くできて
いたし、何と言っても忘れかけていた日野警部補が最後に格好
良く決める辺りなど、男でも惚れそうな寺島進の存在感がとても
心地良く描かれていた。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (警視庁・特命係)
奥寺美和子 …… 鈴木砂羽 (帝都新聞社会部記者)
宮部たまき …… 高樹沙耶 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)

大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

五十嵐哲夫 …… 杉本哲太 (誘拐犯、赤いカナリア幹部に偽装)
辰巳楓 …… 大塚寧々 (議員の警備、元神奈川県警、富永と再婚)
富永洋介 …… 冨家規政 (2世議員、都市開発促進)
五十嵐翔子 …… 中村綾 (ホテルの従業員、哲夫の妹)
和久井拓郎 …… 遠藤章造 (楓の元夫。勤めていた会社が倒産)
辰巳はるか …… 佐々木麻緒 (ハシカの高熱で耳が不自由に)
日野警部補 …… 寺島進 (狙撃班、観覧者の中で標的を狙う)
磯辺 …… 梨本謙次郎 (最上階レストランの支配人)
丸山 …… 樋渡真司 (富永の秘書)
辻本 …… 反田孝幸 (麻薬密売、赤いカナリア資金調達)
鈴木警備員 …… 村上連
山田警備員 …… 古宮基成

山中康司、小倉肇、鳴海剛、竹本和正、村澤寿彦、長友健太
大浦理美恵、砂丘光男、荒木誠、大塚太心、小磯龍哉、森山貴文
鷲津秀人、小島あやめ

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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